5歳児の美術館デビュー!最後まで飽きずに楽しめる?【東京・PLAY! MUSEUM 堀内誠一展レポ】
小さな子どもを育てていると、美術館はどうしても足が遠のきがち。親子で芸術鑑賞に挑戦してみたいけれど、子連れで美術館ってあり? 子どもは飽きない? 迷惑をかけたらどうしよう…と悩んだ挙句、「やっぱやめておこう」の結論にいたるママ、パパも多いのではないでしょうか。
そんな皆さまにおすすめしたいのが、東京立川にある美術館、PLAY! MUSEUM。 「大人も子どもが楽しめる」がコンセプトのPLAY! MUSEUMの展示は、お子さんの美術館デビューにぴったりです。
今回は5歳の子どもと一緒に、PLAY! MUSEUMで開催中の「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」にお邪魔してきましたので、その様子をレポートします。
「堀内誠一展」の見どころは?
雑誌『anan』や『BRUTUS』のアートディレクション、そして絵本『ぐるんぱのようちえん』のイラストで広く知られる堀内誠一さん(1932~1987)。
今回の展覧会では、「FASHION」「FANTASY」「FUTURE」の3つの展示を通して、堀内誠一さんの世界を楽しめます。
3つの展示はそれぞれ空間のデザインが異なり、「FASHION」展を有山達也さん、「FANTASY」展を設計事務所imaさん、そして「FUTURE」展を三宅瑠人さん・岡崎由佳さんが担当している点も注目のポイントです。
特に子連れにおすすめなのが「FANTASY」展。まるで絵本の中に入り込んだような空間の中で、堀内さんの絵本原画や、巨大な「ぐるんぱ像」の展示楽しめるそう。5歳児はこの日のために、『ぐるんぱのようちえん』をばっちり予習済みです。
入口で記念撮影をしたら、いざ中へ!
まずは「FASHION」展へ
最初に私たちを迎えてくれるのは「FASHION」展です。ここでは、堀内誠一さんが手がけたファッション雑誌『anan』の創刊号から49号までが特集されています。
壁一面に並ぶ『anan』の誌面を見て、5歳児は目を丸くしている様子。どの写真も時代を感じさせない洗練されたセンスが光っています。5歳児も「あの写真いいねぇ」と、いっちょ前に感想を述べていました。
入って右側には、『anan』創刊号の全ページが展示されています。誌面はもちろん、当時の広告にも注目。広告の内容や入る箇所も、堀内さんがディレクションしていたそう。1冊を通して1つの作品となっている印象です。
奥には、過去のananを手に取って読めるコーナーも。
声をかけてもスルーするほどの集中力で誌面を眺める5歳児。何が心に刺さったのかはわかりませんが、予想外に楽しんでいる様子でした。
お待ちかねの「FANTASY」展へ!
「FASHION」展をもっとじっくり見たい気持ちを抑えつつ、いよいよ「FANTASY」展へ。 わくわくする入口を通り抜けると……
そこには『おおとこのおくりもの』の巨大なタペストリーと、大きな足跡が!
70作以上の絵本をてがけた堀内誠一さんですが、今回の展示では、『くろうまブランキー』『オズの魔法使い』など、ファンタジーを感じさせる9つの作品がピックアップされています。
各絵本のコーナーごとには、見上げるほどの大きな展示が。パネルはよく見ると絵本の形になっており、物語の住人になったかのような気分を味わえます。
パネルだけではなくスライドショーのような形式の展示もありました。子どもが飽きずに楽しめる工夫を感じます。
子どもが大きな展示に夢中になっている隙に、大人は原画を楽しみます。
ぜひ注目していただきたいのが、絵本ごとに変わる画風の違い。堀内さんが描くさまざまなスタイルを楽しめるのも、この展示の魅力ですね。
絵本と絵本の世界を区切る部分にも工夫が! 半透明のカーテンやトンネルになっていて、「次は何が待っているのだろう?」というわくわく感が5歳児の足取りから伝わってきました。
途中に、『てがみのえほん』の本棚コーナーがありました。
『てがみのえほん』は、福音館書店の「こどものとも」200号の記念に出版された特別な絵本。
さまざまな世界のキャラクターから届いた、お祝いの手紙を紹介する内容になっています。
本棚コーナーには、手紙の送り主が登場する絵本がずらりと並んでいました。
ここで、子どもから「これ読んで!」のリクエストが! 手には『三びきのやぎのがらがらどん』が。展示を見たい気持ちを抑えつつ、読み聞かせタイム。
絵本の世界にどっぷり浸りつつ、最後にたどり着くのが「FANTASY」展の中央にある『ぐるんぱのようちえん』の祝祭広場です!
筆のタッチまで再現されたぐるんぱ。実物は、写真で見るより大迫力です。
ここは写真もOK。つい夢中になって撮影してしまいます。
そして、ここにも『ぐるんぱのようちえん』の原画とたくさんの絵本が。靴を抜いてゆっくりとくつろげるのも嬉しいポイントです。まさに憩いの場といった雰囲気で、5歳児ものびのびと空間楽しんでいる様子した。
最後は「FUTURE」展 しかしまさかの・・・?
最後は「FUTURE」展。ここでは、堀内誠一さんを尊敬する110人のアーティストやデザイナー、写真家、絵本作家などが選んだ「私の好きな堀内さん」の作品が並びます。
参加者には、陶芸家の鹿児島睦さん、俳優の佐野史郎さん、エッセイストの松浦弥太郎さんなど豪華な顔ぶれが揃っていました。こじんまりとした展示スペースですが、見応えは十分。
しかしなんと、展示を楽しんでいる最中に、子どもから「おなかすいた」の一言が……!ここで無理に付き合わせたら嫌な思い出になってしまうので、泣く泣く展示を切り上げることに。
残念ですが、子連れあるあるですね……。
MUSEUMの後のお楽しみ
展示の後は、ミュージアムショップへ。
可愛らしいグッズが並んでいて、つい親の方が夢中になってしまいます。思わず「かわいい、かわいい」を繰り返す母。息子がややあきれているのを感じます。
そしてお待ちかねのお昼ご飯は、PLAY! CAFEで堀内誠一展のコラボメニューを楽しみました。


こちらもやっぱりかわいい!
店内は、展示にあわせてブックカフェの装いになっています。 ぐるんぱのフォトスポットも用意されていました。
さらに、食後は、PLAY! MUSEUMの上階にある、「PLAY! PARK」にも足を延ばしました。
PLAY! PARKは、思い切り身体を動かせる子どものための屋内広場です。
午前中は比較的静かに美術鑑賞を楽しんでいた5歳児は、ここで大いにパワーを発散していた様子。
ぐるんぱが作った「おおきなおさら」をモチーフにした遊具も用意されていました!
平テープで作った水の感触が楽しい「いけおさら」に夢中になる5歳児。
とくに、大きな青いくしゃくしゃの上に乗って引きずられる遊びが気に入った様子で、これに乗って、パーク内の散歩を何度も楽しんでいました。(親は必死にひっぱりました……)。
この日は開催されていませんでしたが、画用紙でぐるんぱのながい鼻をつくれるワークショップも開催しているそう。写真で撮った自分の分身を乗せて、紐を引っ張ると鼻が動く仕掛けです。なかなかクセになる動きで、こちらにも注目です。
★開催日と詳細はPLAY! PARKのホームページをご確認ください!
5歳児の美術館デビュー、結局どうだった?
さて、今回は5歳児と一緒に展示を回りましたが、滞在時間はおよそ1時間ほど。子どもの集中力を考えると、このくらいが限界かなと思いました。前半の「FASHION」展と後半の「FUTURE」展は駆け足で回り、「FANTASY」展をじっくり見るのがベストだと感じます。
はじめての美術館ということもあり、5歳児の反応がやや心配でしたが、絵本をテーマにした展示だったこともあり、想像していた以上に楽しんでいる様子でした。絵を眺める姿が様になっていて、思わず笑ってしまう一幕も。
本人の興味のあるテーマなら、美術館も良い思い出になりそうです。
とはいえ、大人は子どものペースに合わせる覚悟が必要です。自分がもっと見たいと思っても、子どもの興味を優先して、一緒に楽しむことが大切だと感じました。じっくり楽しむには、大人だけでのリピートが必須かもしれません。
ちなみに、「堀内誠一展」は1日何度でも再入場が可能なので、万が一途中でお子さんが飽きても大丈夫。ママとパパが交代で、じっくり鑑賞するのもありですね。
というわけで、今回学んだ、子連れ美術館のポイントをまとめます。
子連れ美術館のポイント!
・午前中、子どもが元気なうちに行くのがおすすめ
・集中力が続くのは1時間ほど
・子どもの興味関心を優先する
・意外と体力消耗するので、荷物は最小限にして、ロッカーを活用!
・再入場OKの展示だとより安心
・美術館の後に体を動かせる場所へ行くと、子どもはさらに大満足
「堀内誠一展」は2025年4月6日までですが、4月16日からは、新たに「どうぶつ展 わたしたちはだれ?どこへむかうの?〜WHO ARE WE? WHERE ARE WE GOING?」が始まります。
国⽴科学博物館とコラボした展覧会とのことで、こちらも期待大。子どもたちが大好きな「動物」が、PLAY! MUSEUMならではの展示で楽しめそうです。
美術館に行きたいジレンマを抱えたママ・パパは、ぜひPLAY! MUSEUMでお子さんの美術館デビューに挑戦してみてください!
PLAY! MUSEUM
●アクセス
〒190-0014 東京都立川市緑町3-1
GREEN SPRINGS W3棟 2F
JR立川駅北口・多摩モノレール立川北駅(国営昭和記念公園方面)より徒歩約10分
●「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」
2025年1月22日(水)ー 4月6日(日)
入場料:一般1,800円 / 大学生1,200円 / 高校生1,000円 / 中・小学生600円 /未就学児無料
※詳細はPLAY! MUSEUMのホームページをご確認ください。