支援級って実際どんなところ?息子と一緒に学校見学へ行ってみた(もしかしてうちの子、発達障害!? 第15話)

河原崎美香
2025.08.19 21:38 2025.08.23 21:37

学校の教室

私は、3人の子ども(小学3年生の男の子・年長の女の子・年少の男の子)を育てる保育士ライターです。小学3年生の長男は軽度発達障害で、今は支援級に在籍しています。 今回は、支援級の見学に行った体験についてお伝えします。(連載「もしかしてうちの子、発達障害!?」第15回、写真はすべてイメージです)

実際に支援級を見学してみた印象

学校の教室、机と椅子と黒板

長男と一緒に支援級の見学に行きました。学校の雰囲気に緊張気味で無口になっている様子。支援級の教室に案内してもらい、クラスの様子を見学させてもらいました。

当時、支援級には6人の子どもが在籍し、担任の先生が2人ついておられました。訪れた時間は個別学習の時間で、各自に応じた学習内容でプリントや教材を使って進めているところでした。

6人に対し先生が2人なのでゆったりとした雰囲気だろうと思っていたのですが「先生!こっち来て!」「わからなーい」と子どもたちが次々と呼びかけをし、席を離れようとする子には「どうしたの?何かわからないところでもあったのかな?」と戻るよう促したり…私が最初に抱いた印象は「先生、大変だな」という思いでした。

ふと長男の顔を見ると、眉間にしわを寄せ怖い顔をしています。この雰囲気にあまり良い印象を持っていないかもしれないと不安になりました。担任の先生が授業について簡単に説明してくださっている間も怖い顔をして固まっている長男。大丈夫かなと心配になりました。

支援級・普通級での息子の様子とは

学校の廊下

見学していると、学習に疲れた子が出始め、隣にある多目的室へ移動して休憩することに。「よければ一緒に来られますか?」と聞かれ、長男に「一緒に行ってみる?」と聞くと頷いたので、お邪魔させてもらいました。

多目的室は隅にマットがあり、PCが置いてあるシンプルな作りの部屋でした。敷いてあるマットで寝転がったり、ホワイトボードで絵を描いたりして、子どもたちがそれぞれ自由に過ごしています。

教室のPCやホワイトボードは触らない代わりに、多目的室のものは自由に使って良いとのこと。「『使いたい』という気持ちをどこかで保障するようにしています」という配慮がありました。

クラスの子に誘ってもらい、長男もホワイトボードでお絵描きを始めました。子どもたちと関わっているうちに緊張が薄れてきたのか、次第に笑顔が見られるように。クラスには電車好きの子もいて、電車について色々と話しながら絵を描いたり、PC内の動画を一緒に見て楽しそうにしていました。

授業終わりのチャイムが鳴り、見学が終わる頃には穏やかな表情に戻って「楽しかった」と満足そうでした。

療育のスタッフさんから「可能であれば、普通級の授業風景も見学させてもらう方がいいですよ」と言われていました。校長先生に相談すると快く承諾してくださったので、1年生の教室に案内してもらうことに。一番後ろに空いている席で、長男も座らせてもらいました。

普通級では生活科の授業が行われていました。前回の授業の続きで、お祭りごっこでどのようなお店をするかをみんなで話し合う内容です。何の話か分からないだろうなと思い、ふと見ると、案の定つまらなそうに窓の外を眺めていました。

普通級で過ごすとなると、きっとこのような状態になることも多いのではないか…やはり支援級の方がいいのかもしれません。授業風景を見学した後、校長室で詳しい話を伺うことにしました。

それでも私は…

ブランコに乗る子ども

この記事の画像(1枚)

一通りの見学を終え、校長先生に何点か質問しました。「年度途中で普通級から支援級、もしくは支援級から普通級への転級は可能でしょうか」と尋ねると「年度途中では難しい」とのこと。「普通級と支援級を行き来する『通級』の場合、籍はどちらになるのでしょうか」という質問には「その場合は支援級在籍という形になります」という回答でした。

私としては普通級に在籍しながら必要に応じて支援級で学ぶ(通級)ができれば理想的だと伝えました。しかし校長先生からは次のような説明がありました。

「高学年になれば一人で支援級の教室まで行かせますが、1年生の初めは学校のどこに何の部屋があるかも分からない状態です。もし授業中に『支援級に行きたい』と訴えた時、担任が一人だと付き添いが困難になります。支援級での学習も希望されるなら、最初は支援級メインで過ごしていただきたい」

私は自分の思いを伝えました。「全くサポートなしでは難しい部分もありますが、保育園では集団生活がある程度できています。同じ保育園から何人か同じ学校に入学する子もいるので、その子たちと一緒に教室で学ぶ経験もさせてあげたいのです」

しかし校長先生からは「学校は保育園とは違い、学習がメインの場になることもご理解ください」と言われました。

もう少し考えたいことを伝え、学校を後にしました。帰り道、長男に「PCがあった部屋と、たくさんのお友だちがみんなでお勉強していた部屋、どっちで勉強したい?」と聞くと「PCがあった部屋!」と即答。やはり支援級の方がいいのかなと思いながらも、「可能であれば普通級で…」という気持ちがどうしても消えませんでした。

河原崎美香

河原崎美香

公務員保育士として勤務。長女の産休と共に公務員を退職し、民間保育園の非常勤職員。長男の発達の遅れを指摘され、療育の送迎など行うため週3日勤務のパート保育士へ変更。同時に保育士ライターの道に進む。