本当に頭のいい子とは、いったいどんな子なのでしょうか。そして、親の言葉が子どもの成長に大きな影響を及ぼすとしたら、頭のいい子を育てるためには、どんな言葉をかけたらいいのでしょうか。教育評論家の石田勝紀先生にうかがいました。

 

子ども

 

これまでに、たくさんの子どもたちを指導してきてわかったことの1つに、こういうことがあります。「言葉によって人を伸ばすこともできるし、潰すこともできる」。

言葉のもっている力は、ふつう人が思っている以上に、はるかに強いものであることを教育現場で感じてきました。

最近は、ライトな子育て・教育勉強会「Mama Café」という会をママ対象に全国で毎年100回以上開催していますが、そこで感じることも、この「言葉の力」です。ママが日常で使う子どもへの言葉の種類を少し変えるだけで、子どもが180度変わっていくケースが次々と出ているのです。私はこのように子どもを伸ばす力をもった言葉を「マジックワード(魔法のことば)」と呼んでいます。

 

ポジティブな言葉を多めに使われて育った子は、思考もポジティブになっていきます。逆にネガティブな言葉を連発されて育つと、思考・行動もネガティブになる可能性があることは誰しも感覚的に理解できるのではないでしょうか。

しかし、それがわかっているにもかかわらず、なぜか子どもに対してネガティブな言葉を口にし続けてしまうことが多いのです。そこで、プラスの効果を引き出すたくさんのマジックワードを公開してきました。

今回は、新時代を生き抜く「頭のいい子」に必要な「賢い頭脳をつくる4つのマジックワード」についてお話ししていきたいと思います。

 

頭脳にもOSがある!

「頭がいい子」とは、どういう子を言うのでしょうか。いわゆる偏差値が高い子を頭がいいと言うこともあるでしょうが、これまで数千人にのぼる子どもたちを指導してきて、本当に頭がいい子とは単純に勉強ができる子ではなく、「どのような時代でもやっていける思考」をもっている子だと考えるに至りました。

私は、わかりやすくパソコンにたとえてお話をしています。パソコンには、OS(ウィンドウズのようなオペレーションシステム)とソフト(ワード・エクセルなど)があります。スマートフォンもOSとアプリで構成されています。実は人間の頭脳にも、このOSとソフトがあるのです。

人間の場合、英数国理社といった科目を学習するとしたら、それらはソフトにあたります。しかも、このソフトは毎年アップグレードします。中1の数学、中2の数学といった感じです。しかし、脳のOSのバージョンが古いと新しいソフトに対応できず、フリーズを起こすのです。

たとえば小学校までは対応できていたけれど、中学校ではついていけないとか、中学校までは問題なく勉強できたけれど、高校ではフリーズした、といったことがこれに当たります。

 

「考える力」がある子どもに

頭脳のOSを優れたものに更新していかないと、新しいソフトは動かないのです。このOSが優れている子のことを「頭がいい子」と言うのです。OSをバージョンアップする教育をせずに、ソフトのインストールばかりをやっていたら、頭が動くはずがないですね。そこで、このOSを家庭内で、言葉の力でバージョンアップさせようというのが、私が講演会や著書の中で語っていることなのです。

では、このOSのバージョンが新しく、優れている状態とは、どのような状態のことを言うのでしょうか。それは、「考える力」がある状態を言います。この「考える」という言葉が使い古された言葉であるせいか、あたりまえのことのように思えるかもしれませんが、実は多くの子どもたちは考えていません。

そもそも、「考えなさい」とは言われるものの、「考える方法」を教えてもらっていないため、何を言われているかわかっていないのです。

この「考える力」を手に入れると、どのような時代でも、どのような科目でも対応することが可能となり、いわゆる偏差値も上がっていくことがわかっています。

 

4つのマジックワードで子どもの「考える力」を育てる!

「考える力」を身につけるために、日常会話で次の4つの言葉を使いましょう。

2と3などは、まだ少し難しいかもしれませんので、お子さんの成長に応じて、わかりやすい言い方を工夫してみてください。

 

【1】なぜだろうね?

この言葉は、理由を聞く言葉です。通常、学校教育では、「これは何?」「どこ?」「いつ?」「誰?」「(選択肢問題で)どっち?」と出題するのが基本となっています。これはこれで大切でしょうが、残念ながら考える力は身につきません。これは単に知識のインプットであり、考えるとは言わないのです。

「なぜだろうね?」と言われると、意識がそこに向かい、考えるようになります。この問いには答えがなくても構いません。子どもが「う~ん、わからない」と答えてもいいのです。「う~ん」の部分で考えているからです。何を答えるかという結果ではなく、考えるプロセスが重要なのです。

 

【2】どうしたらいいだろう?

この言葉によって発想力(クリエイティビティ)が鍛えられます。特に、子どもたちにとって嫌なこと、マイナスな出来事があったときがチャンスです。「では、どうしたらいいだろう?」と問うのです。すると、頭脳が活性化していきます。

 

【3】ようするに、どういうこと?

この言葉を問うと、人は考えをまとめていきます。この「まとめること」を「抽象化」と言います。抽象化できると、たとえば算数の問題集をやっていても、「この問題とこの問題は、形式が違っているけど、同じタイプ」ということがわかったり、国語でも、「この文とこの文は、字面が違うけど、同じことを言っている」ということがわかるようになります。

この「抽象化」が上手にできる人を「賢い人」というのだと思います。具体的な(表面的な)部分しか見えない人には、すべてがバラバラに異なって見えます。すると、すべてを覚えないといけないような錯覚に陥ります。これが勉強嫌いになってしまう最大の要因です。

 

【4】たとえば、どういうこと?

子どもが抽象的な話をしてきたときに使います。たとえば、「今日、幼稚園(学校)でうれしいことがあった」と言われたら、「そうなんだ~。たとえば、どんなことがあったの?」と返して、同類の事例を挙げてもらいます。つまり、「抽象」の説明のための事例を自分で引っ張ってくるようになります。「抽象」はわかりにくい表現なので、「具体」が必要なのです。これによって、表現力もついていきます。

 

おわりに

日常のささいな会話の中でも、ここで述べた4つのマジックワードを使って話すのが、賢い子を育てるコツです。

もちろん勉強を教えるときに使ってもいいのですが、家庭で使用する場合は、勉強以外の日常会話で使ったほうがいいでしょう。

なぜなら、勉強の話となると親子の間で上下関係が発生してしまい、ついつい「○○しなさい」と先に結論を言ってしまいがちだからです。

日常の雑談の中でマジックワードを使うようにすると、自然と頭脳が活発に動くようになります。1週間でもいいので、ぜひ試してみてください。

 


 

「PHPのびのび子育て」 7月号より

 

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本記事は、「PHPのびのび子育て」2019年7月号特集【親の「口ぐせ」で子どもの性格が変わる!】より、一部を抜粋編集したものです。

 

【著者紹介】

 

石田勝紀 (いしだ・かつのり)

教育評論家。20歳で起業し、学習塾を創業。その後、中高一貫私立学校の常務理事に就任し、大規模な経営改革を実行するとともに教師の指導力を高める。講演会や企業での研修会は毎年150回以上にのぼる。教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。