「この大学に来て欲しい!」と思わせる受験生の条件は?総合・推薦入試で勝つための秘訣
総合型選抜・学校推薦型選抜という2つの大学入試形態。一般選抜とどう違うのか? 評価されるポイントやアピール方法とは?
株式会社はくらん代表取締役の和田圭史さんとキャリアコンサルタントの眞下みのりさんが語る「志望理由で合格する秘訣」を、著書よりご紹介します。
※本稿は、和田圭史/眞下みのり著『推薦入試のプロ×キャリアコンサルのプロが教える自分らしさを見つける 総合・推薦入試 志望理由書』(Gakken)より一部抜粋、編集したものです。
GOAL :やる気、相性、真面目さが大事と心得よう
大学に入るには3つのルートがあります。一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜です。一般選抜は、いわゆる受験シーズンに入試が行われます。1月に共通テスト、2月・3月に各大学の選抜試験、合格発表です。
総合型選抜は9月から願書受付・試験、11月に合格発表。学校推薦型選抜は11月から願書受付・試験、12月に合格発表です。
1月実施の共通テストを課す場合もありますが、私立大学の大多数と国公立大学の一部は、この2つの選抜にうまく通れば、年内に合格が決まります。ゆっくりお正月を過ごせて、寒い1月・2月は暖房で温まりながらのんびり過ごせるのです。
では、一足先に解放感を味わえる年内合格を実現する総合型選抜と学校推薦型選抜とは、どんな入試なのかを見ていきましょう。
やる気が大事
一般選抜の合否は、ほとんどの場合、ペーパーテストの合計点で決まります。「3教科合計300点満点で合格最低点が180点であれば179点以下は不合格」と、点数で明確な線引きをするのが一般選抜です。
しかし、総合型選抜と学校推薦型選抜はそうではありません。これら2つの選抜試験では、ペーパーテストで推し量れない資質(能力・適性等)や意欲を見ます。志望する学部・学科で学ぶのにどれほどの意欲を持っているのか、つまり、やる気が評価されます。
なぜかというと、やる気のある学生がいると、授業が活気づくからです。また、学部・学科の学びに向かう気持ちを盛り上げるムードメーカーにもなり得ます。
さらに、やる気のある学生は、大学に入って伸びることが多いとも言われています。自ら選んだ専門分野にとことん集中して取り組むからでしょう。ですから、大学もそういった学生をぜひ迎え入れたいと思っているわけです。
やる気があるかどうかは、ペーパーテストだけではわかりません。179点の不合格者の中には、180点以上の合格者よりも学ぶ意欲の高い人がいるかもしれません。そういった学生を拾い上げるのが、総合型選抜と学校推薦型選抜の役割なのです。
相性が大事
総合型選抜と学校推薦型選抜は、「マッチング入試」とも言われます。受験生がその大学・学部で学ぶ学生としてふさわしいかという相性を審査するからです。
さらに、その大学・学部で学ぶための能力や適性を持っているかを推し量ります。「大学との相性の良さなんて、どうやってアピールするの?」こう思った受験生も多いでしょう。
こうした大学・学部とのマッチングを知るには、志望する大学・学部・学科のアドミッション・ポリシー(求める学生像)を確認する必要があります。
アドミッション・ポリシーは、大学のホームページやパンフレットに記載されています。これらには、「主体的に問題解決を図ろうとする意欲がある」「国際社会に出ても、積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢がある」などのように、「~といった資質を持つ学生に来てほしい」と、求める学生の理想像が書かれています。
自らが志望する大学・学部との相性をアピールするためには、アドミッション・ポリシーを意識して、試験対策を取ることが重要です。
ただし、大学側の求める学生像に完璧に合わせようとしすぎると、それに縛られて自分らしさを出せなくなってしまうので、その点は注意しましょう。
真面目さは武器になる
学校推薦型選抜で大学入試に臨むには、出身高等学校長の推薦を得る必要があります。推薦資格を得るためには、大学の定めた成績条件をクリアしていなければなりません。
成績条件のない大学もありますが、多くの大学では調査書に記載される成績(学習成績の状況)の最低ラインを「3.5以上」などのように指定しています。
その点からも、高校時代に真面目にコツコツ努力を重ねて勉強してきた人が有利になるのだということがわかるでしょう。
「真面目にコツコツ努力できる」という資質を持つ学生は、大学の先生に人気です。真面目な学生は、授業に出席します。授業を真剣に聴きます。忘れずにレポートを書きます。
「私も頑張らないと!」と、他の学生に思わせる影響力を持っています。実際の教育を通じて大学教員はこれらを実感しているので、真面目な学生を一定数は押さえておきたいのが本音でしょう。
学校推薦型選抜のみならず総合型選抜においても、「真面目にコツコツ努力できる」という資質はセールスポイントになるでしょう。やりたいこと、実現したい夢が何であろうとも、それをやりきるには、やはり真面目さが必要だからです。
学力不問ではない
これまで説明してきたように、総合型選抜と学校推薦型選抜は、ペーパーテストでは推し量れない資質や意欲を見るのがねらいです。
とはいえ、学力を全く審査しないわけではありません。学力の劣る学生を入学させてしまうと、全体の教育レベルを下げざるを得なくなり、それが続くと大学は衰退してしまうからです。
過去のある時期に、学力不問と捉えられても仕方のないAO・推薦入試(現・総合型選抜と学校推薦型選抜に相当)が横行したために、各大学の学力低下を招いてしまったと言われています。
これに危機感を持った文科省は、入試改革を行い、総合型選抜と学校推薦型選抜においても、必ず学力審査を実施することをルール化しました。
そのため、資質・意欲とともに、基礎学力も見るのが現在の総合型選抜と学校推薦型選抜のスタイルです。
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