「なぜ勉強しなきゃいけないの?」東大医学部生が中高生に伝える“勉強の推しポイント”

東京大学に現役合格し、医学部医学科に進学した上田彩瑛さん。しかし、上田さんは「勉強ができる人が偉いわけではない」と語ります。その上で、上田さんが中高生に伝えたい「勉強の本当の価値」とは? 勉強を頑張ることの“推しポイント”を紹介します。
※本稿は、上田彩瑛著『数学を武器にしてみよう! 東大理三・ミス東大が教える、誰でもできる勉強法』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。
やりたいことが見つかっていない人へ
私は受験勉強は無理して取り組むようなものではないと思っています。
勉強は全く好きではないし、勉強に集中することができない。勉強以外にやりたいことがある。そういう方は、受験勉強をしなくてもいいと本当に思います。中学・高校で「自分は受験勉強に向いていない」と気づくのも、とても大事なことです。
親に頼らず、自分で気づく人もいる一方で、たとえば、長年教壇に立っていらっしゃる学校や塾の先生に率直に訊いてみるのも、一つの選択肢です。
若輩者が大きなことを語ってしまいましたが、私は大前提として常々、「勉強ができる人が偉いわけではない」と考えています。学校という空間は、勉強の成果を測る側面が強い場所なので、学業成績が偏重される傾向にありますが、本来考えるべきなのは、自分が向いている分野を将来に役立てようとすることではないでしょうか。
ただ、大学6年生の今の私から見て、中高生という時期は体力にも吸収力にも非常に恵まれた、可能性の塊の期間だと思います。なので、そんなゴールデンタイムに何か一つでも、頑張って取り組まないなんてもったいない‼ 勉強でも、勉強以外のことでも。
やりたいことがあればやればいい。けれど、「やりたいことが見つかっていない」という人も多いのではないでしょうか。
私もそうでしたが、中高生の間はそれほど視野が広くなく、学校と習い事などで毎日が終わってしまう。
そんな人には、まず「勉強」を頑張ってみることをおすすめします。単純計算で、1日の3分の1を学校で授業を受けて過ごすわけです。どうせ時間を費やすのなら、一度真剣に取り組んでみてもいいのではないでしょうか。
その後、自分には勉強が向いていないと判断するなら、視野を広げて、やりたいことを見つけるのがよいかと思います。
かく言う私も、「とりあえず勉強に取り組んでみた」チーム出身です(笑)。そんな私が受験勉強や大学生活を経て、「なぜ勉強するのか」について考えていること、勉強を頑張ることの推しポイントを共有したいと思います。
一つは、勉強すると「見えるものが増える、気づけるものが多くなる」ということです。
幼い頃は、親や兄弟、近所の友達だけで世界が完結していました。物理的にも背が低いため、低い目線からしか見ることができない。ですが年齢を重ねて成長すると、できることやわかることが増えて視野が広がりますよね。部屋の窓から見える風景が、身長が伸びるにつれてだんだん変わっていくように、ものの見方が変わっていくんです。
また、そういった環境のアップデートに対して自分の中身をアップデートすることも、勉強する意義の一つだと思います。せっかく見えたもの、気づけたものを自分のものにできないなんてもったいなくないですか?
単に知識を習得するだけ、「知らない状態から知っている状態になるだけ」だとあまり意味がなく、知識を自分の中に落とし込み、自分なりに咀嚼して何かにつなげていくことが大事。仕事で活かしてもいいし、何かの役には立たなくても、別の「学び」につながればいい。そのようにして、「自分」は出来上がっていくのではないでしょうか。
勉強をすることで、「見えるもの・気づけるものが増えた、知識が増えた」ということだけにとどまらず、自分自身の肥やしとなり、「自分の世界が広がった」「多角的にものを考えられるようになった」という実感を持つことができれば、受験勉強をした意味があると思います。
『数学を武器にしてみよう! 東大理三・ミス東大が教える、誰でもできる勉強法』(上田 彩瑛著/PHP研究所)
「大学入試の受験生に課される問題の99%は、今まで学んできた数学の『例題』にあてはめたり、あるいは例題の解き方を組み合わせたりすることで、解くことができると思っています」 数学を解けるか解けないかは、センスの問題ではないし、 「ひらめき」なんて、必要ない! 現役で東大理三に合格した著者が、誰でもできる数学の勉強法を開陳!
さらに他科目の勉強法、ノートの取り方(実際に使用したノートの写真つき)、記憶術、ゆるぎないモチベーションを生む「暗示のかけ方」なども紹介します。本気で合格したい方のための一冊です!