子どもの食欲と好奇心を刺激! 写真絵本『人間は料理をする生きものだ』【絵本レビュー】
nobico編集部員が、おすすめの絵本をご紹介します。
今回は、森枝 卓士 文・写真『人間は料理をする生きものだ』(福音館書店)を、4歳の息子に読み聞かせてみました。
今回読んだ絵本はこちら
『人間は料理をする生きものだ』(福音館)
文・写真:森枝 卓士
対象年齢:5・6才~
動物と人間の食事風景の違い
子ども向けらしからぬ、渋めなデザインの装丁(※個人の感想)ですが、息子は表紙の写真を見ながら「どれがおいしいかな?」とわくわく。ページを開く前から期待度高めの様子です。
まず登場するのは、皮ごとパイナップルを食べるヒヒや、獲物を骨ごと食べるライオンなどの動物たち。迫力ある写真の数々に、「皮、おいしいの?」「骨、刺さらない?」と目を丸くする4歳児の姿がありました。
他にも、タウナギを丸呑みするアオサギ、牧草を反芻しながら食べる牛など、人間とは違う食事風景に息子は興味津々です。
「料理」という行動を徹底的に掘り下げる
動物は食べ物をそのままの姿で食べることができますが、人間は違います。
絵本の中では、食材を準備する方法(育てる、お金で買うなど)や、食材を美味しく食べるための工程(切る、炒める、煮る、焼くなど)が、豊富な写真とともに詳しく解説されています。普段何気なく口にしている野菜やお肉が、どれだけの手間をかけて食卓に並ぶのかを知ることができます。
つい説明を避けてしまいがちな、「動物を屠る」という行為についても、しっかりと触れられていました。お肉はもともと動物だったということに、息子はなんとなくピンときた様子。「屠るってどうやって?」と怖がる様子をみせつつも、お肉になった鶏の写真を見ると「おいしそう!」と一言。その切り替えの早さに、息子の生き物としての生命力を感じました。ぜひその調子で強く生きていってほしい。
ティラピアの揚げ物に興味津々
馴染みのない異国の料理を知ることも、この絵本の魅力。ずらりと並んだ見慣れぬ料理を指さし「これ食べたいな…」と興味を持つ息子の様子から、食いしん坊の才能が垣間見えました。
「どれが一番食べたい?」と聞くと、ウガンダの食事(ティラピアという魚の揚げ物に、主食としてバナナを添えたもの)を選ぶ魚好きの息子。
食べさせてあげたいけれど、日本で味わえる機会があるかしら…。
読んでいるとお腹がすいてくるので、食事前に読むのがおすすめかもしれません。
図鑑並みの満足感!
写真満載のこちらの絵本、図鑑好きの息子のツボに見事はまったようです。表紙の印象から子供向けっぽくないなどと思っていましたが、大人の思う「子供らしさ」と、子どもが本当に「良い」と感じるものは一致しないのだと実感。
一見普通の薄さの絵本なのですが、内容が大変濃く、気がつくと20分以上一緒に読んでいました。
「これはどういう意味?」「あれは何?」と質問攻めにあうので、じっくり読み聞かせられる時間があると良いかもしれません。
ちなみに、親である私が個人的に印象に残ったのは、「人間は家族や仲間といっしょに食べます」という一文です。一緒に美味しいものを食べ、喜びを分かち合えるのは人間だけの特権。毎日の食事を用意するのは大変ですが、家族と一緒に食事ができる喜びをかみしめなければいけませんね……。
食べることが好きな子や、「物語よりも図鑑派」という子には、特におすすめしたい一冊です!
(nobico編集部・セコリ)