不登校だった黒歴史を消したい 「まともになれない」と悩む子に先輩が伝えたいこと
「ちゃんとした大人になれない気がする」…不登校を黒歴史だと感じ、将来に不安を抱える子どもたちへ、かつて同じ思いを抱えていた先輩が語る言葉とは?
不登校ジャーナリストの石井しこうさんの著書より紹介します。
※本稿は、石井しこう著『学校に行かなかった僕が、あのころの自分に今なら言えること 』(大和書房)より一部抜粋、編集したものです。
まともな大人になれる気がしない、不登校だった「黒歴史」は消せませんよね?
「まともになれる気がしない」と私も悩んでいました。
不登校当時、起床時間はだいたい午前11時30分。夕方ごろに起きて朝に寝るという日もありました。きっかけはたいてい新作のゲームが発売されるか、ワールドカップの観戦によるもの。
ほとんどの学校の始業時間は8時半です。午前9時以降にしか起きられない当時の私は、どう転んでも「学校へまともに行けない体になっちまった」と驚いたものです。
ほかにも「私はまともじゃない」と思う要素は多々ありました。学校の先生を街で見かければ震えあがり、バイトをすればすぐに辞め、教科書や勉強道具は捨ててしまう。世間の10代が歩く道から、一歩、また一歩と確実に外れていく。少なくとも「ふつうの大人にはなれない」と将来を絶望視していました。
しかし、結果からいうと、黒歴史を送ったことが幸いしました。不登校中の生活に悩んでいた私は、取材を通していろんな大人に悩みをぶつけてみました。
「大人になるって?」「仕事ってなんですか?」「学校へ行かなくて本当に大丈夫?」と思いつくかぎりの疑問や不安を聞いてみたんです。おもしろかったのは、同じ質問でも人によって答えが異なること。ある人は「大学へ行ったほうが人生はラク」だと言いましたが、「やりたいことがあるならすぐに働いたほうがいい」と言う人も。そんな話を聞き、記事にまとめていくなかで、私は「不登校の専門家」という不思議な立場になっていました。望んではいませんでしたが、特殊な「枠」を世間からもらえた気がします。
この枠のおかげで、少ないながらも生活費はいただけてます。
私は「ほかの人とちがう」と孤独を感じていましたが、ほかの人とちがうからこそ「価値」がありました。
黒歴史はムダではなく「財産」に変わっていたんです。
あなたも黒歴史に救われるかもしれません。今あなたは、レアな経験をしているということ。レアキャラです。大切に扱ってあげてください。
しこうポイント!:「黒歴史」が財産になることもあるんです
石井しこう著『学校に行かなかった僕が、あのころの自分に今なら言えること 』(大和書房)
ヨシタケシンスケ氏 推薦!
“ここに君の先輩がいる。
君と同じだった先輩は、たくさんいる。
先輩たちは、何が大事かを知っている。
学校に行っても行かなくても、するべきことは一つだけ。
大事なものを、大事にするだけ。“
「不登校の自分は、この先どうなるんだろう?」
経験者だからわかる事がある。
将来が不安でもやもやする日々、トンネルの中にいる君に届けたいメッセージ。