友だちは少なくてもいい? 中高生に伝えたい「大事なのは数じゃない」本当の理由

斉藤徹

友だちがいない・少ない…そんな悩みをかかえる中高生は、実は珍しくありません。「みんなと仲良くできない自分」に悩む中高生に伝えたい、友人関係で本当に大切なことを、『人生がうまくいく コミュニケーション図鑑』よりご紹介します。

※本稿は斉藤徹 (監修)『人生がうまくいく コミュニケーション図鑑: 神様が教えてくれた人間関係のヒント』(Gakken)より一部抜粋・編集したものです。

友だちは多い方がいい?

この記事の画像(6枚)

友だちはたくさんいたほうがいい?

あなたは、「友だちは多いほうがいい」とか「何でも話せる親友がいたほうがいい」と思いますか? それはおそらく、小さいころから友だちの大切さを教わってきたからでしょう。「友だちをたくさんつくらなきゃ」と、考えているかもしれませんね。

でも、気の合う相手に出会えるかどうかは運しだいだったりもします。「こいつといると楽しいな」「この子には何でも相談できる」という友だちに出会えたとしたら、それはとてもラッキーなこと。“そういう友だちがいるのが人として当然“というわけではありません。友だちができるのは、日々の生活を積み重ねた結果に過ぎません。友だちをつくることを目標にしたり、たくさんの友だちをつくるために無理をしたりする必要はないのです。

NHKの調査(2022年度)によると、「おしゃべりしたり、一緒に遊んだりする友だち」の数が「いない」もしくは「1〜3人」と回答した人は、中学生で19‌%、高校生で17・1‌%です。さらに「いじめなど深刻な悩みごとを相談できる友だち」の数を「いない」と答えたのは、中学生では20・6‌%、高校生では16・9‌%でした。「友だちが少ない」「悩みを相談できる相手がいない」という人は意外と多いことがうかがえます。もしあなたが友だちの少なさに悩んでいるとしたら、それはあなただけの悩みではないことを知っておいてください。

でも、そうしたことに悩み、苦しんでいるのなら、「親友がいる人、たくさんの友だちと交流している人こそが健康的だ」という、周りからの刷り込みや自分の思い込みを手放すのも一つの方法かと思います。「友だちは少ないし、たまにしか話さない人が多いけど居心地がいい」「いつも一緒に遊ぶような人はいないけど、一人でマンガを読んでいる時間が楽しい」。そういう人だって、十分に健康的です。友だちの数や、親友がいるかどうかで、その人の価値は変わりません。「みんなと仲良く」よりも、「自分が無理なく楽しく」を意識したほうがいいでしょう。

クラスに友達はいる? いない?

悩みごとは少数の友だちに相談

NHKによる「中学生・高校生の生活と意識調査2022」では、中高生の友だちについての調査結果が公表されています。ちょっとした悩みごとでも、深刻な悩みごとでも、2~3人程度に相談する人がいちばん多いようです。

合わない人とも共に生きる作法

「あの子はなんだか好きになれない」クラスメートにそういう人がいませんか? 学校のクラスは、たまたま同じ年齢の人が同じ場に集められたもの。30〜40人も集まれば、合わない人がいるのは当たり前です。

そういう人とは、「無理に仲良くしなくてもいいけど、避けたり排除したりしない」というスタンスで接するのがおすすめです。挨拶をされたら挨拶を返し、活動の中で同じグループになったらちゃんと会話をする。自分と合わなくても、「嫌い!」と言ったり、無視したりはしない。そういった攻撃的な言動は、相手を傷つけるとともに、周りにいる人たちの空気を緊張させます。  集団の中で「気に入らない人には攻撃していい」という空気ができると、「今度は自分が攻撃されるかも」という不安のなかでみんなが過ごすことになるからです。人を攻撃しないというルールは自分を脅威から守るためにも大事なのです。

適度な距離を保つ

どうしても合わない人とは、少し距離を置いて接するようにしましょう。無理に仲良くなろうとする必要はありません。

・悪口に乗っからない
友だちに「あいつむかつくよね」と言われても、同調しないようにしましょう。複数人で誰かを避けるのはいじめの始まりです。

・困っていたら助ける
自分とは合わない人だとしても、もし困っていたら手を差し伸べましょう。「合わないから助けない」というのは、心のせまい考え方です。

・傷つける言動をしない
「合わないな」と思うのはしかたありません。ですが、暴力を振るったり相手を傷つけるような攻撃的な発言をしたりしてはいけません。

・挨拶をしてみよう
「おはよう」「じゃあね」など、最低限の挨拶はするようにしましょう。挨拶は人間関係をスムーズにしてくれます。

まとめ

● 友だちは多ければいいわけではない。「自分が無理なく楽しく」を第一に。
● 合わない人でも攻撃せず、適度な距離で付き合おう。

人生がうまくいく コミュニケーション図鑑

斉藤徹 (監修)『人生がうまくいく コミュニケーション図鑑: 神様が教えてくれた人間関係のヒント』(Gakken)

コミュニケーションの技術を学ぶならこの一冊 !

社会で活躍するにはコミュニケーション能力が必要、といわれるが、学校では体系的に教えてくれない。本書では友だちの数や「いいね」の数では測れない、本当のコミュ力についてマンガと図解で解説。10代から大人まで一生役立つ、実践的な一冊。

読者から絶賛の声!困ったら読み返したい。あなたの心のお守りになる一冊。