小6の春、成績が下がった子に焦った母親が…中学受験で笑顔が消えた子どものその後

「気づいた時には、もう遅かった」。子どものためと思って始めた中学受験が、いつの間にか親自身の目標にすり替わり、親子関係に深い傷を残してしまった。
元公立学校教員で多数の教育書を執筆、現在は一般社団法人日本未来教育研究機構代表理事として活動する熱海康太さんが、受験に熱中しすぎた親と子の実例を解説。親が暴走する心理的要因、子どもの心に起きること、関係修復の第一歩まで、今からでも間に合う親子関係の立て直し方をご紹介します。
いつから変わってしまったのか
神奈川県に住む田中さん(仮名)は、娘の優花さんが小学3年生の時、中学受験塾に通わせ始めました。最初の1年は順調でした。優花さんも塾を楽しんでいて、友達もできました。
しかし、小学5年生になると、塾のクラスが成績順に分けられるようになりました。優花さんは真ん中のクラスでした。田中さんは、「このままではいけない」と焦り始めました。上のクラスの子の親たちは、家庭教師をつけたり、個別指導を追加したりしているという話を聞きました。
田中さんは、優花さんに週2回の個別指導を追加しました。また、家でも問題集を増やしました。週末も勉強、勉強。優花さんの自由時間はどんどん減っていきました。
小学6年生の春、優花さんの成績が下がりました。田中さんはイライラして、「こんなに頑張らせているのに、どうして成績が上がらないの」と優花さんを叱りました。優花さんは泣いてしまいました。
しかし田中さんはさらに、「お金もたくさんかけているのよ」と伝えてしまったそうです。優花さんは、それ以降、表情も暗くなり、






























