子どもの「困った行動」は成長のチャンス? 不登校や行きしぶりを前向きにとらえる方法

富永愛梨

「学校に行く代わりに〇〇を買ってほしい」――そんな子どもの困った言動に、親はどう向き合えばよいのでしょうか。
不登校や登校しぶりの子を前に、「とにかく学校に行かせたい」という思いが強くなりがちな親心。しかし、その視点を少し変えるだけで、子どもの行動の背景が見えてくることもあります。

本記事では、困った言動をただのわがままと捉えるのではなく、「将来に役立つヒント」として活かすための考え方を、
富永愛梨著『息子が不登校だった心理カウンセラーが伝えたい 不登校の子が元気になる言葉 つらくなる言葉』から紹介します。

※ 本稿は、富永愛梨著『息子が不登校だった心理カウンセラーが伝えたい 不登校の子が元気になる言葉 つらくなる言葉』(青春出版社)から一部抜粋・編集したものです。

「スマホがないと学校に行けない」など学校に行くために必要だからと欲しい物をねだってくる

【毒になる言葉】
「スマホがないと学校に行けないなんて大変! スマホを買ったら遅刻・欠席しないで登校するって約束できる?」


【薬になる言葉】

「あなたって交渉力があるね。お母さん(お父さん)、思わず心が動きそうだったよ。あなたの交渉力や粘り強さは必ず将来仕事で役に立つよ」

「遅刻しないで学校に行ったらご褒美を買ってくれる?」
こんなふうに学校に遅刻や欠席をしないで行くからと、高額な物をねだられて困ってしまうことはありませんか?
「新しいスマホがないと学校に行けない……」など泣かれてしまったり、断ると機嫌が悪くなって暴言を吐いたり暴れたりされると、どうしていいのか分からずに悩んでしまいますよね。

子どもを甘やかすことはとても大切だと思いますが、子どもの言いなりになることとは違います。なので、できないことは毅然とした態度で「できない」と伝えることが重要です。
「テストで100点取ったらご褒美におもちゃを買ってあげるね」
などと、親が習い事を頑張ってほしいときや、親の期待する行動を取らせたいときに物を買い与えたことがあると、子どもはそのときのことを覚えています。親との立場が逆転したときに、今度は親を言葉巧みに操作して物を買わせようとするケースが多いように思います。
どんなに子どもに愛情を注いでいたとしても、「習い事を頑張ったからご褒美におもちゃを買ってあげる」
と子どもをほめるときに何か条件をつけたり、親の期待通りに動いたときだけほめたりしていると、どんな自分でも受け入れてもらえていると感じることはできません。
今まで、親が子どもに何か物を買い与えることで愛情を与えていたとしたら、子どもは親に愛情を求めるときに物をねだって買ってもらうことで、愛されていることを実感し、安心できるのかもしれません。
子どもの心を充分に満足させられるほど物を買い与え続けるには限界があります。何かを買ってあげるときは、アレコレと条件を付けずに気持ちよく買ってあげることで、「自分は大切にされている」「自分は価値がある存在だ」と感じることができると思います。

「何か買ってほしい」と言うことが増えたときは、それだけ今はストレスが強く大変な状態なんだなと捉えて、普段よりも多く愛情を言葉や態度で伝えていきます。
子どもの「物をねだる」問題行動に着目してみると、子どもの粘り強く交渉する力や、心が動いて買ってあげたくなるようなプレゼン力など、社会で役に立つ力を使っています。
「また物をねだられた……」と思うとゲンナリしてしまいますが、「あなたの交渉力って本当にスゴイよね。お仕事でその力を使ったら、トップセールスマンになれそうね」などと考えるだけで、子どもの将来がワクワク楽しみになりませんか?
社会に出たらどんなふうにこの力を活用できるかな? と考えると、子どもの困った言動も強みに変わります。

息子が不登校だった心理カウンセラーが伝えたい 不登校の子が元気になる言葉 つらくなる言葉』(富永愛梨著/青春出版社)
本書は、子どもの不登校や「行きしぶり」に悩む親に向けて、親は子どもにどんな言葉をかけるのがよいかをわかりやすく説明します。
息子の不登校・行きしぶりをきっかけに学んだNLP心理学に基づくコミュニケーション・スキルをあますことなく公開。
「わが子の心身の状態を親自身の力で救い出してあげたい」と思ったら本書を見てください。