「辞書で調べて」は逆効果? 子どもの疑問を知識につなげる“調べ方“のコツ
子どもに「○○ってなに?」と聞かれたとき、つい「辞書で調べてごらん」と返していませんか? 実はこのミッション、大人が思う以上に、子どもにとってハードルが高いのだそう。長年中学受験の現場で子どもたちを見てきたプロ家庭教師が教える、辞書や図鑑を“学びの味方”にするための親の関わり方とは?西村則康先生、辻義夫先生の著書より抜粋して解説します。
※本稿は、西村 則康、辻義夫(著)『本当にかしこい子になる!勉強メンタルの育て方』(ウェッジブックス)より一部抜粋、編集したものです。
「辞書で調べてごらん」は子どもには意外とハードルが高い
図鑑や辞書には、知らないことや知らない言葉がたくさん詰まっています。そのページを開けば、たくさんの未知の世界に出会える。だから、本来はとてもワクワクするものなのです。
ただ、「辞書で調べる」というのは、小さい子どもにとってはなかなかハードルが高いもの。子どもがなにか疑問に思って「○○ってなに?」と聞いてきたときに、「辞書で調べてごらん」と促す親御さんは多いのですが、まだ辞書で調べることに慣れていない子の場合、ちょっと突き放されたような気持ちになりやすかったりします。
または、辞書で調べることの楽しさをまだ実感していない子に、「なぜ?」と聞くたびに、「調べなさい」という言葉ばかり返していると、子どもは自分に苦労が戻ってくるような気持ちになり、「だったら、もう聞くのはや〜めた」となってしまうことがあります。辞書で調べさせること自体はいいことなのですが、ただ辞書を引くように促されるだけだと、「お母さんはいつもそう。辞書で調べなさいって言うだけ」と相手にしてもらえなかった寂しさを募らせてしまう子も。そして、疑問をぶつけるたびに、自分に負担が跳ね返ってくるように感じてしまい、「辞書を引くのは面倒くさくてイヤなこと」というイメージが刷り込まれてしまうのです。
勉強もそう。「そんなことしていないで早く宿題をやっちゃいなさい」「宿題をやったらゲームをしてもいいわよ」と言われ続けると、「宿題はイヤなもの」という刷り込みになってしまいかねない。だからこそ、親御さんの言葉はとても重要なのです。
まずは親子で辞書を引く
辞書を引くことにまだ慣れていない子には、まず「親子で一緒に調べる」「調べることは楽しい」という経験をさせてあげることが大事です。辞書の引き方は学校でも教えてもらいますが、まずは親御さんが辞書の引き方を教えてあげましょう。
そのときに、ただ知りたい単語の意味を調べておしまい、ではなく、「へぇ〜、こんな使い方もあるんだね」「こういうときに使えるとカッコいいね!」など、その言葉に関する周辺情報にまで目を向け、それに気づかせる言葉をかけてあげてください。
辞書はあいうえお順に言葉が並んでいます。同じ「あ」で始まる言葉でも、いろいろな言葉が載っていますよね。そんなとき、「同じ読み方なのに、違う意味の言葉が3つもあるんだね」「漢字になるとまったく違う言葉になるね」など言葉にして伝えてあげると、一つの単語だけでなく、広く見る癖がつきます。そうすると、一つのページから新しい言葉をどんどん吸収していけるようになります。
新しい言葉を知ったら、今度は実際にその言葉を使ってみましょう。「じゃあ、○○という言葉を使ってなにか話してみよう!」とゲーム感覚で言葉遊びをしてもいいし、親御さんが日常の中でさりげなく使ってみるのもいいでしょう。
そうやって、辞書で引くことが習慣化していけば、「辞書で調べてごらん」はごく自然な会話になります。その状態になるまでは、親御さんが伴走してあげるといいな、と思います。
ネット検索よりもまずは手を使って調べる
気になること、わからないことは放置せずに、すぐに調べる。これが、かしこい子になるための第一歩です。
というと、だったらインターネットで調べるのでもいいのでは? と思った親御さんもいるのではないでしょうか。たしかに、インターネットの検索機能を使えば、知りたいことが瞬時にわかり、便利ですよね。私たちもよく活用しています。
出版物の良さはプロの目が入っていること
ただ、インターネットの場合は、調べたいことがピンポイントでしか出てこないので、その周辺情報や、またはそれとはあまり関係のないたまたま同じページに載っていたものといった「偶然」に出会えるチャンスが減ってしまいます。忙しい大人であればそれでもいいのですが、幼少期の子どもはいままさに新しいことをどんどん吸収しようとしている真っ最中。そのチャンスを広げるためにも、私たちは紙の辞書や事典を使って調べることをおすすめしています。
また、インターネットに載っていることは、すべてが正しいとは言い切れません。図鑑や辞書がいいのは、その道のプロである編集者が情報をきちんと整理し、想定される読者を意識しながら、わかりやすく伝えるにはどうしたらいいかを考え抜いて世に出しているので、読み手にとっても理解がしやすい点です。また、創造力を膨らませる仕掛けも考慮されていたりするので、さらにかしこくなっていきやすいのです。
手間がかかることほど記憶に残りやすい
ですから、小学生、もしくは中学生くらいまでは、紙の辞書や事典を使うようにしましょう。インターネットで検索するのと比べて、これらを使って調べるのは、手間と時間がかかります。でも、自分の手を動かすほうが、身体感覚として記憶に残りやすいのです。
また、手間がかかるときほど、そのときの気持ちやまわりの様子なども覚えていたりするものです。「あ〜、あのとき、○○の番組を観ていたなぁ〜。そこでこんな言葉が出てきて、お母さんとこんな会話をしたなぁ〜。そのときに、こんなことがあったなぁ〜」といった感じで、次々と思い出したりする。それが、ふとしたときに役立つかもしれないし、役立たないかもしれないけれど、記憶として残りやすいというのは、大きなポイントだと思います。
西村 則康、辻義夫(著)『本当にかしこい子になる!勉強メンタルの育て方』(ウェッジブックス)
◎ほんとうの意味で頭のいい子=勉強メンタルが育っている子!
「頭がいい」とはどういうことかを徹底的に言語化!
かしこさの新機軸=「勉強メンタル」を育むために親ができること
これまでプロ家庭教師として、たくさんの子どもたちと接して気づいたのは、頭のいい子には、ある共通点があるということ。
授業を聞くときも、問題を解くときも、
「なぜそうなのだろう?」
「そういうことか!」
「ということは、こういうときにも使える知識かもしれない」
「大丈夫、自分なら解ける。絶対解いてみせる!」
と常にこころの動きが伴っているのです。
このこころのベクトルを、私たちは「勉強メンタル」と呼ぶことにしました。
「頭がよくなる」とうたった書籍は数多く存在しますが、本書ではうわべのノウハウではなく、「頭がいい」とはどういうことなのか、その本質を考え、「勉強メンタル」という一生ものの力を育む方法を提案します。
・「勉強メンタル」とは「学びに向かう姿勢」
・すべての学びの土台は「好奇心」
・自分に引き寄せて考える力
・「自由な勉強」と「覚えて、鍛える勉強」
・「当たり前」のハードルを下げてみよう
「メンタル」と聞くと、「やはり勉強には強い精神力」が必要なのでは…と思うかもしれません。しかしそうではなく、すべての学びの土台である好奇心、「学びに向かう姿勢」が、勉強メンタルでもっとも大切なこころの動きです。
