子どもの心を荒らさない! 年齢別・親の関わり方

渡辺弥生

【10〜12歳】本音と建て前が理解できるように。性差が顕著になる

自分が得意なことと不得意なことを自覚し始め、”他者の目に映る自分”を気にしだすようになり、親と距離を置くようになる子もいます。時間の展望能力がますますつき、2、3力月から1年先くらいまでを見通せるようになるため、先のことを考え、不安になることも増えていくでしょう。

対人関係も広がり、本音と建て前が少しずつ理解できるようにもなるため、友だちとの間でいざこざが起こると心のしこりがなかなかとれず、不登校につながるケースもあります。

また、性差がより現われるようになり、男の子は外で一緒に体を動かしたり共通の好きなことを通して、女の子はお互いの感情を言葉に出し合って、仲間意識を高めていきます。

・親の関わり方…親子の距離は離れても、見守る姿勢は忘れない

自分のことをあまり言わなくなってくるため親のほうは目を離してしまいがちですが、思春期目前のこの時期、子どもは心の中で葛藤を抱えているかもしれません。

「今日は学校で何があったの?」などとしつこく聞く必要はありませんが、何かトラブルが起きたときにスムーズにサポートできるよう、常に子どもに目を向けておきましょう。

心を荒らさないために子どもの性格を「プラスの枠組み」で受け入れよう

子どもの性格をマイナスにとらえてしまうと、子どもを追いつめてしまいます。

環境変化への敏感さ、順応の早さといった生まれもった気質と、生まれてからの環境の影響を受けて、性格には個人差が見られます。

親は子どもが”できない”理由を性格のせいにすることがありますが、安易に悪い性格のせいにすると、子どもはレッテルをはられたように感じ、問題が悪化しがちです。

しかも「なんでお友だちに言いたいことが言えないの?」などと責めてしまうと、子どもは自信をなくし、言いたいことが言えなくなって、親子間でのポジティブな感情のキャッチボールができなくなります。

・視点を変えることが大切です

そんなときは、わが子の性格を”プラスの枠組み”で見てみましょう。たとえば、「無口」を”プラスの枠組み”で見ると「おだやか」に変換できます。「うちの子は〇〇だから」と決めつけず、わが子を日々”プラスの枠組み”で見つめる習慣をつけ、よい部分をほめることが大切です。それが子どもの自己肯定感を高め、心の安定へとつながっていきます。

心のしなやかさを育てるために親が心がけたいこと

子どもだけでなく親自身も、心が豊かになるような体験を重ね、幸せな感情を積み重ねていきましょう。

私たちは、毎日いろいろな感情を抱きながら暮らしています。子どもが自分の感情をコントロールできる、強くしなやかな心を育むために大切なのは、繰り返しになりますが、「悲しい!」「くやしい!」などと、子どもがぶつけてきた感情を受けとめ、共感すること。

その時はマイナスの感情でも、身近な人に自分の気持ちを理解してもらえれば、プラスのエネルギーを蓄えることができ、「よし、明日からがんばろう」と気持ちを入れ替えることができます。

泣いているときも、「泣いたらだめ!」などと頭ごなしに叱りつけるのでなく、「友だちにオモチャをとられてくやしくて泣いているんだね」と、子どもの気持ちを代弁してあげましょう。

・「嬉しい!」「楽しい!」と思える時間を共有して

幼児期に、子ども自身が「嬉しい!」「楽しい!」といった幸せな感情をたくさん味わっておくと、たとえつらいことや悲しいことがあっても、「またあの時のような楽しい気持ちを味わいたい!」といった、”しなやかに立ち直る力=レジリエンス”を自然と身につけることができます。

そのためには、子どもだけでなく親自身も日々の暮らしにゆとりをもち、心を豊かにし、幸せな感情に浸れるような時間をもつことが大切です。

「お星さま、きれいだね」「鳥が鳴いているね」など、ちょっとした発見を楽しみながら、子どもと一緒に見たり、聞いたり、触ったりして会話を重ねていきましょう。ボキャブラリーを増やすことも豊かな心を育てます。

親子で幸せな感情の共有を重ねていくことが、生きていく強さ、心のしなやかさにつながっていくのです。