お母さんの言葉には、力があります。子どもが落ちこんでいるとき、また喜んでいるとき、どんな言葉をかければ一番お母さんの気持ちが伝わるのでしょうか。

 

親子

 

いつでもお母さんの言葉を待っている

 

子どもは、周囲の大人の言葉がけにより、「よし、がんばろう!」「やってみよう!」と思ったり、「どうせ、できない!」「自分はダメなんだ!」と思ってしまったりすることがあります。とくに幼児期は、お母さんの言葉の力は大きいものがあります。

誰でも、何かにチャレンジしてできなかったときには落胆することと思います。そのときに、子どもが「できなかった」とあきらめてしまうか、「またやってみよう」と思うかは、お母さんの言葉がけ一つで左右されると言っても過言ではありません。

 

・できなかったときもプロセスを認める言葉がけを

 

子どもにとって、自己肯定感(自分を大切にする気持ち、長所だけでなく短所を含め自分自身を認められる気持ちなど)がもてるかどうかということはとても大切で、お母さんをはじめ、周囲の人の言葉がけが大きく関与しています。自己肯定感がある子どもは、情緒が安定して意欲もありますが、自己肯定感が育っていない子どもは、自信がなく、情緒も不安定になりやすくなります。自己肯定感は自分ひとりで獲得することはなかなか難しく、周囲の人の子どもを認める言葉がけ(肯定的な言葉がけ)や励ましによって獲得することができます。

親は、子どもの「できる」「できない」に目を向けがちですが、結果だけに目を向けるのではなく、たとえできなかった場合でも、「がんばったね」などと、そのプロセスを認める言葉がけをすることで、子どもは自己肯定感を高め、「またチャレンジしてみよう」と思うことができるのです。

 

言葉とともに大切なこと―気持ちをこめて

 

子どもは大人のことをよく観察しており、「ありがとう」「今度はきっとできるよ」など、認める言葉がけや励ます言葉がけをするときに、気持ちが伴っていないと、それを感じ取ります。言葉に笑顔やスキンシップをそえると、お母さんの気持ちがより伝わりやすくなります。

 

できなかったときの「励まし言葉」

 

がんばってチャレンジしてみたのに、うまくいかなくてへこんでいるわが子に、どんな言葉をかければ元気を取り戻すのでしょうか。やる気を取り戻す「励まし言葉」を紹介します。

 

【1】「一緒にやってみようか」

できると思ってやったことができなくて、がっかりしたり、どうしたらよいのかわからなくなってしまったりすることがあります。そんなときは、「お母さんと一緒にやってみようか」という言葉がけに子どもは励まされ、再度チャレンジしてみようという気持ちになります。

 

【2】「きれいな色だね」

絵を描いていて、うまく描けないと途中でやめたり、周囲の人に見せたくないと隠したりすることがあります。苦手意識をもたせないことが大切です。そのようなとき、「きれいな色だね」「おいしそうなリンゴだね」と肯定的な言葉がけをして自信をもたせましょう。

 

【3】「次はきっとできるよ」

「どうせできない」とあきらめて意欲をなくしてしまう場合があります。そのときに、「次はきっとできるよ」と励ますことによって、関心がもどり、「またやってみよう」と思うようになります。できないところを一緒に手伝って達成感がもてるようにするのもコツです。

 

【4】「がんばったね」

4歳くらいになると、「できる」「できない」ことを周囲と比べるようになり、できないときには自信を失いやすくなります。しかし、できたかできなかったかという結果に目を向けるのではなく、そのプロセスに目を向けた言葉がけをすることで自己肯定感がもてます。

 

【5】「ケガしなくて、よかった」

食後にお皿を運ぶ手伝いをしていたときに、手がすべってお皿が割れてしまったとします。子どもは失敗してしまったことを感じ、お母さんに怒られると思うことでしょう。しかし、叱るのではなく、子どもを心配する言葉がけをすることで、不安が取り除かれます。

 

【6】「お母さんが見ているから大丈夫よ」

できないとき、不安なとき、1人ではなかなか前に進めないことがあります。でも、「お母さんが見ているから大丈夫よ」と言葉がけをすることで、「1人ではないんだ」「お母さんが見てくれている」という安心感を得て、意欲につながります。

 

【7】 「つらかったね」

失敗したときや、できると思ったことができなかったとき、励ますことも大切ですが、「つらかったね」「悔しかったね」などと、子どもの気持ちに共感することも大事です。お母さんに共感してもらえたことで受容されていると感じ、つらさを乗り越えることができます。

 

できたときの「絶品ほめ言葉」7

 

チャレンジが成功したとき、子どもが望むのは、お母さんの笑顔とほめ言葉。絶品ほめ言葉を使って、いっぱいほめて子どもの笑顔を増やしましょう。それが次のやる気に通じます。

 

【1】「やったね、おめでとう!」

なかなかうまくいかなかったことができたとき、少しハードルが高いと思われたことができたとき、笑顔で喜び、一緒に祝いましょう。子どもを思いきり抱きしめてもよいと思います。一緒に喜びを分かち合うことは、自己肯定感や自信につながります。

 

【2】「約束、よく守れたね!」

たとえば、食事中に離席しやすい子どもに、「ごはんのときは座って食べようね。お約束ね」と言って、食事中に離席することがなかったときには、「約束、よく守れたね」とほめましょう。ほめられたことがうれしく感じられ、だんだんと約束が守れるようになります。

 

【3】「ありがとう!お手伝いしてくれて助かったわ!」

積極的にお手伝いをしてくれたとき、感謝の気持ちを伝えると、子どもは自分の存在価値を感じ、自己肯定感をもつことができます。感謝の気持ちを「ありがとう」という言葉にこめて伝えることは大切です。家族間でも「ありがとう」という言葉を大事にしましょう。

 

【4】「嫌いだったのに食べられたね。すごい!」

苦手で食べるのを嫌がっていたものを1つでも食べられたときには、「食べられたね。すごい!」とほめましょう。そのときに、「1つしか食べられなかったの」と言うか、「1つ食べられたね!」と言うかで、子どもの伸び方が違ってきます。

 

【5】「カッコイイ!」「すてき!」

自分1人で洋服を着ることにチャレンジして、できたときには「カッコイイ!」「すてき」と言葉がけすると子どもは得意な気持ちになります。できないところがあった場合は、できないところをさりげなく手伝い、「できたね! カッコイイ!」と声かけしましょう。

 

【6】「最後までよくがんばったね!」

子どもが何か作品を作っているとき、その作品の出来があまりよくなくても、最後までがんばって取り組んだのであれば、その過程を認め、ほめましょう。そのようにすることで、次も途中で投げ出さずに最後まで取り組もうという姿勢につながります。

 

【7】「さすが、〇〇ちゃん!」

こう言われると、自分でもできたことを実感し、達成感を覚え、自己評価が高くなって自信がもてます。また、子どもが年長児の場合、「さすが、年長さん!」と言うと、年長児であることを自覚し、ますます意欲が増すことでしょう。

 

【著者紹介】

井戸ゆかり(東京都市大学人間科学部教授)

学術博士。渋谷区子ども・子育て会議会長、東京都市大学二子幼稚園教育アドバイザーなどを務める。編著に、『保育の心理学Ⅰ・Ⅱ』(萌文書林)がある。

 

 


 

のびのび子育て

「PHPのびのび子育て」は未来を担う子どもたちの健全な成長と幸せを願って、発刊している月刊誌。 2018年月1月号の特集は<グズグズ・ダラダラが止む! こどもに「すぐ効く」最高のひと言>です。

 

年間購読のご案内

「子どもをつれて買い物に行くのは大変…」「ついつい、買い忘れてしまう」 そんなあなたにおすすめしたいのが、年間購読。毎月ご自宅へお届けします。送料無料。 年間購読のお手続きはこちらからどうぞ