健康な子も突然重症化する「インフルエンザ脳症」の怖さ 医師が伝えたい「すぐ受診すべき」サイン

吉澤恵理

今年は例年より早くインフルエンザが流行し、各地の小学校低学年のクラスや保育園・幼稚園でも学級閉鎖や園閉鎖が相次いでいます。子どもが高熱を出したとき、親として心配なのが「インフルエンザ脳症」という言葉。発症頻度は決して高くありませんが、ひとたび起こると短時間で重症化する怖い合併症です。

健康な子でも突然発症することがあり、朝に熱が出て夜には人工呼吸が必要になるケースもあります。本記事では、竹内内科小児科医院院長の五藤良将先生に、インフルエンザ脳症の初期症状から受診のタイミングまで詳しく伺いました。(文・吉澤恵理)

年間100~200人発症、2割が死亡する重篤な合併症

――インフルエンザ脳症とはどんな症状ですか?

インフルエンザ脳症とは、インフルエンザに感染した幼児などにみられる重篤な合併症で、脳が腫れて全身の状態が急速に悪化し、呼吸が止まるなど命に関わることもあります。インフルエンザ感染症に伴う重大な合併症の一つです。

インフルエンザにかかった子どもの数千〜1万人に数人程度とされ、日本では年間100〜200人前後が発症しています。そのうち1~2割が亡くなり、3~4割に知的障害やてんかん、四肢麻痺などの後遺症が残ると報告されています。

発熱から数時間~1日以内で急速に悪化

――インフルエンザ脳症は「進行が早い」と言われますが、実際にはどのくらいのスピードで悪化するのですか?