あの寝かしつけアイテムはパパのワンオペ育児から生まれた! 「ドリームスイッチ」誕生秘話
「もう寝て〜!」と夜な夜な子どもの寝かしつけに悪戦苦闘していた一人のパパ。その体験から生まれたのが、寝室の天井に絵本や動画を映し出すプロジェクター型の玩具「ドリームスイッチ」(セガ フェイブ)でした。
子育ての悩みがきっかけで誕生した商品は、発売から8年の時を経てどのように進化したのでしょうか?
開発担当者に話を聞きました。
(取材・文:nobico編集部)
子どもの寝かしつけで「夜が怖い」状態に
─ドリームスイッチは、いつどのようなきっかけで生まれたのでしょうか?
最初の発売は2017年の11月ですね。
きっかけは、正直に言うと僕が発狂しそうだったからです(笑)。
我が家は子どもが2人いて共働きなんですが、2人目ができてから寝かしつけが本当に大変になって。こっちが寝たと思ったらそっちが起きるし、一人寝たと思ったら二人とも起きちゃったりと、2人同時に眠らせるのがとにかく難しかったんです。妻も夜遅い仕事で、帰宅が12時過ぎることも多く、寝かしつけは完全にワンオペでした。
「寝ね〜!寝ろ〜!」って感じで、もうどうすればいいんだこれ、って状態でしたね。でも子どもに文句を言うのも違うので、いろいろと試行錯誤しました。
「子ども・寝ない」で検索しまくって、昼間たくさん運動させるとか、部屋の電気を消すとか、親が寝たふりするとか、ありとあらゆることを試したんですけど、どれもイマイチで。
絵本の読み聞かせは子どもたちも集中してくれるんですが、電気をつけないと読めない。そうすると逆に覚醒しちゃうっていう矛盾がある。
だったら暗闇の中でも読める絵本があったらいいなと思って。家庭用のプラネタリウムがあるんですけど、星じゃなくて絵本だったらどうだろうと思ったんです。
そんな背景から、ドリームスイッチは生まれました。
─ご自身が「必要に迫られて開発した」という感じですね
そうですね。今はもう子どもも大きくなり、だいぶ楽になったんですけど、当時は本当に大変で、辛くて辛くて。 「夜が怖い」状態でした。
ユーザーの意外な反応
―ご自身でも、ドリームスイッチを使われたんですよね?
もちろんです。開発中は、うちの子どもたちが完全にモニター役でした。長さや内容、スピード感などを、バージョンアップごとに実験させてもらって。他のママパパさんにもお願いして、お子さんの反応や効果を教えてもらったりもしましたね。
―実際に使った人たちからはどんな声が届きましたか?
寝かしつけが精神的に楽になったという声はもちろん、印象的だったのは「いつの間にか子供が英語の歌を歌うようになった」という感想です。
2021年に第2世代となるドリームスイッチ2を発売したんですが、こちらの商品はディズニーの物語を英語で読み聞かせできる機能がついているんです。使っているうちに自然と英語を覚えるのか、「この子、私よりも英語の発音いいんだけど。リンゴを“アポゥ“って言うんだけど」といった感想をもらって(笑)。そういう成果を聞いた時は、やっぱりうれしかったですね。
2025年に2回目のリニューアル テーマは「カスタマイズ性」
―今年新たに発売する新しいドリームスイッチは、今までと何が違いますか?
今までと大きく違うのは「カスタマイズ性」です。
ライフスタイルが変わってきて、お母さんだけじゃなくてお父さんも子育てに参加していたり、お子さんが一人で寝る家庭もあったりと、寝かしつけのスタイルも多様化してきています。
子どもたちの好みもそれぞれ違うので、「これさえ与えれば大丈夫」というものはありません。なので、様々なお子さんの好みや年齢に合わせられるように、ソフトのラインアップをいろんなキャラクターで用意し、より充実させています。
─録音機能がついたという話も聞きました。
これも「カスタマイズ性」の一つですね。録音は親御さんの手が離せない時にぜひ使っていただきたい機能です。
親の声で録音した朗読を聞くことで、離れていてもお子さんに安心感を与えられます。寝かしつけは自分の分身に頑張ってもらって、その間親自身は別のことをする、といった使い方を想定しています。
また、お子さんの成長の記録として、お子さんと一緒に音声を録音していただくのもおすすめです。読み聞かせを通じて、いつどんな語彙がお子さんの中で出てきたかがわかりますし、自分で聞き返すことでお子さんにとっても成長を感じモチベーションにつながります。音声はSDカードに保存できるので、お子さんの小さい頃の声をぜひ残してもらえたらと思います。
録音機能の他にも新機能がありまして、今回から「おやすみストレッチ」というコンテンツを導入しました。天井にストレッチの映像を映しながら、「膝を上げて」「腰をひねって」「深呼吸して」と体を動かすあそびが楽しめるんです。
外が暑くて運動できない日でも、室内で気軽に体を動かして、リラックスしてもらえたらという狙いがあります。
―機能が満載で、長い期間楽しめそうです。
そうですね、小学校に上がるまでずっと長く使ってほしいという思いで開発しています。
飽きずに長く使えるように、「スタンプ機能」も作りました。起動するごとにスタンプがたまって、7個たまるとショート動画のご褒美が流れるんです。ラジオ体操のスタンプみたいな感じで、達成感が得られるようになっています。
―本当に、すごくいろいろ詰め込まれてますね。
あれこれ色々と詰め込んだんですが、価格は以前のものより安くしました。スタンダードセットが前回の半額以下、それでいて機能性は向上していて、かなり使いやすくなったと思います。
ドリームスイッチは寝かしつけでの親の負担を楽にする効果も期待できるんですが、長く使っているうちに語彙が増えたり、英語を覚えたりと、お子さんの成長が感じられるものにもしたいなと。
そういった視点からも、本体の機能や一つひとつのソフトの内容を工夫しています。親子の時間を穏やかにするのと同時に、お子さんの成長を実感できるツールとして使ってもらえたらうれしいですね。