1LDKで子ども部屋どうする? 一級建築士が教える親子3人の快適模様替え術
1LDKに親子3人で暮らす中、「子ども部屋をどう確保するか」に頭を悩ませている家庭は少なくありません。限られたスペースで、子どもの成長に合わせて模様替えをするにはどうしたらいいのでしょうか?
一級建築士であり模様替え作家でもあるしかまのりこさんが、実例を交えながら、限られた空間を快適に使いこなす工夫と家具選びのポイントを解説します。
※本稿は、『狭い家でも子どもと快適に暮らすための 部屋作りのルール』(しかまのりこ/彩図社)から一部抜粋・編集したものです。
模様替えのタイミングは3回
部屋割と機能的な部屋への模様替えの例を簡単にご紹介しましょう。
ところで、模様替えや部屋割の変更はいつ行えばよいのでしょうか。
一般的なタイミングは新婚時期から考えると、
1. 子どもの出産から幼児期
2. 学童期(リビング学習期)
3. 中学生以降(思春期)
の3回で、子どもの数や年齢差によりさらに増えます。
子どもの成長に合わせて模様替えをしたいと思いつつも、億劫で、結局、だらだら過ごしてしまうという方は多いです。親も忙しいので、仕方がないことですね。
しかし、子どもが小学生ならまだよいのですが、思春期に入った中学生になっても親子一緒に川の字で寝ているご家庭も大変多く、子どもの心に何らかの問題が発生する場合があります。
そういったことを防ぐためにも、あらかじめ、「第一子が小学校に入学したら子ども部屋を作る」「中学生になったらパーソナルスペースを作る」など、ライフステージの変化に合わせて間取りをどのように使うかを想定し、模様替えをライフプランに組み入れ、実行することが大切です。
ライフプランに組み入れる際には、家具の買い足し・処分費用も予算にいれて確保しておきましょう。いつどのような模様替えを行い、どのような家具が必要になるかが先にわかっていれば、使い回しのきく家具を購入することができます。そうすれば家具の購入費や処分費を抑えることができます。
使い回しができることに加えて、永く使える丈夫な、健康被害の少ない家具を選びましょう。そうしておけば、子どもが進学や就職で一時的に家を出るときも実家の家具を持って行くことができる場合が多く、最終的にはお得になります。
さて、模様替えの必要性や時期についてイメージできたでしょうか?
さらにイメージを深めるために、1LDK 3人暮らしの実際の模様替えと部屋割の様子を見てみましょう。
1LDK親子3人の住まい
1LDKの間取りに、親子3人で暮らす場合の一例です。
この間取りで、子どもが生まれる前から、思春期になりパーソナルスペースを必要とするところまでの部屋割と家具配置をご紹介します。
【子どもが生まれる前】
子どもが生まれるまでは、上の5.5畳の個室を寝室、下のキッチンと隣接する8.5畳の部屋をリビングダイニングとして使用します。
これは新婚家庭や同棲中の方によくある部屋割の選択ですね。
ところで、新婚時代はダブルやクイーンサイズのベッドを購入される方も多いのですが、シングルベッドを2つ並べる方がオススメです。と言うのも、体に合うマットレスは個人差があるので個々人で選べた方がよいですし、将来別の部屋で使う可能性もあるからです。
さて、この家のままで、子どもが1人生まれたらどうしたらよいのでしょうか?
【乳幼児期】
子どもが生まれてから幼児期までは、上図のように模様替えを行うことで子どものスペースを確保することができます。
まず、遊具を置くスペースを作るためにリビングのユニットソファを壁に寄せ、一部は寝室で物置として使用します。
子ども用の収納と椅子はリビングに増設しました。
寝室は、小型のベビーベッドをレンタルしてベッドと壁の間に置いてもよいですが、赤ちゃんが安全に添い寝できる2歳頃になったら一緒にベッドで眠る方が部屋は広く使えます。
【学童期】
学童期にも、上の5.5畳の部屋は引き続き寝室として使用し、下の8.5畳の部屋はリビングダイニングとしてだけではなく、学習スペースとしても使用します。
リビングのキッチンカウンター前には子ども用のデスクと学習用品を置くことにしました。子どもの椅子はダイニング用と勉強用で兼用します。
大きな遊具などは片づけ、寝室に置いてあったユニットソファの一部をリビングに戻すことで全員でソファに座れるようにしました。
また、寝室は子どもの体が大きくなってきたのでシングルベッドを増やし、おもちゃなどもそちらに移動します。
【思春期】
思春期の子どものパーソナルスペースを確保するためには、部屋割を変更する必要があります。
今回は、上の部屋は子ども部屋と同性の親の寝室、下の部屋はリビングダイニング兼異性の親の寝室としました。下の部屋では寝るときはソファに布団を敷いて寝る形です。
子ども部屋は、子どもの学用品やデスク、ベッドをまとめて配置し、周囲に突っ張りパーテーションで壁を作ってパーソナルスペースを確保します。
同時にクロゼットと親の就寝スペースへの動線を確保しました。
さて、新婚から思春期までの模様替えの様子を見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
家具は買い足すことはありますが、大体は同じものを移動したり形を変えて使い回しています。たとえばソファはユニットソファを使うことでソファの大きさを時期に応じて切り離したりくっつけたりして変え、ソファとしてはもちろん、親の一時的なベッドとしても使用し、模様替えに対応しています。
このように、工夫次第では1LDKでも家族3人で快適に暮らすことができます。
『狭い家でも子どもと快適に暮らすための 部屋作りのルール』(しかまのりこ/彩図社)
「おもちゃや絵本、学用品があふれていて家が片づかない!」
「子ども部屋を作ってあげたいけれど家が狭くてスペースがない」
そんなお悩みを、一級建築士であり模様替え作家でもある著者が解決。さまざまな家族構成と間取りの実例を掲載したので、役立つヒントが満載です。
