世界で2個体のみ生存確認!「スライゴオオサンショウウオ」の生態 エサを丸のみする両生類

nobico編集部
2025.09.07 11:25 2025.08.29 07:00

スライゴオオサンショウウオ

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東京・池袋のサンシャイン水族館では、夜や暗闇で活動する生き物に焦点をあてた特別展「真夜中のいきもの展」を、11月24日(月・振替休日)まで開催しています。本展では、中国原産で一度は絶滅したと考えられていた「スライゴオオサンショウウオ」が展示されています。

8月18日(月)には、スライゴオオサンショウウオについて学ぶサイエンスセミナーが行われ、オオサンショウウオ研究の第一人者である西川完途(にしかわ・かんと)教授が登壇しました。

「真夜中のいきもの展」に展示されている生き物

カブトクラゲ

●カブトクラゲ
一見すると光を放っているように見えますが、自ら発光しているわけではありません。体の側面に並ぶ細かなヒレに光が当たり、虹のように反射して輝いて見えるのです。人が海水浴を楽しむような沿岸の海でも見られるクラゲです。

サメハダテナガダコ

●サメハダテナガダコ
夜行性のタコで、昼間は岩の隙間などに隠れています。夜になると活発に活動し、カニやエビを狙って動き回ります。

アカアシモリフクロウ

●アカアシモリフクロウ
鋭い視力を持ち、周囲の動きをじっと観察するフクロウです。動くものに特に敏感で、正面の水槽にいるムカデが動くと興味深そうに目で追う姿も見られます。飼育スタッフは「周りの水槽までよく観察しているんですよ」と語ります。

ゴシキエビ

●ゴシキエビ
「五色蝦(ゴシキエビ)」の名の通り、鮮やかな体色を持つエビです。その派手さはサンゴ礁に溶け込むためのカモフラージュでもあります。夜の海では活発に動き回り、貝やウニなどを探して捕食します。

スライゴオオサンショウウオとは?

スライゴオオサンショウウオ

スライゴオオサンショウウオは中国原産の希少生物です。2024年、京都大学の研究によって、日本国内でわずか2個体が飼育されていることが確認されました。そのうち1個体はサンシャイン水族館に約26年間「チュウゴクオオサンショウウオ」として展示されてきましたが、今回の特別展で初めて「スライゴオオサンショウウオ」として紹介されます。

世界的に見ても、この2個体しか確認されていない非常に貴重な生物です。なお、いずれもオスのため、繁殖はできません。

スライゴオオサンショウウオのセミナーの様子
西川完途教授


オオサンショウウオは生まれた時から体長が10倍以上に成長し、1メートルを超えることもあるといいます。食性はきわめて貪欲で、目の前に来たものを丸呑みにします。

「調査のために胃の内容物を調べることもあります。水を飲ませるとげぼっと食べたものを吐き出します。サワガニや、子どものオオサンショウウオが出てきたこともありました。共食いもするんです」(西川教授)

スライゴオオサンショウウオのセミナーの様子

サンシャイン水族館では免疫をサポートするパウダーをまぶしたワカサギやエビを与えていますが、飼育スタッフの上市さんによると「その日の気分で食べたり吐き出したりするんです」とのこと。歯はありませんが、「はんざき」という別名の通り、一度噛みつくとなかなか離さないといいます。

オオサンショウウオの産卵数は700~1000個。一般の両生類は産卵後に卵を放置するのに対し、オオサンショウウオはオスが3~4か月間卵を世話します。

「メスは卵を守らず、むしろ食べてしまうことさえあります。育児はオスの役割なんです」(西川教授)

オオサンショウウオの正確な寿命は不明ですが、60〜70年ほどと推測されています。サンシャイン水族館の個体も年齢は不詳ながら、「おそらく50〜60歳の”おじいちゃんサンショウウオ”ではないか」とされています。

ワカサギ
免疫をサポートするパウダーをまぶしたワカサギ


セミナー当日には、スライゴオオサンショウウオへの給餌も披露されました。

スライゴオオサンショウウオ
ワカサギを口元に近づけると……

スライゴオオサンショウウオ
パクッ!ワカサギを丸呑みにする姿が見られました。

池袋・サンシャイン水族館 https://sunshinecity.jp/aquarium/

nobico(のびこ)編集部

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