親も「今さら!?」と驚き… 9年間の不登校に飽き、高校進学を決意した瞬間

小・中学校の9年間、一日も学校に通わず不登校を貫いた、作曲家の内田拓海さん。
そんな内田さんに転機が訪れたのが、中学3年の終わりごろ。自由で楽しかったはずの「不登校の日々」に、限界を感じ始めたのだそうです。
長年の不登校から、突如高校進学を決意した瞬間を、ご自身の著書『不登校クエスト』から抜粋してご紹介します。
※本稿は内田拓海『不登校クエスト』(飛鳥新社)より一部抜粋、編集したものです。
毎日に飽きたら「次のステップに進むサイン」

毎日、好きなだけゲームやりネット上でチャットをして、たまに絵を描いて、気が向いたら外に遊びに行って体を動かし、帰りに駄菓子屋に寄って、帰って来たらまたゲーム……「毎日が日曜日」どころか「毎日が夏休み」のような日々を小・中学校の9年間、保育園の期間も含めれば10年以上続けてきました。
ところが、中学の3年間も終わりにさしかかる頃、私の中で変化が起き始めてきました。
そんな夢のような生活が、楽しくなくなってきたのです。以前は夢中になって没頭していたオンラインゲームをやっても、どうも以前ほど面白くありません。フリースペースへ行っても、結局みんなで遊ぶだけなので、それも楽しくありません。
絵を描いても、外へ遊びに行ってもつまらない。
「何しても、全然面白くないなぁ……」
もしかしたら、もっと早くに心の中では薄々気づいていたのかもしれません。
「そろそろ、1人でいるのは限界なのかもしれない」
ゲームで新しいアイテムを探すよりも、もっと生産的で有意義なことをしたい。
もっと人とコミュニケーションをとってみたい。
もっと面白いことを探して、そこに思い切り自分の身を投じてみたい。
「自分の人生、いよいよ次のステップに進む時が来たんだな」
そう確信しました。
まさかの高校進学希望

折しも、ちょうど次の進路について考える時期でもありました。このままホームスクーリングを続けて、高卒認定を取るという選択肢もありましたが、私は10年以上続けたこの環境に、すっかり飽きてしまっていました。
「よし、高校に行ってみよう!」
「普通の学校生活というものを体験してみよう。高校で色々やってみたら、これまで知らなかった面白いことがあるかもしれない」
スッと心が決まりました。不思議と怖さもありません。高校へ通う自分を想像するとワクワクする感覚がありました。
母に「高校行くことにするよ」と伝えると、私の想像以上に驚かれてしまいました。
「えっ!? 今さら!?」
小学校も中学校も頑なに行こうとしなかった息子が、急に「学校へ行く」と言い出したのですから、母にとっては、やはり大事件だったのでしょう。
私にとっても、人生の最初のターニングポイントでした。
私は、自らの意思と考えがあって「一日も通学しない」――不登校というスタイルを選びました。
過ごした時間と、私がその間にやってきたことを今振り返ってみても、
「間違ってはいなかった」
と心から思えます。私にとっては間違いなく必要な時間であり、成長の過程でした。ただ一方で、少し複雑な後悔にも似た気持ちがあったのも事実です。
「人生には、そんな方法以外にもたくさんチャンスがあったのかもしれないな」
実は、小学校入学時にはインターナショナルスクールに行くという選択肢も、両親は考えてくれていました。でも私はなぜか英語に対する嫌悪感があって、その提案をはねつけてしまいました。インターナショナルスクールではなくて、普通に学校に行ってみたら、もしかしたらそれはそれで案外楽しく過ごせたかもしれません。
学校だけではありません。ありとあらゆるものに対して、子どもの頃の私は“食わず嫌い“が多過ぎた部分がありました。
後悔しながら通り過ぎたことも、実はたくさんあったのです。
インターナショナルスクールでもなんでも、自分が何も考えずにとにかく突っ込んで行ってみることができていたら、数年後、数十年後の自分の可能性をもっと大きく広げてくれていたかもしれません。
「その可能性を自分から突っぱねてきてしまったな」
人生に“たられば“はありませんが、また別の、自分で想像もしなかったチャンスの扉が開いていたのかもしれません。
内田拓海『不登校クエスト』(飛鳥新社)
教育&学びの第一人者、大絶賛!!
「保育園中退。積極的不登校。唯一無二の個性に学校は不要だった」
――教育評論家・尾木ママ
「“完全不登校“から始まる学びの冒険。生きるっていいね」
――脳科学者・茂木健一郎
小・中学校9年間、たったの1日も通学せず、高校からピアノを始めて藝大に入った26歳作曲家が考える「自分で学ぶ力」「自分の生きる道」の新しい見つけ方&育て方!!
6歳で自ら「学校に行かない!」と宣言し、ホームスクーラーとなった作曲家…内田拓海さんによる自伝的エッセイ。生きづらさに苦しむ子ども自身はもちろん、子どもの教育、学校との向き合い方に悩む親の背中を押してくれる「人生を切り拓くヒント」満載の一冊。不登校46万人時代の新バイブルです。






























