16歳で東大合格の天才が指摘する「成績が伸びない人の勘違い」とは?(カリスさん後編)

吉澤恵理

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韓国出身のカリスさんは、16歳で東京大学に合格するという偉業を成し遂げ、「天才」と称されています。しかし、彼の成功の背後には、並外れた努力と独自の勉強法が隠されています。カリスさんは、「天才になる方法は誰もが実践できるものだ」と断言します。彼はどのような方法で勉強に取り組んだのでしょうか。(取材・文/吉澤恵理)

なぜアメリカの大学をあきらめて東京大学を受験した?

――中学卒業後、高校に行かずに大検を受けて、独学で海外大学を目指した理由は何ですか?

カリスさん:韓国には兵役がありますが、僕はそれに耐えて生きられないだろうと予感していました。だからアメリカか日本のトップ大学に入ることで、人生をやり直したいと思っていました。

――東京大学を選んだ理由は?

アメリカの大学受験では、成績だけでなく課外活動も重視されます。高校にすら行っていない僕は、課外活動がゼロなので勝ち目がありません。そこで、ペーパーテストだけで合否が決まる東大を受験しました。

目標を決めたら、あとは現状を踏まえて逆算し、「効率良く」「死ぬほど」勉強するだけなので、大したことはありません。

日本人は「勉強」と「作業」を混同している?

――合格に必要な学力を知るために、具体的にどのような方法を取りましたか?

過去問を10〜20年分徹底的に分析し、出題傾向を把握しました。僕が何かに取り組むときに必ず行うのが、「手間を惜しむための手間を惜しまない」ということです。

必要最低限の勉強で東大に合格するために、出るところだけ完璧になるまで勉強し、出ないところは一切勉強しませんでした。だから参考書も3割程度しか読んでいません。ほとんどは出ないので。

――勉強を始めた時点で、過去問を解けないことはありませんでしたか?

もちろん未学習状態だと意味不明なので、ほとんど解けないし、問題文を見るだけで辛いです。ですが、繰り返し過去問を解きつつ、出るところを意識して勉強しているうちに、10% → 30% → 50%といった感じで少しずつ解けるようになって、最終的には9-10割は解けるようになります。

大切なのは、「できないのが当たり前」と受け入れることです。「今はできないだけ」であって、できるようになればいいのです。できないことや間違いを恐れずに挑戦する姿勢が大事だと思います。

――日本では模試の結果を参考に志望校を変更することもありますが、どう思いますか?

模試結果を理由に目標を諦めるのは、ナンセンスだと思います。「ビビったら負け」ですよ。絶対なんとかしないといけない場面で逃げているようじゃ、その先の人生はどうやって生きていくのか、先が思いやられます。

一発逆転に向けたそもそもの勉強法という意味では、多くの日本人は「勉強」と「作業」を混同しているように思います。同様に多くの日本人は「仕事」と「作業」も混同しているので生産性が低いですが、それは別の話なのでここでは言わずにおきましょう。

たとえば、「ノートをまとめる」「単語帳を作る」「再読して復習する」といった学びを伴わないルーチンワークは単なる作業なので、こういうのを「勉強」と捉えてしまうと、学力なんて身につきません。

脳に負荷をかけることで、新たな学びを得るものが勉強なので、「気づき」がなければ勉強とは呼べません。特に効率の良い勉強としては、①勉強する「前」に模擬試験を行う、②間隔を空けて練習と模擬試験を繰り返す、③質問形式でメモする、の3つがオススメです。

「やればできる」という言葉がありますが、裏を返せば「やらなければできない」ということです。覚悟を決めて努力し、目標に挑戦することが大切だと思います。

できない理由ではなく「どうすればできるようになるのか」が大切

――カリスさんのモットーでもある「手間を惜しむための手間を惜しまない」という言葉からすると、勉強時間も気になりますが、1日どのくらい勉強していましたか?

たった半年間の勉強で東大に合格するために、毎日10数時間は勉強していました。もちろん、辛いと感じることはありましたが、いじめや虐待を思えば大したことなかったです。

――長時間勉強するための集中力維持やリフレッシュ方法について、工夫したことはありますか?

今もそうですが、疲れたら自分の身体・心・精神をリフレッシュさせる「リセットボタン」を押すようにしています。「シャワーを浴びる」「散歩する」「水を飲む」「瞑想する」「水分補給する」「ストレッチする」といった感じですね。あとは、1日7時間半は寝た方が良いと思います。脳が学習した情報を勝手に整理してくれて、記憶が定着しますので。

――現在、日本は受験シーズンですが、受験生に向けてメッセージをお願いします。

日本の若者を見ていると、「できない、できない」が口癖の人がとても増えているように感じます。能力も低ければ、やる気もなく、メンタルも弱い。

逆に言えば、ほとんどの受験生もそうだから、真剣に勉強すれば受験くらい余裕でしょう。いまこの時間を大切にしてください。勇気を持って行動してこそ、才能と力と魔法が生まれます。