
「宿題したの?」と聞くと、子どもはもっと宿題をしなくなる
ダラダラするわが子に、つい小言を言ってしまう……。そんなお母さんは要注意です!
◆ちょっと待って、それはNGワード
宿題があるはずなのに、寝転がってマンガを読んだり、ゲームをしてケラケラ笑っているわが子を見て、お母さん大爆発という場面はよくありますよね。そんな感情的になっている時に親の口から出る言葉のほとんどにプラスの効果がありません。
「宿題したの?(イライラ)」
「さっさと先に終わらせなさい!」
このあたりの言葉で口火が切られて、そこからはとどまることのない怒りの言葉があふれ出るようです。
私もその言葉をいわれた後の何千人という子どもの様子を見ていますが、そのようなことをいわれて「ハイ。かしこまりましたママ。すぐやります」という子を見たことがありません。親自身も「こんな言葉はいいたくないけれどウチの子が全くやらないからいってしまいます」とお悩みの方が多いです。
ここでいったん冷静になって考えてみましょう。いって効果がないならいわないでおきませんか。そしてなぜ子どもが主体的に宿題をしないのかを考えてみませんか。
なぜしないのか。理由は二点です。
勉強の優先順位が遊びよりも低いこと。そして、親子の信頼関係です。
まず、勉強の優先順位が遊びよりも低いのは、当たり前のことです。
まだまだ子どもですので勉強の重要性を認識する経験が年齢的に乏しいのです。ですので、いまはいやいややらせて勉強ぎらいにさせるよりも、子どもに任せて勉強をしなかった不利益(先生に叱られる・学校で恥をかく・勉強がわからなくてあせる等)を経験させてあげましょう。
最初はいやいやながらも勉強をするような変化が見えてきて、勉強に楽しみを見出す経験をしていくことで将来的には主体的な学びに向かう人間に成長するかもしれません。
勉強ぎらいの子が急に主体的に勉強をする子になる事例はまれです。
ですので、最初は負の外発的動機づけを経験させながらも宿題等の課題に向き合わせ、それを終わらせた達成感を感じさせるところから始めることを考えましょう。いきなり二段、三段飛ばしを求めるのは子育てではしんどいですよ。
次に信頼関係についてですが、子どもは信頼していない相手からの言葉は右から左へ流します。親を信頼していないというよりは「勉強の話をする時の親は信頼しない」というニュアンスです。なぜそうなるのか。
たとえば、先ほど例にあげた「宿題は?」という確認。
これも子どもからすれば「宿題は? どうせあんたのことだからしてないんでしょ」と聞こえます。「さっさと先に終わらせなさい! どうせあなたは好きなことばかり先にして最終的にはウソをついたりしてやらないんだから。バカなあなたにお母さんが先にいっておいてあげるわ」と聞こえます。
そんなことをいってくる人とは信頼関係はつくれないというのが子どもの本音。本当に信じていたら宿題に関しては基本的には「何もいわずに子どもに任せる」となるわけです。
信頼関係の基本は押し付けないことです。つまり動きはじめるまで待つこと。そして例にあげたNGワードを避けること。まずはここから始めてみましょう。
【本書のご紹介】
その親の一言、子どものやる気を削いでしまっていませんか? わが子に「自信」と「自己肯定感」をつける親の言葉、行動を紹介する。
【著者紹介】
水野達朗(みずの・たつろう)
家庭教育支援センター・ペアレンツキャンプ代表理事。
家庭教育・子育て支援の専門家として、子育てで悩みを抱える多くの親や、今よりももっと子育てを楽しみたいという親の思いに寄り添いながら支援をしている。また、不登校の復学支援カウンセラーとしても、見守るだけの支援とは一線を画する積極的に関わる手法で多くの不登校の子どもたちを学校復帰へと導いている。水野式の家庭教育支援メソッドである「PCM(= Parents Counseling Mind)」を構築し、全国の親と子をサポートしつつ、講演会も精力的に行っている。現在はペアレンツキャンプの代表理事を務めるともに文部科学省の家庭教育支援手法等に関する検討委員会や大東市教育委員会教育委員を歴任し、個々の家庭にとどまらず、国や地域の子育て支援にも注力している。