肩の力の上手な抜き方は? 木下ゆーき流“理想を下げる”育児論
子育てに正解はないとはいえ、理想と現実のギャップに悩むことは多いもの。特に、イヤイヤ期の子どもを相手にすると、思うようにいかないことばかりですよね。
そんな日々の試行錯誤の中から生まれたのが、子育てインフルエンサー・木下ゆーきさんの絵本『はぶらしロケット』(Gakken)。歯磨きを楽しい時間に変えるための、木下さんならではの工夫が詰まった一冊です。
では、木下さん自身はどんなふうに子どもと向き合い、育児を楽しんでいるのでしょうか? 木下ゆーきさん流の、「頑張りすぎない」子育てについてお話をうかがいました。
子どものモチベーション上げる『はぶらしロケット』
──今回、どういった経緯で本を出されることになったのでしょうか?
夜寝てたら、なんか急にパッと目が覚めて、脳の中に「絵本、絵本…歯ブラシ、歯ブラシ…」みたいな声が聞こえてきまして。そのときに何気なく東の空を見上げたら、ロケットのような光が飛んでいって…というのは嘘なんですけど(笑)。
本当のところは、Gakkenの担当編集さんから、「木下さんが普段お子さんと接する中で生まれたアイデアを本にしませんか?」とお声がけいただいたのがきっかけです。
うちの子どもたちも絵本が大好きなので、「それは面白そうだな」と感じ、今回、絵本を作ることになりました。
子どもって、なかなかスムーズに歯磨きさせてくれませんよね。でも、楽しい雰囲気を作れば、歯磨きの時間も楽しめるはず。そこで、歯ブラシをロケットに見立てた物語にしました。これは、イヤイヤ期の子どもにどうにか歯磨きをさせようと試行錯誤した、自分の実体験が元になっています。
制作の経緯がありきたりすぎるので、前半部分は若干嘘をつかせていただきました(笑)。
──お気遣いありがとうございます(笑)。
『はぶらしロケット』は、子どもの歯磨きへのモチベーションを上げるアイデアがすばらしいと思いました。読み聞かせの時に、親御さんに「こうしてほしいな」というポイントはありますか?
いや、全然ないんです。読んでくださる方が、自分が一番苦じゃない方法で読んでもらえれば、それでいいかなと思います。
──木下さんのテンションに寄せて読まなきゃいけないんじゃないか…とプレッシャーを感じるパパ・ママがいるかもしれないと思ったので、それを聞いて安心しました。
一応言っておくと、僕、常にこんなテンションなわけじゃないですからね! 電車ではちゃんと静かにできますから!(笑)
木下ゆーき流の読み聞かせは?
──ご自身も、お子さんに絵本の読み聞かせはをよくされていますか? 今まで読み聞かせをしてきた中で、特に印象に残っている本などがあれば教えて下さい。
読み聞かせはよくしますね。
印象に残っている本は、『くまさん くまさん なにみてるの?』(偕成社)など、自分も子どもの頃に読んでもらっていた本です。同じものを子どもにも読んであげています。
──読み聞かせをする中で、工夫していたことや心がけていたことはありますか?
お気に入りの本があると「これ読んで!」が続いたりするので、そうなると親としては「読むの面倒くさいな」って思っちゃうんですよね。
子どもも内容を覚えていて、ちょっと間違えただけで指摘してきたり(笑)。そうなるとますます読むのが面倒になってくるので、そういうときはページをめくりながら、適当にオリジナルのストーリーを作って読んだりしてました。
「今日は特別に父ちゃんのオリジナルで読むね!」みたいな感じで、違う話にしちゃったりとか。
あとは、1ページずつ交代で、子どもとオリジナルストーリーを作って読むこともありましたね。
──楽しそうです! でも、木下さんじゃないとできないような気もします。
そんなことないですよ(笑)。適当なことを言えば大丈夫なので!
絵本の次に挑戦したいこと
──絵本の次に挑戦したいことは何かありますか?
そうですね…。正直、あんまりないんですよね。
こういう取材を受けると、必ず最後に「5年後、10年後どうなりたいか」みたいなのを聞かれるんですけど、毎回そこで「何にもないんですよ」って答えてるんです。
なんか、「将来こうなっていたいんだ」みたいなのが全然なくて。今も「新たに挑戦したいことがあるか?」と言われたら、パッと思い浮かばないぐらいですね。いただいたお話をとにかく全力でやり続けるだけです。
──そうなんですね! 少し意外でした。
多分、うまくいかなかったときの落胆が大きくなっちゃうから、あえて目標を設定しないのかもしれません。
子育ても、やっぱり理想の母親像・父親像みたいなのを思い描く人はたくさんいると思うんですけど、それになれないときが辛いですよね。
本当は優しい親でいたいのに、それができずに強く怒ってしまった時は、「ダメな親だな…」って落胆してしまったり。
だからこそ、仕事としても親としても、あまり高い目標は設定しないようにしているというか。
なので、来年自分の仕事がどういう方向に進んでいるのかは、まったく想像できません。
ただ、確実にまた今年も、来年も、数年後も、夏の始まりは 「あの簡易テントを折りたたむのに苦戦するんだろうな」 っていうのだけは、なんとなく想像がつきますね。
あれ、片付けるときに毎年「どうやるんだっけ?」ってなるんですよね。きっとそこは変わらないんだろうなと思います(笑)。
子育ては「ゆるく長く」を心掛ける
頑張って目標を定めても、その通りにならないのが子育てだと思うので、頑張りすぎないのが一番大切かな、と思います。
日頃から頑張らないように、僕も心がけてます。何事もうまくいかなかったときが一番ストレスが溜まるし、ショックが大きいと思うので。
テーブルから箸がコロコロって転がって、「やばい、落ちそう!」っていうタイミングがあるじゃないですか。「今、手を出せばまだギリギリ受け止められるかも」と焦って手を伸ばして、でも間に合わなかった…という時が、一番腹立つんですよ。
なので、箸が転がっている時は、「まだ間に合うかも」と思っても、あえて手を出さないようにしているんです。床に落ちた箸を拾いながら、「お前は落ちたんじゃないぞ、僕に落とされたんだぞ」って、箸に対してマウントを取るっていう(笑)。
そんな感じで、あまり無理しない、頑張らないっていうのが、子育てにおいても大切かなと思います。自分が楽な方向や方法を選んで、ゆるく長くやるのが一番いいかなと思います。
(取材・文:nobico編集部 中野セコリ)
『はぶらしロケット 』(木下ゆーき作, uwabami絵/Gakken)
総フォロワー数170万人!パパママから圧倒的支持を得る子育てインフルエンサー・木下ゆーき初の絵本シリーズが創刊。
生活習慣を身につけ始める1歳半~3歳ごろは、イヤイヤ期も重なり、親も子どももたいへんな時期。
そんなときに読んでもらいたい、毎日の生活習慣に親子で楽しくチャレンジできる絵本シリーズができました。
木下ゆーきの、子どもとの遊びの中から生まれたアイディアが満載です。