インターネット教育は5歳から? 今やネットリテラシーは絵本で学ぶ時代【絵本レビュー】

中野セコリ(nobico編集部)

nobico編集部員が、おすすめの絵本をご紹介します。今回はNPO法人体験型安全教育支援機構の代表理事・清永奈穂さん監修の『ネットのぼうはん(一生つかえる!おまもりルールえほん)』を、5歳の息子と一緒に読みました。

今回読んだ絵本はこちら

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ネットのぼうはん (一生つかえる!おまもりルールえほん) 』(Gakken)
清永奈穂 監修/ the rocket gold star イラスト

意外と早い? 子どもの「ネットデビュー」

生まれたときから、ネットが身近にある現代の子どもたち。5歳の息子も、知りたいことや見たい画像があると、当たり前のように「スマホで調べて!」と親にリクエストをしてきます。

また、普段からYoutubeやゲームのアプリなどで、意識せずともネットのお世話になっていることがしばしば。

今のところスマホは親と一緒に使用していますが、小学校に上がると同時に、タブレットを使用しての学習も始まります。親が思っていたより、子どもが一人でネットを使うタイミングは早く来そうな予感です。

5歳児に「ネットのリスク」どう伝える?

しかし、ネットには危険が多いのもたしか。親の言うことに(比較的)耳を傾けてくれる今のうちに、ネットリテラシーについて教えておくべきかも、と思うようになりました。

でも、5歳児にネットの基本について教える方法はある? やはりまだ早い? などと思っていたら…なんと絵本がありました。その名もずばり『ネットのぼうはん』!

実はこの「一生つかえる!おまもりルールえほん」シリーズには以前もお世話になっており、息子は『ぼうさい』と『びょうきのよぼう』を履修済みです。

専門知識が子どもにもわかるようかみ砕いて解説されており、親しみやすい表紙からは想像できない情報量がつまった絵本として、以前もnobicoで紹介させていただきました。今回も期待しつつ子どもに読み聞かせます!

子どもに知ってほしい35の防犯ルール

絵本には、
「ネットはおうちの人がちかくにいるときにしよう」
「あやしいメッセージには へんじをせず、おうちの人にいおう」
といった、子どもに守ってほしい防犯ルールが書かれています。
その数、なんと35。

読んでいると、
「こじんじょうほうはぜったいにおしえない!かきこまない!」
という一文が。
5歳には難しいかなと思いましたが、「“こじんじょうほう“をおしえるとどうなるの?」と質問が。

そこで、「ネットで 子どもを 見はって ちょくせつ あいに くる 人も いる」と、ネットの犯罪に関するページを引用しつつ、「こういう悪い大人もいるんだよ」と説明。

スマホやネットを魔法の道具のように思っていたであろう息子ですが、「実はネットの向こうには人がいて、その人は悪い人である可能性がある」ということがなんとなく伝わったようです。

また、本には、「自分が加害者にならないためのルール」も掲載されています。
気軽な書き込みが誹謗中傷につながり、簡単に加害者になりかねないのがネットの怖いところ。さすがにまだ早いかな……と思いつつ、最近言動がワイルドになるつつある5歳にも、「いやな 気もちに させる ことばを かくのは やめよう」のルールを、しっかり読んで聞かせました。(笑)


危険は動画やゲームにも

本の中には、他にもこんなルールが紹介されていました。

「『あやしい・あぶない』『こわい』どうがに ちかづかないよう ちゅうい しよう」
「どんな ゲームを するか おうちの 人に そうだん しよう」

動画やゲームが大好きな息子に、これはぜひ覚えておいてほしい!
子どもとネットを使っていると、「これってどうなの?」と思うような動画のサムネイルやゲームの広告を目にすることがしばしばあります。フィルタリング機能で対策もできますが、すべてを完全に防ぐことは難しいのが現実。

特に動画は、「エルサゲート」(※子ども向けに見せかけた不適切な内容の動画)が紛れていることもあり、注意が必要です。

目に入ってくる情報を完全に選べないからこそ、子どもには「これって怪しいかも?」「よくないかも?」と自分で感じられる力、そしてそれを避ける力を身につけてほしいですね。

知識はいつか子どもの身を守る

安心できる環境で育った子どもに「ネットには悪意をもった人が潜んでいる」と伝えても、いまいちピンとこないかもしれません。しかし、子どもをターゲットにした犯罪が存在する限り、大人は子どもに「気を付けて」と繰り返し伝えるしかないと感じました。

絵本は、言葉だけで伝えるよりも子どもの心に残りやすく、その手助けになると思います。5歳児は絵本を読んで、「気を付けようという気持ちが生まれた!」とのこと。今はピンと来なくても、防犯の知識がいつか子どもを守る手助けになることを願っています。

入学や進級で、スマホを手にするお子さんも増えるこの季節。
子どものネットの使い方に悩んだらぜひ手に取ってほしい1冊です!

ネットのぼうはん

ネットのぼうはん (一生つかえる!おまもりルールえほん) 』(清永奈穂 監修,the rocket gold star 絵/Gakken)

デジタル新時代の闇から身を守るための35のネットのルールを、絵本感覚で楽しく教えられます。ネットを安全に使うための心構えや、危ないことが起こったときにとるべき行動をやさしくこわすぎないイラストでまとめています。「命の守り方」だけでなく「加害者にならないための注意点」なども紹介。保護者向けの情報も充実。