あなたは、わが子の"輝く個性"をちゃんと見つけられていますか? 子どもの可能性をつぶさないよう、信じ、見守り、しっかり育てていきましょう。

 

 

才能は誰もがもち目には見えにくいもの

 

「この仕事(家事)、案外、自分に向いているかも」「この分野なら、うまくやっていけるかも」

普段の生活の中で、このように感じた経験はありませんか。これまで自分では気づいていなかった才能が、ある瞬間をきっかけに、手応えという形で表に出てきた……そんな感覚です。

 

そもそも才能とは、「物事を巧みになしうる生まれつきの能力」です。『デジタル大辞泉』(小学館)では、そのように定義しています。

その一方で、才能について、「ある個人の一定の素質。または、訓練によって得られた能力」と説明している辞典もあります。

私は、才能という言葉を、「もともとある程度、人それぞれに備わっているもので、訓練や練習などの外的刺激によって、表面に引き出せるもの」ととらえています。

ですから「自分に向いている」とか「うまくやっていける」と感じるのは、もともと備わっていた素質が、何らかの行動を伴うことで表面化した瞬間とも言えるわけです。

これは、子どもの才能を伸ばすうえでも同じです。

子どもは誰しも何らかの才能をもって生まれてきます。ただ、それは目に見えにくいものですから、親として、まずは子どもにいろいろな機会を与え、焦らず観察し、子どもが熱中しているもの、得意そうにしていることを応援してやりましょう。

 

才能を伸ばすために必要な力

 

子どもの才能を伸ばし、開花させていくうえで必要な力が3つあります。それは「素直になる力」、「挑戦する力」、そして「継続していく力」です。

 

・ 素直になる力

親の言うこと、保育所や幼稚園、学校や習い事などの場で先生やコーチのアドバイスを聞き、受け入れることができる力。素直に聞く子どもでなければ、反省や修正ができませんから、伸ばすことが難しくなってしまいます。

 

・挑戦する力

「あれもこれもやってみたい」と、いろいろなものに興味をもつだけでなく、積極的に行動に移す力。考えるだけでなく行動してみる姿勢は、これからの学びや社会に出てからの可能性を大きく広げます。

 

・継続していく力

何かを始めてもすぐに飽きたり、「うまくできないから」と簡単に投げ出したりせず、あきらめないで継続していく力。続けていれば小さな成功体験が得られますから、「継続は力」を体感することができます。

 

子どもの可能性をつぶす親の7大特徴

 

特徴1:他の子どもと比較する親

他の子と比べ、少し変わった行動や考え方をすると、「うちの子、大丈夫かしら」と考えてしまいがち。あわてて「そんなことやめなさい」と口走りがちです。

ただ、他の子どもと違っている面は、その子の個性であり、才能の原石かもしれません。ですから、たとえば絵を描くとき、一般的に木々の色は茶系で表現しますが、それを紫のクレヨンで描いたとしても、「おもしろい発想をする子だ」と、独自性を評価してほしいのです。

極端な場合は別ですが、他の子どもと同じかどうかを判断基準にするのは、できるだけ避けましょう。

 

特徴 2:自分と子どもを重ねて見てしまう親

子どもと触れ合う時間が長いお母さんの中には、「子どもの成績=自分への評価」ととらえる方がいます。お父さんの中にも、「自分はこうだったのだから、子どもにもこういうふうに育ってほしい」という方がいます。

子どもは大好きな親の期待に応えようとしますが、どこかで緊張の糸が切れたり、本来やりたかったことを犠牲にする中で、元気をなくしたりする可能性があります。 

言うまでもなく、親と子どもとは別個の人間です。何をおもしろいと感じるかはそれぞれ違い、得意な分野も異なる、そう考えるところからスタートしたいものです。

 

特徴3:何事も結果を気にする親

勉強面や運動面などにおいて、結果を気にするだけでは、子どものやる気は削がれてしまいます。

子どもは成績が上がったことや一番になれたことより、がんばった途中経過を評価してもらいたいのです。結果はそれほど良くなくても、発想をほめてもらえたり、あきらめずに最後までやりとげたことを評価してもらえれば、「次もがんばろう」「やってみよう」という気持ちになります。

「前より字が上手に書けるようになったね」とか、「キレイな音色が出るようになったわ」など、良くなった部分もほめてあげましょう。

 

特徴4:上限を決めてしまう親

「大きくなったら○○になりたい」と言う子どもに、「それは無理」とか「向いていない」などとネガティブな反応を見せてしまうと、子どもは将来への希望を見失ってしまいます。「そんな夢のような話ばかりしていないで勉強しなさい」もNGワード。

子どもが描いた夢は否定せず、お父さんやお母さんは、子どもにとって最強の応援団になることを目指しましょう。

子どもが抱く夢の中には、ハードルが高いものもありますが、まだまだ可能性は無限大。厳しい現実を必要以上に教えたりせずに、「なれる!」「応援する!」と返しましょう。

 

特徴 5:「ダメ!」や「早く!」が多い親

自分ではそれほど口に出している意識はないのに、思った以上に発しているのが、「ダメ!」といった子どもに「禁止」をしたり、「早く!」など「催促」するフレーズではないでしょうか。

子どもは、好きで熱中できるもの、「これは得意だ」と思うものをベースに成長していきます。好きなことや得意なことは、将来の職業選択にもつながっていきます。

もちろん何事にも限度はありますが、子どもが何かに没頭しているときは、「禁止」や「催促」は極力避け、「待つ」や「見守る」姿勢で臨みたいものです。

 

特徴 6:初めての環境を重視しない親

子どもは年を重ねるごとにさまざまな環境と出合います。園や学校、スイミングや英会話などの習い事、塾、スポーツクラブなどです。その際、「無事にスタートしたのだから」と、預け先に一任しておくのは危険です。子どもは環境に大きく左右されるからです。

「この子はここがすぐれている」と才能の片鱗を見出すのは親の仕事ですが、それは先生やコーチの役割でもあります。子どもの長所を引き出してくれる指導者がいるかどうかは大きな問題ですから、子どもが身を置く環境は都度しっかりチェックし、問題があれば見直しましょう。

 

特徴 7:子どもに実体験をさせない親

さまざまなバーチャル体験が流行している現代ですが、子どもの秘めた才能を開花させるには、実際に多くの体験をさせることも大切。プロ野球界やゴルフ界などのトップアスリートの中には、幼少時代、いろいろなスポーツを体験した中で、「これが一番しっくりきた」という選手が多いのが実情です。

世の中には習い事が溢れています。近頃ではプログラミングや能まであり、いろいろな世界に触れさせられます。もちろん家計が許す限りというのはありますが、「それは何の役に立つの?」などと制限せず、さまざまな実体験をさせてください。

 

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子どもの才能を見出し開花させるためには、子どもの個性を認め、好きなことや得意なことを応援し続けることが大切です。

今は未知の可能性を秘めている子どもでも、成長するにつれ、1つひとつ可能性を絞り込んでいくことになります。ですから、現段階では、いろいろな機会を与え、子どもの長所を引き出すスタンスで支えていきたいものです。

また、お父さんやお母さん自身も夢をもち、自分の中に流れている才能という鉱脈を掘り当てる日々を過ごしましょう。そうすれば、家庭の雰囲気が明るくなり、子どもも前向きで夢ある子に育ちます。

 

【著者紹介】

清水克彦(しみず・かつひこ)

政治・教育ジャーナリスト。1962年、愛媛県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。京都大学大学院博士課程在学中。文化放送の報道デスクを務めながら、執筆や講演を行なう。著著に『頭のいい子が育つ10歳からの習慣』(PHP研究所)など多数。

 


 

のびのび子育て

「PHPのびのび子育て」は未来を担う子どもたちの健全な成長と幸せを願って、発刊している月刊誌。 2016年9月号の特集は<「才能」を上手に伸ばす親・伸ばせない親>です。

 

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