大ピンチずかんの主人公になれる!親子で遊べる「大ピンチ展!プラス」体験レポ【東京・立川】
2025年10月8日(水)から12月7日(日)まで、立川PLAY! MUSEUMで「大ピンチ展!プラス」が開催中です。大阪、横浜を巡回し大盛況だった展示が、さらにバージョンアップ。子どもから大人まで夢中になれる体験型の展覧会に、編集部もさっそく遊びに行ってきました。
(取材・文:nobico編集部 中野セコリ)
作家自ら考案した“ ピンチ・エンターテインメント“

日常の中で起こる様々なピンチをユーモラスに描いた絵本、「大ピンチずかん」シリーズ。
「大ピンチ展!プラス」では、次々と訪れる“ピンチ”を、「みる・なる・かんがえる・とびこむ」という4つの角度から体験。絵本の主人公の気持ちを味わうことができます。
「子どもが展示や原画をありがたがって、大人しく鑑賞するとは思えない!」と考えたのは、「大ピンチずかん」シリーズの作者・鈴木のりたけさん。「ただ絵本を立体化するだけじゃ面白くない」と、遊んで楽しめる展示を自ら考案されたのだそう。
筆者もわくわくしながら、早速大ピンチの世界に足を踏み入れます。
絵本の展示なのに、絵本にはないピンチが!?
最初に我々を出迎えてくれたのは、巨大な「たおれそうなケーキ」のパネル!こぼれた牛乳や、こちらを舐めたそうにしているセントバーナードなど、絵本でおなじみのピンチが並びます。
どれも楽しい写真が撮影できそう。
実は「大ピンチ展!プラス」には、絵本にないピンチも多数登場します。

こちらの「あまもりの大ピンチ!」は、実際にピンチを体感できるゲーム形式の展示。雨粒に見立てたボールやビー玉を、バケツでキャッチして遊べます。
難易度はかなり高く、全部キャッチするのは大人でも至難の業。
成功を目指すのではなく、失敗を楽しむのがおすすめです。
使用中のトイレから聞こえてくるのは…
進んでいくと、ずらっと並んだトイレのドアが登場。近づくと、中から「入ってまーす!」と大声が! トイレに行きたいけど、どの個室も開いていない。そんなピンチを疑似体験できます。
ドアの向こうにいるのは、人間とは限りません。ぜひ声の主を想像して楽しんでください。
さらにその先には、地面に散らばる大量のフンが…!!
リアルすぎて悲鳴を上げたくなります。
「開かずのトイレ」の先にこの風景が広がっていので、思わずよくない物語を想像してしまいました。
こちらの展示、大阪、横浜では「子供たちが狂喜乱舞していた」と鈴木のりたけ先生。フンを踏まないように、マルの中を飛び越えて進むのがおすすめです。
ピンチを生み出してみよう
来場者が自分でピンチを「かんがえる」ことができるのも、「大ピンチ展!プラス」の醍醐味です。
こちらは「だれが・どこで・なにを・どうした」の4種類のバーを組み合わせて、さまざまなピンチのシチュエーションを作る「大ピンチバー」。
とある人が作ったピンチを、別の人が組み替えてまた別のピンチを生み出す…そんな来場者同氏のかかわりあいも楽しめる、参加型の展示です。
大阪、横浜の会場では、子どもに付き添って来たであろうお父さんたちが、黙々と遊んでいる姿も見られたそう。
せっかくなので筆者もつくってみましたが、いかがでしょうか。
男の子の身に降りかかるピンチを組み合わせて楽しめる、「大ピンチブロック」もおすすめ。6つに分かれたブロックには、それぞれすべての面にありとあらゆるピンチが描かれています。全身ピンチに襲われる男の子、泣きっ面にハチどころの騒ぎではありません。
なんとこちらのブロック、積み木にもなっています。ショップで購入できるので、家でもじっくり遊べますね。
「おかあさんが へんな ふくを かってきた」…そんなピンチを生み出せる展示も。
服の部分がくり抜かれたになった「大ピンチ へんなふくカード」をかざして、とんでもないデザインの洋服を男の子に着せることができます(ただし、意外とおしゃれな仕上がりになることも)。
「大ピンチ へんなふくカード」もショップで購入できます。ぜひいろいろな服を着せて楽しんでみてください。
ピンチでわいわい盛り上がろう

会場内でひときわ目立っていたのが、こちらの巨大ステーキ。かたいステーキをナイフで切るというピンチを体験することができます。
筆者も挑戦してみましたが、ナイフはずっしりと重く、お肉も思っていた以上に硬かったです。どうしよう、なかなか切れない…と、リアルなピンチが味わえました。
小さなお子さんは大人と挑戦したほうがいいかもしれません。

こちらの「大ピンチぎゅうにゅうぶろ」は、男の子が牛乳をこぼすおなじみのシーンを、プールのような形で再現した展示(というか、もはや遊具)です。この日来場していた小さな子どもたちに大人気でした。
牛乳パックからは、牛乳に見立てた白い緩衝材を流し入れることができます。ぜひ、自らピンチにとびこんでいってください。
「大ピンチ展!プラス」のプラスの部分
「大ピンチ展!プラス」には、大阪、横浜にはなかった展示が登場。
鈴木のりたけさんのデビュー作『ケチャップマン』などの絵本原画や、「大ピンチずかん」シリーズのラフスケッチなどを見ることができます。
こちらのイラスト、主人公の目が今とは違いますね。「大ピンチずかん」シリーズがどのように生まれたのか、その裏側を覗き見ることができます。
鈴木のりたけさんの人となりが伝わる展示も。
実はJR東海に勤めていたこともある鈴木のりたけさん。新幹線を運転している、貴重な写真に注目です。
ショップ&カフェにもぜひ足を運んで
展示を楽しんだ後は、ショップ&カフェへ!
ミュージアムショップには、楽しいピンチが満載の、オリジナルグッズがずらりと並びます。
棚には、お財布のピンチ度がわかるメーターも…。鈴木のりたけさんのユーモアが、こんな所にも感じられました。
筆者が購入したのは、いろんなピンチを演出できるクリアファイル。「ぶつよくが とまらない 大ピンチレベル35」…という感じで遊べます。おすすめです。
カフェには、「大ピンチ展!プラス」とのコラボメニューが!
ケチャップが飛び散るオムライス、倒れそうなケーキなど、ピンチが体感できるメニューがそろっています。絶妙にストレスを感じそうですが、それも含めて楽しみましょう。
人生に大ピンチはつきもの
「“大ピンチが来ても大丈夫“って思うより、まずは“大ピンチが起こるのは当たり前”って思うといい。ピンチに落ち着いて対応できるようになって、さらに、最後には笑い飛ばせるくらいの気持ちになるといいよね」
「大ピンチ」について、そう語る鈴木のりたけさん。
普段はなるべく避けたいけれど、人生において絶対に避けられない大ピンチを、この展示ではエンタメとして楽しむことができます。
子どもだけでなく、大人も夢中になること間違いなしの「大ピンチ展!プラス」。たまには自分からピンチに飛び込んで、思いきり楽しんでみるのもいいかもしれません。
「大ピンチ展!プラス」開催概要
展覧会名:鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」
会期:2025年10月8日(水)ー 12月7日(日)
会場:PLAY! MUSEUM
住所:〒190-0014 東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3棟 2F
時間:10:00-17:00(土日祝は18:00まで/入場は閉館の30分前まで)
入場料:一般1,500円/大学生1,000円/高校生800円/中学生600円/小学生600円、未就学児無料
■チケットについて
土日祝および混雑が予想される日は、1時間毎の日時指定制を導入し、事前決済のオンラインチケットを販売します。平日はMUSEUM受付で当日券のみの販売です。
「大ピンチ展!プラス」の詳細は、PLAY!公式WEBサイトをご覧ください。
鈴木のりたけ語り・絵『大ピンチを楽しむ』(ブルーシープ)
「大ピンチ」はどこまで行く?
子どもが直面するさまざまなピンチをユーモラスに描き、ミリオンセラーとなった絵本「大ピンチずかん」シリーズ。本書は、2025年7月からはじまる体験型の展覧会「大ピンチ展!」の公式図録です。
作者・鈴木のりたけへのインタビューを通して、ミリオンセラーとなったシリーズ誕生の背景から、創作の舞台裏、思考の変遷までをラフ画やスケッチとともに丁寧に記録した1冊です。ヒットの理由を探る鈴木自身の言葉から、作品のさらなる魅力と創作の深層に迫ります。
後半では、「大ピンチ展!」のメイキングや、絵本作家の原点でもある子ども時代のエピソード、人気絵本作家となるまでの経緯、そして15年の創作を通して追求してきた絵本づくりの哲学までを余すところなく紹介します。
「大ピンチずかん」シリーズのファンはもちろん、ものづくりに携わるすべての人に向けた、創作のヒントとエールがつまった“ピンチ・エンターテインメントブック”です。
©鈴木のりたけ/小学館 ©BlueSheep