子育てのイライラは「べき思考」から起こる

榎本博明
2023.10.06 14:22 2023.02.01 17:40

抱っこされる子子育てというストレスフルな仕事に取り組まなければならない親としては、「何とかなるさ」という楽観的な言葉を心に刻みつけておきたいものです。思い通りにならないことがあっても、「何とかなるさ」「みんなこんなもんだよ」といったセルフトークを心の中で咳いていれば、イライラに襲われるのを防ぐことができます。

「こうあるべき」「こうでなければならない」といった「べき思考」も、激しい感情反応をもたらします。子どもに対して怒ってばかりの親は、何らかの「べき思考」にとらわれているものです。たとえば、

「子どもは親の言うことを聞くべきだ」
「ちゃんとした親なら、子どもに何が何でも言うことを聞かせるべきだ」

などといった「べき思考」にとらわれている親は、子どもが言うことを聞かないと、

「なんで言うことを聞けないの!」
「どうしてそうなの!」

と感情的になりがちです。そうではなく、

「子どもは親の言うことに逆らったりするものだ」
「子どもに言うことを聞かせるようにがんばってるけど、なかなか思い通りにならないことが多いものだ」

などと柔軟な考え方をしていれば、いちいちムキになることも減っていくでしょう。

「このくらいのことはできるようにすべきだ」
「こんなこともできないようでは将来困るだろう」

などといった「べき思考」にとらわれている親は、きちんとできないわが子に苛立ったりしがちですが、

「このくらいのことはできるようになってほしいんだけどなあ」
「まだ無理かなあ。でもいつかできるようになるだろうし、焦ることはない」

と余裕をもって受け止められれば、わが子に苛立つこともないはずです。

子どもにイライラをぶつけがちな親は、自分のなかにある「べき思考」をチェックしてみましょう。もし見つかったら、それを柔軟で楽観的な考え方に修正していくことが大切です。

子育てのイライラは「べき思考」から起こるの画像2
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榎本博明

榎本博明

1955年生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在、MP人間科学研究所代表。主な著書に、『伸びる子どもは○○がすごい』『勉強できる子は○○がすごい』(以上、日経プレミアシリーズ)、『教育現場は困ってる』(平凡社新書)、『〈自分らしさ〉って何だろう?』『「さみしさ」の力』(以上、ちくまプリマ―新書)『「やさしさ」過剰社会』(PHP新書)などがある。