失敗してもいい! 「自分で決めた」経験で培われる子どもの“生きる力”
中学受験や習い事など、親が舵を取る場面は多いもの。でも、その“善意”が子どもの主体性や幸福感を奪ってしまうこともあります。
「自己決定」が子どもに与える影響とは? 小宮山利恵子著『好奇心でゼロからイチを生み出す 「なぜ? どうして?」の伸ばし方』から紹介します。
※本稿は、『好奇心でゼロからイチを生み出す 「なぜ? どうして?」の伸ばし方』(小宮山利恵子/ディスカヴァー・トゥエンティワン)から一部抜粋・編集したものです。
選択を任せると子どもの幸福度が高まる
子どもに失敗させたくない。なるべく効率的に近道を進ませたい。
そういう思いから、子どもがやることを親が決め、思い通りにやらないと子どもを責めたり叱ったりする。そういうことを繰り返していると、子どもの主体性も自己肯定感も幸福度も低くなるばかりです。ゼロイチを生み出すどころか、自分で判断も行動もできない指示待ち人間になってしまうでしょう。
子どもの「生きる力」は、どんな小さなことでも子どもに選択させ、自分で決める経験によって培われるのです。
毎日、着る服も、食べるものも、何をして遊ぶかも、すべて子どもに決めさせてみてください。お菓子をどのくらい食べるか、ゲームは1日に何時間やるかなど、量や時間は親子で話し合いながら本人にルールを考えてもらいます。
親が決めたほうが手っ取り早くて安心だと思うかもしれませんが、それは親の都合です。多少、時間がかかっても、子どもがどうしたいか考えさせ、子どもが決めたことは否定も非難もせず、まずは認めてあげる。それで失敗してもいいのです。
習い事も、3カ月から半年間やってみて、向いてなければ無理に続けなくていいと、本人に決めさせると、続けてもやめても納得できるはずです。
中学受験も子どもに決めさせる
中学受験も同じで、まだ精神的に幼い子どもが勉強を嫌がっていて、中学受験に向いていないのに無理矢理続けさせると、志望校に受かったとしても燃え尽きてしまう可能性があります。
志望校に受からなければ心が折れてしまう可能性もありますから、全落ちという最悪の事態も想定して、そのとき親がどのようにサポートして、どう励ますのか、心の準備も必要でしょう。
そこまで親も強いメンタルを維持して子どもを守る覚悟がなければ、向いていない子に中学受験を強いるのは教育虐待になりかねません。
今は、選択肢がたくさんあります。勉強も学校以外に大手塾、小規模塾、個別指導塾、通信教育、オンライン学習サービス、家庭教師などありますから、その子の適性と経済状況に合わせた学習方法を選べます。
もちろん、子どもだけで判断するのは難しいので、親がそれぞれの選択肢のメリット、デメリットを伝えて話し合い、最後は本人に決めさせます。
選択肢が多すぎると迷ってしまうので、3つくらいに絞ってあげて、自分で調べて選ばせてもいいでしょう。
幸福感に与える影響力
「自己決定」が幸福感に強い影響を与えていることも、約2万人のアンケートで明らかになっています。(※神戸大学「所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる」2万人調査)
この調査では、自己決定度を評価するにあたり、「中学から高校への進学」、「高校から大学への進学」、「初めての就職」について、自分の意思で進学する大学や就職する企業を決めたか否かを尋ねました。
さらに、幸福感に与える影響力を比較したところ、健康、人間関係に次ぐ要因として、所得、学歴よりも「自己決定」が強い影響を与えることがわかっています。
日常生活のことはもちろん、遊びも勉強も、子どもに決めさせれば幸福感が高まり、考える力が身につき、小さな成功体験を積み重ねていけるでしょう。たとえうまくいかなくても、自分で決めたことなら「なぜうまくいかなかったのだろう?」と考えます。
その習慣が、ゼロイチ力を高めていくのです。
『好奇心でゼロからイチを生み出す 「なぜ? どうして?」の伸ばし方』(小宮山利恵子/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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