親子のスキンシップは愛情ホルモン”オキシトシン”をつくる!

山口創

子どもの脳と心の成長に、スキンシップは大事な役割を果たします。幼児期のスキンシップは、一生の宝物とも言えるでしょう。

※本記事は、「PHPのびのび子育て」2015年6月号より、一部を抜粋編集したものです。

山口創(桜美林大学リベラルアーツ学群教授)
早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。臨床発達心理士。専門は身体心理学・健康心理学。著書に、『幸せになる脳はだっこで育つ。 強いやさしい賢い子にするスキンシップの魔法』(廣済堂出版)など多数。

スキンシップが幸せの根っこをつくる!

スキンシップの大切さを知っている方は多いと思います。でも、スキンシップはなぜ大事なのでしょうか? それは子どもの中に”幸せの根っこ”をつくってくれるからです。

子どもに優しく触れると、「人って温かくて心地よくて安心できる存在なんだ」という人への信頼感が育ちます。小さい頃から親とのスキンシップが多かった子は、こうした信頼感の他、「自分は生きている価値のある存在だ」といった自尊感情が持てるようになります。

また、キレるなどの衝動性や攻撃性が低い子になる、社会性の高い子になることもわかっています。すなわち社会の中で幸せに生きていく力が育つようになるのです。

スキンシップの基本は、子どもが求めてきた時に、愛情を込めてしっかり抱きしめること。幼児期はこれに加えて、頭をなでてほめる、背中を優しくたたいて励ますなど、日常場面でのコミュニケーション的なスキンシップを増やすことが大事になります。

スキンシップは愛情ホルモン・オキシトシンをつくる!

みなさんは、「オキシトシン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「オキシトシン」は脳内物質の一種で愛情ホルモンとも呼ばれ、主に人と親密な関係を深める、愛情や絆を深める、安らぎや幸福感を高めるなどの働きがあります。

この「オキシトシン」がもっともよく出るのが、好きな人との愛情のこもったコミュニケーション。親とのスキンシップは一番の方法です。

5~10分の愛情あるスキンシップですぐに脳からオキシトシンが分泌され、効果が1時間ほど持続します。さらに嬉しいことに、子どもの頃にオキシトシンがよく出ているとオキシトシンを出しやすい脳となり、一生にわたって愛情や幸福感を感じやすい脳となるのです。