てぃ先生が中学生のやさしさに感激 大人も学びたい「赤ちゃん川柳」の温かい視点

nobico編集部

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日本全国の中学生向けに「赤ちゃんを知る授業」を提供している、ピジョン株式会社。

25年10月にかえつ有明中学校で行われた特別授業では、生徒たちが赤ちゃんの目線になって思いを五七五に込める「赤ちゃん川柳」を作成しました。

その代表作を発表する「赤ちゃん川柳発表会」が、25年11月11日に開催。残念ながらインフルエンザ流行による学校閉鎖のため、生徒のみなさんはオンラインでの参加となりましたが、特別ゲストには保育士のてぃ先生、タレントの藤本美貴さんも登場。中学生たちの思いや発想は、どのように川柳に込められたのでしょうか。

赤ちゃんを知る授業とは?

赤ちゃんの行動や特徴について学ぶ、「赤ちゃんを知る授業」。街中で妊婦さんや赤ちゃんがどんなことで困っているかを考えるワークを通して、中学生が「自分にできること」を見つけていく内容になっています。

先日、かえつ有明中学校で行われた特別授業では、生徒たちが「赤ちゃん川柳」を作成しました。これは、ママやパパが日常で感じる“ドキドキする瞬間”をテーマにした3種類の生成AI動画を鑑賞し、生徒たちが感じた気持ちを川柳で表現したものです。

赤ちゃん川柳 選ばれた6作品はこちら

各クラスから選ばれた代表の川柳は、次の6作品。
クラス代表の生徒の方、てぃ先生、ピジョンの半澤ふみ江さんのコメントと共にご紹介します。

「思いやり 小さき頃の 恩がえし」(3年1組)

生徒:この句を作った理由は、自分たちも小さい頃に、人に支えられた経験があると思ったからです。支えてくれた周囲の人たちへの感謝を忘れずにいたいという思いを表しています。

てぃ先生:よくこんな川柳を、この歳で思いつきますね! 誰もが小さい頃に周りの人たちに思いやりのある優しいことをしてもらって成長してきているのですが、ついつい忘れてしまうんですよね。そんな中で、「自分たちにも小さい頃があって、周りの人に優しくしてもらってここまで来た」ということに気づけるのは、本当にすばらしいことです。この年齢でそこに気づいているなんて、将来どんな大人になるんだろうと、思わず期待が高まってしまいますね。

「席どうぞ 声かけひとつで えがおの場」 (3年2組)

生徒:電車やバスで、赤ちゃんと一緒にいるお父さんやお母さんに「席どうぞ」と声をかけることで、みんなが笑顔になれるような、世の中をみんな楽しめる場所にしたいという想いからこの句を作りました。

半澤さん:「席どうぞ」という言葉が最初に出てくるこの句ですが、席を譲るって、大人でもなかなか勇気がいることなんですよね。それを率先してやろうという気持ちがしっかり伝わってきます。席を譲ったことで赤ちゃんとパパ・ママが笑顔になる。そんな“相手の気持ち”を推し量っているところが、本当にすばらしいと思います。

「狭い道 大きい未来に 続く道」 (3年3組)

生徒:赤ちゃんを連れて街中を歩いていると、スーパーなどに狭い通路が多いことに気づくと思います。ベビーカーでは歩きにくい狭い道も、赤ちゃんの大きな未来へとつながる道、明るい未来へ続く道である。そんな思いを込めて、この句を作りました。

てぃ先生:深すぎない!? 本当に中学生が考えたんですか? 心が豊かじゃないと、こういう発想は出てこないと思います。3組のみなさんがどんなご家庭で育ったのか、そっちが気になってしまいます。(笑)
親御さんにとってスーパーの狭い通路って、「子どもがお菓子を欲しがるかも」とか「商品を触っちゃうかも」って、つい心配になってしまう場所なんですよね。でも中学生のみなさんの目には、それが“未来へ続く道”に見えている。その感性が本当にすてきだなと思いました。

「泣いてても 笑って見守る それだけで」 (3年4組)

生徒:赤ちゃんが泣いていると、お父さんお母さんは周りの目が気になって焦ってしまいます。周りの私たちが温かい目で見るだけで、お父さんお母さんだけではなく、赤ちゃんも安心できるのでは、という思いを川柳で表しました。

半澤さん:授業の中で、「赤ちゃんはなぜ泣くのか」ということを一緒に学んだんですよね。お腹がすいたとか、おむつを替えてほしいとか、いろんな気持ちがあって泣いている。赤ちゃんにもちゃんと気持ちがあるんだよ、という話を生徒さんたちにしました。それをしっかり受け止めてくれたんだなと感じて、とても嬉しかったです。
「笑って見守る」という部分も本当に素晴らしいと思いました。赤ちゃんが泣いていると、周りの人も「何かしてあげなきゃ」「どうしよう」と焦ってしまうことがあると思うんです。でもそうではなくて、にっこりと微笑んで、どっしり構えて温かく見守る。そういう気持ちを4組のみんなが持っていることが嬉しかったです。

てぃ先生:泣いている赤ちゃんがいたら、「可愛い!」って言ってあげるのもいいと思います。無理に話しかける必要はなく、ただ「可愛い」っていうだけで、親御さんに「敵じゃないよ」「味方だよ」という気持ちが伝わると思います。ぜひ皆さんに使ってほしいなと思います。

「ほほえみが 泣き顔に効く ひみつ兵器」 (3年5組)

生徒:電車や街中で泣いている赤ちゃんに声をかけるのは少し勇気がいるけれど、微笑みかけることなら誰にでもすぐできると思い、この川柳を考えました。優しく微笑むことで、お父さんやお母さんの緊張もほぐれて、赤ちゃんも安心できるのではないかと感じました。

てぃ先生:本当に、中学生のみなさんがここまで親御さんのことを考えてくれているという事実だけで、心が温かくなりますね。先ほども言いましたが、声をかけなくてもいいので、「かわいい!」と口に出してあげることが大事だと思っています。
周りの大人がこわばった表情をしていたり、特にパパやママが焦っていると、赤ちゃんも不安になって、ますます泣いてしまうことがあります。周りの人が微笑んで見守れば、親御さんも安心でき、その安心が赤ちゃんにも伝わる連鎖が生まれると思います。

「泣いてもね いないいいないばぁ うれしいな」 (3年6組)

代表生徒がインフルエンザで欠席のため、代わりにかえつ有明中学校 家庭課主任の吉井小鈴先生からコメントがありました。

吉井先生:他のクラスと違うのは、

赤ちゃんのセリフとして表現している点ですね。赤ちゃんが「いないいないばぁ」が大好きで、「うれしいな」と感じている。中学生がその気持ちに寄り添って作ったところがいいなと思います。

半澤さん:「いないいないばあ」は鉄板ですよね。間違いなく効果があります。
普段は冷静な親御さんでも、公共の場で赤ちゃんが泣くと焦ってしまうことがあります。電車の中なら「もう降りちゃおうかな」と考えてしまうかもしれません。
でも、赤ちゃんはパパやママ以外の「いないいないばあ」でも、気持ちが切り替わって泣き止むことがあります。この句には、一歩踏み込んで行動する勇気まで表現されていて、とてもいいと思います。

作品はポスターに! 地域に張り出されます

赤ちゃんやその親御さんへの温かい気持ちが込められた、かえつ有明中学校3年生のみなさんの作品。選ばれなかった作品の中にも素晴らしい川柳が多くあり、「選考がとても難しかった」と、ピジョンの半澤さんは語っていました。

これらの作品はポスターとして、駅や地域の掲示板などに掲示される予定で、現在16か所での掲出が決まっています。

■「赤ちゃん川柳」提出先
ゆりかもめの一部駅/豊洲駅(東京メトロ有楽町線)/新木場駅(東京メトロ有楽町線)/辰巳駅(東京メトロ有楽町線)/木場駅(東京メトロ東西線)/住吉駅(東京メトロ半蔵門線)/清澄白河駅(東京メトロ半蔵門線)/錦糸町駅(東京メトロ半蔵門線)/東雲図書館/有明こども図書館/こどもプラザ図書館/墨東病院/東京イースト21/オーケー 東雲店/ダイエー 豊洲店/オーケー お台場店
※2025年11月11日時点

ポスターを見た人に中学生の優しい気持ちが伝わり、世の中が赤ちゃんにとってより温かいものになることを祈っています。