受験生が「実技教科」を捨ててはいけない理由…主要5教科の2倍の計算で評定に反映されることも【前編】
「主要5教科」と違って一見地味な「実技教科」ですが、実は内申点を大きく左右する要素であることを知っていますか?
たとえば現在、東京都では実技4教科の評定は主要5教科の2倍の重みで計算されるため、実技科目の努力が大きく評価に反映されるのだそう。
そんな意外と侮れない「実技4科」の学習のポイントや定期テスト対策について、前・後編で解説します。(本稿は前編です)
※本稿は清水章弘監修『中学校の実技4科が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです
後回しにされがちな実技教科
みなさんは普段、どの教科を一生懸命勉強していますか? おそらく、英語、数学、国語、理科、社会といった、いわゆる「主要5教科」を中心に頑張っている人が多いのではないでしょうか。
もちろん、主要5教科はとても大切です。でも、ちょっと待ってください。技術・家庭、保健体育、音楽、美術といった「実技教科」はどうですか? もしかしたら、「実技教科はテスト前だけ勉強すればいい」「主要5教科に比べれば、まあいいか」と、少し軽視したり、後回しにしてしまったりしている人はいませんか?
実技教科は、中学校生活を豊かにしてくれるだけでなく、みなさんの進路、つまり高校受験にも大きくかかわってきます。中学校の内申点は、高校受験の合否を左右する重要な要素の一つです。そして、実技教科の成績も、もちろん内申点にふくまれます。もし、実技教科で思うように点数が取れなければ、志望校合格が難しくなってしまう可能性もあるのです。
内申点は9教科すべてをもとに算出される
学習への取り組み状況や成果を点数化した内申点は、基本的に中学校で学ぶ9教科すべて(主要5教科+実技4教科)の成績をもとに算出されます。これは、学業成績だけでなく、多様な分野への関心やねばり強さなども評価対象となることを意味します。したがって、9教科すべてにおいて、日々の学習成果を着実に積み重ねることが内申点向上の基本です。
公立高校の場合でも、内申点の入試への反映のさせ方は全国一律ではなく、都道府県によって大きく異なります。「どの学年の成績が対象か」「どの教科がとくに重視されるか」といった点が主なちがいであり、自分が受験する地域の制度を正確に理解することが効果的な対策の第一歩です。以下にいくつかの例を挙げますが、必ず最新の公式情報を確認してください。
● 東京都… 中学3年生の成績のみが対象。とくに実技4教科の評定は主要5教科の2倍の重みで計算されるため、実技科目の努力が大きく評価に反映される。
● 大阪府… 中学1~3年生の全成績が対象だが、学年ごとの比重が異なり、「中1:中2:中3」が「1:1:3」となる。主要5教科と実技4教科の比率は同じ。中3が最も重要視されるものの、早期からの継続的な努力も評価される。
● 山梨県… 中学1~3年生の全成績が対象で、「中1:中2:中3」が「1:1:1」となる。また、すべての学年で、実技4教科の評定は主要5教科の1.5 倍の重みで計算される。中1から実技科目の成績を上げることが重要。
都道府県によってちがいはあれど、内申点を効果的に向上させるうえで実技4教科への取り組みは極めて重要であることが実感できるのではないでしょうか。「運動が苦手」「絵に自信がない」といった場合でも、あきらめる必要はありません。重要なのは、必ずしも技能の優劣だけが評価されるわけではないという点です。苦手なことにもねばり強く取り組む姿勢、独創的なアイデア、用具のていねいなあつかいなど、「真摯に取り組む姿勢」そのものが評価対象となるのです。また、実技科目と言えど、多くの学校でペーパーテストによる評価が大きな部分をしめます。しっかりと対策をして、内申点をのばしていきましょう。
本稿では、そんな「実技4教科」の中から、「技術・家庭」の効果的な勉強法や定期テスト対策のポイントについて解説しましょう。
技術・家庭の勉強法
なぜ技術・家庭を学ぶのか?
技術・家庭は日々の生活に密着したことがらを扱うため、すぐに生活に役立つ知識を学べる科目です。また、技術・家庭の知識は社会や家庭についての理解を深めることができ、将来の職業選択や人生設計を考える上で非常に役立ちます。
たとえば、技術分野では、日々の生活を支えている技術についての知識や技能を学ぶことができます。中学校では、技術分野を次の4つの領域にわけて学習します。
● 材料と加工の技術…身の回りの道具、家具、建築物を生み出す技術。
● 生物育成の技術…日々の食生活を支える技術。
● エネルギー変換の技術…電気を始めとするエネルギーを利用する技術。
● 情報の技術…スマートフォンなどの情報通信機器の背景にある技術。
一方、家庭分野では、健康的な生活や充実した家庭生活を送るために必要な知識や技能を学ぶことができます。献立ての立て方や調理の方法、衣類や住まいの手入れ、育児・介護の基礎知識、消費者としての基礎知識など、いずれも社会生活を営む上で重要な知識や技能です。
技術・家庭の効率的な学習法
・「しくみ」の図には注意する
技術・家庭では、さまざまな技術やシステムにかかわる「しくみ」を簡略化して示した図が多く登場します。わざわざ図にしている「しくみ」には、いずれも各単元で重要なポイントが含まれています。「しくみ」の図が出てきたら、ていねいに読みこみましょう。
・実習で作業の注意点をしっかり覚える
技術分野の製作や家庭分野の調理・縫製などの作業の注意点は定期テストで頻出です。作業の注意点をしっかりつかむため、授業でおこなう実習に真剣にとりくみましょう。また、可能なら、生活の中で作業を自分でおこなってみるのもおすすめです。とくに、自分で調理をしてみると、肉・魚・野菜の性質などが実感をともなって記憶に定着します。
定期テスト対策のポイント
● 実技教科は、出題の予測がしやすい
定期テスト範囲や授業の内容などからテストに出題される箇所を予測しやすいのが実技教科です。とくに、配布プリントなどの副教材には、出題されやすい箇所がまとめられていることが多いため、ていねいにチェックしましょう。
● 技術の「しくみ」を示す図に注意
技術家庭では、図表にまとめた重要キーワードを穴埋め形式で出題されることが多いです。とくに、技術の「しくみ」を示している図は頻出のため、じっくり理解しましょう
● 作図と計算問題をおろそかにしない
技術分野のテスト範囲に作図(等角図・第三角法による正投影図)や計算問題(定格値に流れる定格電流)などがある場合は要注意。作図と計算問題への対策はしっかりとおこないましょう。配布プリントや教科書ワークの練習問題を解いたり、教科書の作図を写したりするとよいでしょう。
また、技術分野の「エネルギー変換の技術」に出てくる計算式や、「情報の技術」で出てくる単位なども頻出です。計算式や単位は書き写したりして、しっかり記憶を定着させるとよいでしょう。
● 「持続可能な社会」関連のキーワードに注意
2015年9月の国連サミットでSDGs(持続可能な開発目標)が採択されて以降、技術・家庭でも「持続可能な社会」の実現のための環境や社会に配慮した技術や考え方が扱われています。定期テストでも出題されやすいポイントです。
【保健体育、音楽、美術の効果的な学び方については後編でお伝えします。】
清水章弘監修『中学校の実技4科が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)
実技4科で内申点に大きく差をつけよう!
<この本の5つの強み>
その1
実技4科の大事なところを、ギュッと1冊に!
簡潔にわかりやすくまとめられているので、定期テスト前の勉強にピッタリ! 実技科目は内申点に大きくかかわることから、定期テスト対策が重要です。
その2
各教科の「おすすめ勉強法」を掲載!
どのように勉強したらいいのかがわかりづらいのが実技教科。そこで、教科別のおすすめ勉強法を掲載しました。
その3
各項目に「テスト対策のヒント」を掲載!
1見開きごとに、間違えやすいポイントやテストで問われやすいことなどをまとめた「テスト対策のヒント」を掲載。苦手な単元の攻略方法がつかめます。
その4
フルカラーでイラスト・図もいっぱいなので、見やすい・わかりやすい!
全ページフルカラーでイラストや図もたくさん載っているので、ビジュアルからも内容が頭に入ってきます。「参考」「注意」「重要」「暗記」「発展」など補足説明も充実しているので、知識がどんどん身につきます。
その5
赤シートで消える重要用語と「基礎力チェック!」テストで、自分の力を確認できる!
重要用語は付属の赤シートで消えるので、記憶の定着に役立ちます。各項目に「基礎力チェック! 」テストつきなので、自分の力を確認できます。