他人にイラっとする子の特徴は? 「べき」が強いと怒りっぽくなる理由

戸田久実

お子さんは「人に対してすぐイライラしてしまう」タイプですか? その「怒りのもと」を知り、自分自身でルールを決めることで、イライラすることが少なくなります。

アンガーマネジメントを広める戸田久実さんに、怒りのもととなる「べき」の考え方と、「怒る」「怒らない」のルールの決め方について解説してもらいます。

※本稿は、戸田久実『まんがでわかる 子どものイライラが消える本 13歳までに身につけるアンガーマネジメント』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

怒りのもとを知ろう

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「べき」は、人それぞれ違う

 親としては、

「家に帰ってきたら、靴は靴箱にしまうべき」

だと思っても、子どもにしてみたら

「置きっぱなしでもいいじゃないか」

というように、「べき」には違いがあるものです。

ほかにも、親としては、学校から帰ってきたら、すぐに宿題をやるべきだと思いますが、子どもにしてみれば、

「ご飯のあとでもいいんじゃないの?」

といったこともあるかもしれません。

子どもと親との行き違いが起こるのは、この「べき」の違いが原因になりがちです。

それぞれが大切にしている「べき」が違うために、

「なんでそんなことで怒っているの?」
「なんでわかってくれないの?」

という行き違いが起こります。

「べき」の程度も、人それぞれ違う

ゲームや本を借りたら、すぐに返すべき。

でも、自分が思っている「すぐ」と友だちが思っている「すぐ」は、違うこともあります。

「ゲームを借りたらすぐに返すべき」
「次の日には返してもらえるはず」

と思って、

「すぐに返してね」

と言っても、友だちは「3日間くらい借りていい」と思っているかもしれませんよね。

どのくらいのことと思っているかは、人によって違いますし、

「15時にうちに来てね。ちゃんと時間を守ってね」

と友だちと約束をしたとき、自分は15時ちょうどまでには来るべきと思っていたとしても、友だちにとっては、

「家に行くんだから、10分くらい遅れてもいいんじゃない?」

と思うかもしれません。

「わたしの話をしっかり聞いてね」

と言っても、どんなふうに聞くのが「しっかり」なのかは、人によって違うのです。

「すぐに」「ちゃんと」「しっかり」といった場合、どのくらいのことをイメージするかは人によって違うということです。

「怒る」「怒らない」のルールを決めよう

「べき」について人それぞれ違うということをお伝えしました。

人と関わるとき、自分にとって何がOKで何がよくないのか、境界線がはっきりしていると、

「わたしは〇〇を大切にしています」

ということを相手に伝えやすくなります。

そうすると、自分がイヤだと思っていることに対して、相手から踏み込まれることも少なくなります。境界線をはっきりさせるということは、「怒る」「怒らない」をはっきり分けるということです。

次の三重丸の図に、「ゲームや本など、借りたものはすぐに返すべき」の境界線を当てはめてみましょう。

「ここまではOK」を広げる努力をしよう

大事なことは、➁の「ここまではいいかな」「まぁ、いいか」という許容ゾーンをつくることです。そうすると、イライラすることが少なくなります。

「➁と③どちらかな?」

と迷ったら、どちらにしたら後悔しないかで決めましょう。

自分が決めた「②はここまで、③はここから」というルールは動かさないようにしましょう。

ある日は、いままで②だったことが許せなくなって怒ったり、ある日はとてもごきげんなので、いつもなら「やめてね」と言いうことを、「まぁ、いいか」にしてしまったりすると、まわりの人に、何がOKで何がイヤなのか伝わらなくなってしまいます。

だから、どこまでがOKでどこからがやめてほしいことなのか、考えてみることが大切です。

そして、怒りを自分のなかにためすぎないようにして、やめてほしいことや気持ちを言葉にして伝えられるようになりましょう。

「イヤだなあ」と思っても、言わずに我慢してしまうことはありませんか?

本当はイヤだけど、「まぁ、いいかな…」とそのままにしてしまうと、「どうしてこうなんだろう」「なぜ言えなかったんだろう」というイライラや怒りがたまって、つらくなってしまい、相手にもわかってもらえなくなります。

「ここまではいいけれど、ここからはやめてほしい」ということは、伝えていいのです。

まんがでわかる 子どものイライラが消える本 13歳までに身につけるアンガーマネジメント

戸田久実著『まんがでわかる 子どものイライラが消える本 13歳までに身につけるアンガーマネジメント』(かんき出版)

「どうして、あんなに怒ってしまったんだろう……」
「なんで、あの子はすぐキレるんだろう……」
子どもの怒りも、大人の戸惑いも、ちゃんと理由があります。
本書は、子どもが自分の〝怒り〞と向き合い、気持ちをうまく伝えられるようになる
ための最初のガイドです。

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