叱れないパパが増えている?やさしいパパが抱える「心の背景」と解決策

伊藤美佳、まなえ(伊藤愛恵)
2025.09.18 13:42 2025.10.03 11:50

高い高いをする父と子

「子どもに嫌われたくない」「強く言えない」。そんなパパが増えています。やさしいことは素晴らしいけれど、注意すべき場面で声をあげられないのは危険信号。
実はその理由、パパ自身の過去の体験が影響している場合もあるのです。子どもを叱れないパパの本当の気持ちとは?

※本稿は伊藤美佳、まなえ(伊藤愛恵)著『モンテッソーリ教育×ハーバード式 子どもの心が見える本』(Gakken)から一部抜粋・編集したものです。

「子どもの言うことをなんでも聞いてしまう」のは、なぜ?

モンテッソーリ教育×ハーバード式 子どもの心が見える本

この記事の画像(2枚)

叱れないパパが増えている?やさしいパパが抱える「心の背景」と解決策の画像1

最近はやさしいパパが増えてきました。それ自体は悪いことではないのですが、ときどき最近のパパと子どもの様子を見て、気になることがあります。

それは「子どもに注意できない」パパが増えていることです。意外に思う方もいるかもしれませんが、たとえば子どもが本気で叩いてきたり、キックしてきたり、嫌なことをしてきているのに、子どもに対して「嫌だ」「ダメだよ」と言えないのです。

子どもは大人を見抜いていて、ひどいことをしても怒らなさそうな人、自分の言うことをきいてくれそうな人を選んでわざと叩いて、試したりすることがあります。

保育園でもこのケースを見たことがあります。複数いる保育士の先生の中で、ある男性の保育士さんだけ、手に青あざがありました。ある女の子が、その保育士さんにだけ、嚙みついてくるというのです。嫌だと言えばいいのに、言えないのです。

この「言えない」という思考パターンも、パパが子どものころまでさかのぼると見えてくることがあります。もちろん、嫌なことをしてくる子ども自身にも満たされていない思いがあるなど、理由はあるでしょう。

でも、それに対して厳しく叱ったり注意したりすることができないのは、過去の自分の経験が関係していることも。

たとえば、小さいころ親が厳しくて、いつも叱られて何も言い返せなかった。その経験があったからこそ、自分はやさしい親であろうとして、子どもに対して何も言えなくなってしまう、ということがあります。

「もっと親にやさしくしてほしかった」という思いがあるだけに、子どもに強く言えない場合があるのです。子どもに嫌われたくないという思いもあるかもしれません。

〝強い父親〞である必要はありませんし、自分が親にやってもらっていないことを子どもにしてあげたい(やさしくありたい)と思うのは素敵なこと。でも、親を叩く、蹴るなど、してはいけないことをしたら、ビシッと注意をしましょうね。〝いつもやさしいパパ〞だからこそ、きちんと注意すれば、子どもにまっすぐに届くはずです。

こんなとき、親のホントの気持ち

子どもを叱ることができないのは、自分も親にやさしくしてほしかったから。

伊藤美佳、まなえ(伊藤愛恵)著『モンテッソーリ教育×ハーバード式 子どもの心が見える本』(Gakken)

モンテッソーリ教育にハーバード大学の理論を取り入れたオリジナルメソッドで、子どもの心の中が見えてくる。ママ・パパが「なぜこんなことするの?」「いたずらばかり…」と子どもの行動にイライラしてしまう本当の理由を、過去にさかのぼって解き明かす一冊。