「共同親権って大丈夫?」2026年の親権ルール変更 DVや対立がある場合はどうなる?

こども家庭庁(監修)

「離婚後の親権」のあり方が見直され、2026年4月施行の民法改正により、今後は離婚後も「共同親権」が選択できるようになります。

これまで日本では、離婚後は「単独親権」だけでしたが、何がどう変わるのでしょうか?また、DVや虐待があり、話し合いが難しい場合は? 気になるポイントを整理します。

なぜ今、見直されるのか

今回の改正の背景にあるのは、離婚後の子どもを取り巻く現状です。

養育のあり方の多様化に加え、養育費の取り決めや支払いが十分に行われていないことや、親子の交流(面会)が途切れてしまうケースが多いといった課題が指摘されてきました。

厚生労働省の調査(令和3年度 全国ひとり親世帯等調査)によると、養育費の状況は次の通りです。

■取り決めをしている割合
母子世帯:46.7%
父子世帯:28.3%

■実際に受け取れている割合
母子世帯:28.1%
父子世帯:8.7%

また、離婚後の親子交流については、以下の割合になっています。

■取り決めをしている割合
母子世帯:30.3%
父子世帯:31.4%

■実際に行われている割合
母子世帯:30.2%
父子世帯:48.0%

調査からわかる通り、そもそもきちんとした取り決めがなされていないケースが多く、仮に取り決めがあっても、実際には履行されていない状況が見られます。養育費や親子交流が十分に機能していない実態が浮き彫りになっています。

離婚しても、子どもにとっては「父」と「母」であることに変わりはありません。
今回の改正では、離婚後も父母が適切な形でかかわり、子どもが安心と利益を確保することが重視されています。

「共同親権」が選べるように

これまで日本では、離婚時にどちらか一方の親を親権者とする「単独親権」しかありませんでした。

改正後は、

・父母の話し合いで「共同親権」または「単独親権」を選べる
・話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所が判断する

という形に変わります。

つまり、「原則として共同親権」になるわけではなく、家庭の状況に応じて選択されます。あくまで、子どもの利益を重視した改正です。

共同親権になると何が変わる?

共同親権では、父母がともに親権者として子どもに関わります。
ただし、すべてのことを常に二人で話し合って決めなければならないわけではありません。

たとえば日常的な世話(食事、学校生活など)や、緊急時(緊急の医療行為の決定、DVや虐待からの避難など)は、単独の判断でOKです。

一方で、進学や引っ越しなど、子どもに重大な影響を与えることは共同で判断する、といったルールになっています。

「共同親権って大丈夫?」不安へのポイント

夫婦や親子の間でDVや虐待の被害がある場合、「共同親権が足かせになるのでは」と、不安に感じる人もいるかもしれません。

今回の改正では、その点も考慮されています。DVや虐待などがある場合には、家庭裁判所の判断によって単独親権とされます。

また、父母の対立が強いなど、共同して親権を行うことが難しい場合も単独親権が選ばれるなど、子どもの安全や利益が最優先されます。

父母の意見が対立した場合には、調整するための裁判手続も整備される予定です。

なお、共同親権となった場合でも、DVや虐待など緊急性の高いケースでは、一方の親が単独で子どもを守るための判断を行うことが認められています。

養育費やお金のルールも変わる

今回の改正で見直されるのは、親権についてだけではありません。

特に注目したいのが、養育費の支払いを確保するための新しい仕組み。支払いが滞りがちになることが問題視されてきた養育費ですが、回収を前提とした新しい制度が整います。

たとえば、両親の間で養育費の取り決めができていない間でも、子1人につき月額2万円の暫定的な養育費を請求できるようになります。

また、養育費には、ほかの支払いよりも優先して回収できる権利(先取特権)が付与されます。これにより、公正証書や調停調書がなくても、父母間で取り決めた書面があれば、給与などの差し押さえが可能になり、未払いのまま放置されにくくなります。

さらに、財産分与の請求期間も「2年→5年」と延長になり、離婚後に落ち着いてから請求できるようになります。

これから大事になること

新制度が最も大切にしているのは、「子どもにとってより良い環境をどうつくるか」という視点です。

ベストな選択は、家庭によってそれぞれ異なります。
制度の変化をきっかけに、子どもにとって何が最善かを考える視点が、これまで以上に重要になりそうです。

こども家庭庁のホームページでは、より詳しい情報やQ&Aが紹介されています。離婚後の子育てに不安がある場合は、参考にしてみてください。