集中力のある子に育ってもらうために、脳の発達がどう進んでいくのかをご紹介します。

 

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子どもの脳の発達には三つの段階がある

 

皆さんは、子どもの脳と大人の脳の決定的な違いをご存知でしょうか?

 

それは何かといえば、子どもの脳がまだ「発達途上」にあるという点です。

 

子どもに集中力をつけさせたい、集中力が発揮できる子にしたいという場合、脳の発達がどう進んでいくのかを知っているのといないのとでは、集中力を育むための子どもとの関わり方に違いが出てきます。

 

したがって最初に、0歳からの脳がどのような段階を経て成長・発達していくかについて、全体像をつかんでおきましょう。

 

子どもの脳は三つの段階を経て成長・発達していきます。

 

育ちのスタートは、脳神経細胞の増加から始まります。

 

脳の神経細胞は、ちょっと特殊な構造をしています。本体である 「細胞体」 からは、「樹状突起」と呼ばれる細かく枝分かれした短い突起がいくつも出ており、さらに「軸索」と呼ばれる尻尾のようなものが一本長く伸びています。

 

このような形をしているのは、さまざまな情報を細胞間で電気信号としてやり取りするためです。「樹状突起」 は、他の神経細胞からの情報を受け取る「入力アンテナ」 のようなもの、「軸索」は他の細胞に情報を伝達するための「出力装置」のようなものと考えていただくとよいでしょう。

 

この脳神経細胞は、ある時期まで爆発的に増加し続けます。すなわち、脳がどんどん大きくなっている状態です。

 

そして数が最大数にまで達すると、せっかく増やしたにも関わらず、今度はゆるやかに減少していきます。

 

ここで何が起こっているかというと、細胞の「間引き」です。この時期、じゃまで不要な細胞はどんどん間引かれて死んでいきます。残す細胞と、そうではない細胞が選り分けられていくわけですね。

 

このようにして細胞が選り分けられていく一方で、子どもの脳の中では「情報伝達回路」がつくられ、発達していきます。細胞と細胞同士がつながり合い、複雑で巨大な情報ネットワーク網をつくり出していくわけです。どうして、このような現象を起こすかというと、そこに、頭をよくする素質をつくる脳の秘策があるのです。

 

脳の細胞は、新しい情報、なかでも気持ちのこもった情報に対して、強く反応するので、脳細胞の集まりである脳組織も優れた機能をもつようになります。

 

つまり、「気持ちのこもった対話」をすることによって、頭のいい子・集中力の高い子になる素質が育ってくるのです。これに対して、対話も少なく、反応の悪い習慣で育った細胞は残しておくと、頭が悪くなるので、遺伝子のプログラムで排除する。これが間引きです。

 

この間引きをしっかりやってくれると、皆、頭のよい子に育つのですが、残念ながら脳はそこまで責任をとらないで、少しぐらい、悪い素質をもったままでも、細胞のネットワーク化が進みます。これが、頭の良し悪しは生まれつきの素質で決まると誤解されている本体なのです。

 

このような素質づくりと共に「情報伝達回路」をつくる作業がおおかた終わったところで、子どもの脳はようやく大人の脳と同じように完成するのです。

 

3歳・7歳・10歳が節目

 

では、子どもの脳が大人の脳として完成するまでの発達段階を、年齢に置き換えてみましょう。

 

・脳神経細胞がどんどん増え続けていく時期が0~3歳

・脳神経細胞の「間引き現象」が起こる時期が4~7歳

・「情報伝達回路の機能」が発達していく時期が8~10歳

 

 

このようになります。育脳は10歳までが大事だとよく言われるのは、こうした相関関係があるからです。

 

ところが「育脳は10歳までが大事」と知った親御さんの多くは、子どもの脳を育てようとして間違ったアプローチをしてしまいがちです。「よい脳に育てるには、早くから早期教育や育脳トレーニングのようなことをしたほうがよい」と考えてしまうのですね。

 

確かに、生まれたての赤ちゃんの脳細胞はどの子も同じ。成長のスタートラインは一緒です。その先どのような脳になっていくかは、外部からどんな刺激が加わるかで変わっていきます。

 

しかし、だからといって0歳のときから育脳トレーニングや早期教育を始めたほうが「よい脳」に育つかというと、決してそうではありません。その前に、気持ちのこもった楽しい会話、こころから気持ちが伝わる会話を、繰り返し、繰り返し行なうことによって、集中力や才能発揮の素質を育てるほうが、理にかなった、効果的な子どもの育て方になるのです。

 

「よい脳」を育てるには、3歳まで、7歳まで、10歳までの三つの段階で子育てのアプローチを変えていかなくてはなりません。

 

「脳神経細胞がどんどん増え続けていく0~3歳の時期」「脳神経細胞の間引き現象が起こる4~7歳の時期」「"情報伝達回路の機能"が発達していく8~10歳の時期」、それぞれの時期には、それぞれの時期に必要な発達のテーマがあります。それに合わせて子どもの育て方も変わります。

 

言い換えれば、それぞれの時期に合わせた育脳こそが子どもの脳の成長を促し、大きな才能を発揮できる脳にしていきます。また、それが「集中力」の源をつくっていくことにもつながるのです。

 

育脳に「手遅れ」はありません

 

加えて、脳の成長において親御さんが勘違いしがちな点が二つあります。

 

ひとつは 「うちの子はもう10歳。それまで脳の成長に大切な育て方をしてこなかったから手遅れなの!?」と思ってしまうこと、もうひとつは 「うちの子は何をやらせても遅い。きっと脳がちゃんと育っていないんだ」などと考えてしまうことです。

 

この二つは明らかなる誤解です。脳には、その時期ならではの、育脳のやり方がありますが、一方で、いくつになっても鍛えることができます。

 

脳の仕組みを知り、脳が機能するにはどのようなことが子育てにおいて重要かを知り、それを実践していくことで、年齢問わず脳を鍛えていくことはできるのです。ですから手遅れはありません。

 

また発達途上にある子どもの脳は未熟です。でも未熟だからこそ柔軟です。発達のスピードもその子によって違います。

 

成長のスタートラインは同じでも、その後は一定のスピードで育っていくわけではなく、ゆっくりだったり、グングンだったり、子どもによって違いがあります。

 

今は成長が遅かったとしても、だから脳が育っていないわけではないのです。

 

小さいときはグズグズしていても大人になったら変わる子はたくさんいますし、脳の発達を妨げずに育ててやることで、成長した後にものすごい才能を発揮するようになる子もいっぱいいます。

 

むしろ親御さんが心配したり焦ったりするあまり、「あれをしなさい、これをしなさい」といろいろ口出しをしたり、「勉強しなさい」「早くしなさい」と命令したり、「それじゃ無理」「そんなんじゃ失敗するわよ」と否定したりすることのほうが子どもの脳の成長を妨げます。それだけでなく、こうした関わり方をすればするほど、子どもは集中力のある子になっていかないのです。

 

 


 

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mokujiwoyomu.gif【著者紹介】

林成之(はやし・なりゆき)

1939年、富山県生まれ。日本大学医学部、同大学院医学研究科博士課程修了後、マイアミ大学医学部脳神経外科、同大学救命救急センターに留学。1993年、日本大学医学部附属板橋病院救命救急センター部長に就任する。日本大学医学部教授、マイアミ大学脳神経外科生涯臨床教授を経て、2006年、日本大学大学院総合科学研究科教授。

2008年の北京オリンピックの日本代表競泳チームや2012年のロンドンオリンピックの数々の代表チームにアドバイスを行ない、金メダルに導くなど、大きく貢献。

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