子どもの永遠の夢「食べ物の中に入ったら」を実現?『おいしそうなしろくま』【絵本レビュー】
nobico編集部員が、おすすめの絵本をご紹介します。
今回は、柴田ケイコさんの『おいしそうなしろくま』(PHP研究所)を、4歳の息子に読み聞かせてみました。
今回読んだ絵本はこちら
『おいしそうなしろくま』(PHP研究所)
柴田ケイコ作・絵
対象年齢:4歳 5歳から
食いしん坊の想像が広がる!
『おいしそうなしろくま』は、『パンどろぼう』で有名な人気作家・柴田ケイコさんの絵本。食べるのが大好きで、「すききらいは もちろん ないよ」と自負するしろくまの男の子が主人公です。
このしろくまくん、食べることが好きすぎるあまり、「たべものの中にはいってみたら、どんな感じかな?」という想像を広げ始めます。
「いくら食べるのが好きだからって、食べ物の中に入りたいって思うかしら……」というツッコミが頭をよぎったのは、わたしだけではないはず。
その点、息子はそこにあまり疑問を感じていない様子でした。
大人と子どもの差でしょうか。
白いご飯からはじまり、たまごやき、肉まん、コロッケなど、ありとあらゆるメニューと一体化するしろくまくん。
むっちりとした体形のしろくまくんは、不思議とどの料理にもマッチしているように見えます。
なぜ料理の中に!? などと思っていましたが、しろくまくんの大変満足気な表情に、不思議とこちらも笑顔に。
おいしそうな絵に食欲が刺激される
柴田さんの絵本の魅力といえば、食べ物です。
おいしそうな料理に包まれて幸せそうなしろくまくんをみていると、つい、ごはんの中に入る自分自身を想像してしまいます。
あたたかさ、柔らかさ、そしておいしそうないい匂い……うーん、意外と悪くないかも……?
魅力的に描かれたごちそうたちに、読んでいるこちらもおなかがすいてきます。
おでんやすしなど、和食メニューがたくさん出てくるのも個人的には嬉しいポイント。
食の好みがちょっと渋めの息子も、味噌汁やうどんなどの好物が絵本に登場して嬉しそうでした。
「おいしそう!」「これ食べたい!」と親子の会話も弾みます。
また、しろくまくんはたびたび、「きみは どの すしねたが すき?」などと読者に語りかけてきます。
それに対し、「ぼくはね~、まぐろが好きだよ!」と元気いっぱい答える息子。
4歳児、無邪気でかわいい……。
絵本の中のしろくまとの対話が楽しめるのも、この絵本の面白いところでした。
想像の楽しさを思い出させてくれる絵本
幼いころから、「食べ物で遊んではいけない」としつけられる私たち。
そんな食べ物の中に入るなんて、結構なタブーな気もしますが、同時にわくわくもします。
実際に食べ物の中に入ることは不可能ですし、実現しようとしたら、きっととんでもないことになるでしょう。
しかし、想像の世界は自由です。衛生的にどうとか考えず、いくらでも心行くまで料理の中に身を沈めてもよいのです。
そんな想像の楽しさを、大人にも思い出させてくれる1冊でした。
4歳児も大変気に入ったようで、しろくまくんとの会話を楽しみつつ、何度も絵本を読み返しています。
食いしん坊な子どもはもちろん、食べることが好きな大人にもおすすめの絵本です。
ちなみにこの絵本、人気のあまり『あま~いしろくま』『にくにくしろくま』『パンしろくま』……とシリーズ化しています。
現在全9冊と、しろくまくんの想像力は尽きることがない様子。
子どもの食の好みにあわせて、ぴったりな1冊がみつかるのではないでしょうか。
息子は魚介が好きなので、次は『うみのごちそうしろくま』を読んでみようかな。