子育て仲間のネットワークの大切さ
子育てでイライラすることや、悩み事があったとき、子育て仲間同士でストレスを発散できるネットワークをもつことには大きなメリットがあります。心理学博士の榎本博明さんが語ります。
※本稿は『子どもへの「怒り」を上手にコントロールできる本』(榎本博明著、PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです
【著者紹介】榎本博明(えのもと・ひろあき)
1955年生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在、MP人間科学研究所代表。主な著書に、『伸びる子どもは○○がすごい』『勉強できる子は○○がすごい』(以上、日経プレミアシリーズ)、『教育現場は困ってる』(平凡社新書)、『〈自分らしさ〉って何だろう?』『「さみしさ」の力』(以上、ちくまプリマ―新書)『「やさしさ」過剰社会』(PHP新書)などがある。
悩みを吐き出せる場所を作る
腹が立つことや悔しいことがあったとき、そのことをだれかにぶちまけることでスッキリした、そんな経験はありませんか。胸の内に溜め込んだ思いを吐き出すことでスッキリすることを「カタルシス効果」と言います。
生意気で言うことを聞かない子どもに腹が立ったり、子育てにまったく理解がなく非協力的な夫に腹が立ったりしたとき、それを気安く話せる仲間がいると、ストレスが解消され、気持ちが楽になります。
解決策をアドバイスしてもらうようなことがなくても、ただ聴いてもらえるだけで気分がスッキリし、心のコンディションを前向きに保つことができます。
子育て仲間同士で、ストレスを発散できるネットワークをもてるとよいでしょう。しかも子育て仲間のネットワークは、実際に役立つ情報やアドバイスが得られるという利点もあります。
子育てをしていると、どうしたらよいかわからなくて不安になることや、どう考えたらよいか迷うことが次々に出てくるものです。
しつけ上の迷いとか、勉強や友だち関係で気がかりなこと、発達の遅れとか病気のようなちょっと深刻な悩みなど、日々いろんな問題に直面します。そんなとき、同じように子育てをしている仲間がいれば、いろいろと情報交換できます。
似たような経験をした人から有益なアドバイスがもらえることもあるでしょう。
そんなに心配することはないとわかることもあれば、どこどこの病院に行ってみるといいとアドバイスされることもあります。あの塾が評判が良いとか、ウチはあそこのスポーツ教室に通わせているといった情報も得られます。
実家が遠くていざというときに頼れずにいつも不安だという親にとっても、子育て仲間のネットワークは必要不可欠と言えます。
たとえば、下の子が熱を出したりして病院に連れて行かなければならないけれど、上の子のお迎えもあるし、どうしょう…というとき。親自身が病気やケガをして病院にかからなければならなくなり、子どもが帰ってきても家にだれもいなくなってしまうというようなとき。
そんなとき、親しい子育て仲間のネットワークがあれば、子どもをその家の子と一緒に迎えてもらったり、子どもをちょっと預かってもらったりできます。
そうしたネットワークがあるだけで安心でき、気持ちに余裕ができます。気持ちの余裕があると、無駄に子どもにイライラせずにすみます。