中学受験と高校受験、どっちが向いてる?かかるお金とメリット・デメリット

西岡壱誠, 布施川天馬
2025.08.14 10:05 2025.08.25 11:50

勉強する中学生 高校生の女の子

中学受験をする場合と高校受験をする場合、教育費はどのくらい違うものでしょうか?また、それぞれのメリットとデメリット、子どもの向き不向きは?

西岡壱誠(著)布施川天馬(著)『幼稚園から大学まで 勉強にかかるお金図鑑』から紹介します。

※本稿は、西岡壱誠(著)布施川天馬(著)『幼稚園から大学まで 勉強にかかるお金図鑑』(笠間書院)から一部抜粋・編集したものです。

中学受験

夏休みの宿題をする小学生男子2人

学区の中学校ではない中学校への進学を希望する場合、中学受験をする必要があります。中学入試では小学校で習う範囲を超えて応用的な問題がでやすいため、塾などで対策をする必要があります。

【相場】
>>4~6年生の3年間で約273万円

【具体的なデータ】
>>SAPIX 6年生の1年間で約113万円
入室金 33,000円
小学4年(4教科)
授業料(月額) 45,600円(教材費含む)
模試費用 約5,000円/季節講習費 約155,000円
小学5年(4教科)
授業料(月額) 57,750円(教材費含む)
模試費用 約15,000円/季節講習費 約184,000円
小学6年(4教科)
授業料(月額) 66,000円(教材費含む)
模試費用 約25,000円/季節講習費 約311,000円

【メリット】
>>勉強に対する意識を早くから高められる
中学受験を目指すことによって、小学生のうちから「勉強に本気で取り組む」という姿勢を自然と身につけることができます。

日々の学習計画を立てたり、模試やテストの結果を振り返ったりする中で、自分に合った勉強法や理解しやすい教科、得意分野を早い段階で見つけることができる点も大きなメリットです。

また、中学受験を経て進学する中学校は進学実績に力を入れていたり学習意欲の高い生徒が多く集まる場合が多いため、同じように受験に向けて努力する仲間と互いに刺激を受けながら勉強に取り組む環境が整いやすいです。

入学後も継続的に勉強に向き合える雰囲気があり、長期的な学力向上にもつながりやすいといえるでしょう。

>>高校受験をしなくて済む
中学受験で中高一貫校に進学すると、高校受験が不要になります。そのため、中学生の間は受験勉強に追われることなく、自分の興味を深めたり、部活動や趣味に集中したりすることができます。

中学生という感受性豊かな時期に、受験勉強に追い詰められることなく学校生活を楽しむことで、人間性を深めることができます。

【デメリット】
>>小学生にとって負担が大きい
中学受験に向けて勉強を始めることは、時に小学生にとって負担が大きく感じられることがあります。

遊びたい時期に勉強を優先することが精神的に辛くなることもあり、周りに受験している友達が少なければ、孤独感を感じたり、勉強に対するモチベーションが下がったりすることもあります。

子どもの気持ちや個性を大切にして、選択肢をしっかり考えることが大切です。

>>費用が高い
中学受験では小学校で習う内容とは毛色の違う問題が出題されるため、専用の対策が必須です。家庭教師を付けたり、塾に通ったりと費用がかかります。

また、小学生が塾に通う場合、送り迎えが必要になるケースが多いため、時間的・経済的な負担があります。

高校受験

外を眺める中学生

我が国の義務教育は中学校までであるため、高校への進学を希望する場合は、高校受験をする必要があります。基本的には中学校で習う内容から出題されるので、塾に通わずに高校受験をする中学生も多いです。

【相場】
>>3年間で約93万円

【具体的なデータ】
>>臨海セミナー 年間約42万円
中学1年
3教科授業料(月額) 14,960円/5教科授業料(月額) 20,680円
中学2年
3教科授業料(月額) 20,900円/5教科授業料(月額) 27,500円
中学3年~12月
3教科授業料(月額) 22,990円/5教科授業料(月額) 29,700円
中学3年1月以降
3教科授業料(一括) 38,060円/5教科授業料(一括) 49,940円

>>入学金 公立高校約6,000円、私立高校約25万円
公立高校は全国統一5,650円(福岡県と佐賀県、鳥取県、長崎県は5,550円)。
私立高校の場合、東京都にある私立高校の入学金平均額は251,637円。

【メリット】
>>子どもがある程度成長してから進路を選択できる
高校受験では、子どもがある程度成長してから進路を決めることができます。小学校時代の様子や中学での学びを見て、自分に合った学校を選べるため、より適切な選択ができるのが特徴です。

また、高校には理数科や国際科など、専門的な科目を学べる選択肢も多くあります。高校入試に際しての進路選択は、自分と向き合う大切な時期となります。

>>中学の勉強の見直しができる
高校受験では、中学3年間の学びを振り返り、復習する時間があります。これにより、過去に学んだことを再確認できるため、基礎を固めるチャンスが得られます。

また、この過程を通じて、勉強の仕方や自分の得意不得意も明確になり、次の学びに活かすことができます。高校受験をきっかけに、今後の勉強に向けた準備が整うこともあります。

【デメリット】
>>人間関係がリセットされる
中学校と高校で学校が変わるということは、友人関係や教師との関係が一新され、新たな人間関係を構築する必要があるということです。特に人見知りの子どもにとって、新しい環境に適用することは多大なストレスになる危険性があります。

>>高校受験のための学習負担がある
公立高校の入試では国数英理社の5教科すべてを受験する必要があります。そのため、中学3年間のうち、特に3年生の時間を受験勉強に大きく取られてしまいます。

15歳という多感な時期を受験勉強という負担のある状態で過ごさなくてはいけないので、のびのびとした中学校生活を送れる時間が短くなってしまいます。

中学受験 vs 高校受験

【比較】
●中学受験
費用が安いか…✖
早くから勉強できるか…〇
学び直しの機会があるか…✖
子どもの意思を反映できるか…▲

●高校受験
費用が安いか…▲
早くから勉強できるか…✖
学び直しの機会があるか…〇
子どもの意思を反映できるか…〇

高校受験は中学の学習内容を基に出題されますが、中学受験では小学校の内容に加え、適性を試す独自の問題が多く、教材費や塾費用が少し高くなることがあります。

中学受験後は大学受験まで自己管理で学習を進める必要があり、途中で学び直しが必要な場合もあります。

しかし高校受験では、中学までの学習内容を振り返る機会があり、進路決定を見据えたマイルストーンとして活用できます。さらに、高校受験を迎える中学生は、自分の意志や希望が強くなり、本当にやりたいことに進むチャンスも広がります。

結局どっちがいいの!?

小学生の頃から勉強に前向きで、学習を楽しんでいる子どもは、中学受験に抵抗なく楽しんで取り組める可能性が高いです。そのため、本人が前向きなのであれば、中学受験を考えても良いでしょう。

逆に、進路に対する意思が明確でない、勉強にあまり楽しさを感じていない場合、無理に中学受験させると、学びが窮屈になったり、勉強に対するコンプレックスが生まれかねません。

このような場合、中学3年間で自分のやりたいことが見えてくるかもしれないので、高校受験まで様子を見るのも悪い選択ではないでしょう。

それ以外の選択肢

中学受験をして入学した中学校が子どもに合わなかった場合であっても、中学3年生のタイミングで高校受験をし直すことができます。また、地域の中学校への転校という選択肢も取ることができます。

ポイント

保護者としては、子どもの意思を尊重しつつも、選択が将来に影響を与えるかもしれないと不安になることもありますよね。

大切なのは、子どもの日頃の行動や性格をよく観察し、その子にとって最適な進路を一緒に話し合いながら決めることです。それがどんな選択であっても、親子で納得できる形を目指すと良いでしょう。

布施川天馬

1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれ、幼少期から貧しい生活を余儀なくされる。大学進学を考えた時に金銭的な事情や地理的な事情から、無理なく進学可能な大学が東京大学のみに絞られたため、東大進学を志すようになる。高校3年生まで吹奏楽部の活動や生徒会長としての活動をこなすが、自主学習の習慣をほぼつけないままに受験生となってしまう。予備校に通うだけの金銭的余裕がなかったため、オリジナルの「お金も時間も節約する勉強法」を編み出し、一浪の末、東大合格を果たす。

西岡壱誠

西岡壱誠

東大生作家。1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも2浪し、3年目から勉強法を見直して偏差値70、東大模試で全国4位となり東大合格を果たす。東大入学後、『ドラゴン桜2』(講談社)の編集、TBSドラマ日曜劇場「ドラゴン桜」の脚本監修を担当。2020年には株式会社カルペ・ディエムを設立し、全国の高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施して高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師への指導法のコンサルティングを行っている。

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西岡壱誠(著)布施川天馬(著)『幼稚園から大学まで 勉強にかかるお金図鑑』(笠間書院)

塾・家庭教師・受験料・入学金……子どもの勉強や受験にはお金がかかります。本書は、累計50万部「東大シリーズ」著者で東大カルペ・ディエム代表・西岡壱誠と、貧しい家庭に生まれながら東大合格を果たした著者・布施川天馬が、「子どもの勉強・受験にかかるお金」の問題に特化し、経験と膨大なデータをもとにまとめた一冊です。