「いいとこフィルタ」でうまくいく!
子どものちょっとした行動でも悪いところばかり目がついてしまい、いつもガミガミ叱ってしまう…そんな経験はないでしょうか?
親子の集いの場「陽だまりサロン」を運営し、多くの子育てに関する相談に乗ってきた若松亜紀さんに、子どもへの「ほめ・認め」がラクラクできる方法を聞きました。
※本稿は若松亜紀著『3歳からは、ほめて、認めて、ちょっと叱る』(PHP研究所)より、抜粋・編集したものです。
若松亜紀(陽だまりサロンオーナー)
秋田大学教育学部卒業後、私立の幼稚園に7年間勤務。閉園により退職。その後、出産、子育てを経て2005年、自宅に子育てサロンをオープン。著書に『子どもが輝く幸せな子育て』(ほんの木)、『もう怒らない!これだけで子どもが変わる魔法の”ひと言”」(学陽書房)、共著に『「ほめ方」「叱り方」「しつけ方」に悩んだら読む本』(PHP研究所)などがある。
子どもの「いいところ」に照準を合わせる
子どもへの「ほめ・認め」がラクラクできる方法を紹介します。ここが、基本の「き」となります。家なら土台、化粧なら下地、ここだけは必ずモノにしてください。
人には「2つの見る目」があります。
1つは、いいところ(長所、美点、すばらしいところなど)が見える目。いいところは「いいとこフィルタ」を通すと見えてきます。
もう1つは、悪いところ(短所、欠点、ダメなところなど)が見える目。「嫌(や)なとこフィルタ」を通すと、嫌なところが見えてきます。
ここでの「フィルタ」は、カメラのフィルタみたいなものだと思ってください。あなたは普段、どちらのフィルタで見ていますか。
お母さんたちにこの質問をすると、こんな答えが返ってきます。
「ダメな部分にばっかり目がいってしまう」
「他人のいいところは見つけられるのに、自分の子どもは見つからない」
「いいところなんてない!」(断言)
かく言う私もそうでした。例えば子どもとごはんを食べているとき、
「ほら、こぼした」
「ほら、残した」
「ほら、左手どこいった?」
そうやって、直したいところばかりが見えるわ見えるわ。完全に「嫌なとこフィルタ」で見ていました。
なのにそれがまずいことだとは、これっぽっちも思いません。どちらかと言うと正しいことをしているつもりでした。
子どもをしつけているんだ、と。今のうちに良い行ないを身につけさせるんだ、と。きれいに言えば「親心」です。
なのにです。それを繰り返すうちに、家の中が息苦しくなってきました。会話がなくなる、空気が悪化する、子どもが自信をなくす。そういったマイナスのことが起き始めたのです。
ちょっと想像してみてください。食事のたびにだんなさまから言われている自分を。
「またこれ?」
「食べるものがない」
「おふくろの料理のほうが、うまい」
いかがですか。ごはん、おいしいですか。会話、続きますか。料理に自信、もてますか。悲しくなりますよね、そんなことばかり言われ続けたら。
私なら、「離婚」の2文字が浮かびます。なのに私はずっとそれを、ノンとダイにやっていたのです。自分が言われたら腹立つくせに。けれど、ご安心ください。見る目は選べる、変えられるのです。
あなたは選べます。「いいとこフィルタ」と「嫌なとこフィルタ」、どちらで見るかを選択できます。さあ、どちらにしますか。
今まで嫌なとこフィルタで見るクセがついていたとしても、ダメなところばかり目がいっていたとしても大丈夫!未来はあなたの意識次第です。
今すぐ「これからは、いいとこフィルタでいく!」と決めてください。
「いいとこフィルタでいく!」と決めたら、あとは自分に尋ねればいいんです。「この子のいいところは、どこかな?」と。
さあ、これで準備OKです。あなたのレーダーは、「いいところ」に照準が合いました。あとは脳みそが即席探知機になって、勝手にいいところを探し始めます。
では試しに、あなた自身のいいところを探してください。
・私って結構がんばりやさん!
・毎日ごはんを作っているし!
・いいお母さんになろうとしているし!
・いい子育て本も選べたし(そう思って~)
・いいぞ、いいぞ、わ、た、し!
ほら、見る目の基本はできました。これ以降は、探しあてたものをどう伝え、やりとりしていくかについてです。
3歳からは、ほめて、認めて、ちょっと叱る(PHP研究所)
子どもが言葉を操る3歳からは、親子の会話が大切。「ほめる」「認める」「叱る」のポイントを楽しく紹介してます。親の言葉がけが、子どもの自信とやる気を引き出します。