姿勢がよくなると勉強もスポーツもぐんぐん伸びる理由
姿勢を正す理由を話してあげよう
もちろん皆さんも、よい姿勢の大事さは十分わかっていらっしゃるでしょう。お母さんたちからは「うちの子どもは何回言っても姿勢の悪さが直らなくて、すぐに体がダラリとしてしまう」という声をたくさん聞きます。「何回注意しても姿勢が直らない」は、多くのお母さんの困り事です。
でも、理由をきちんと説明してやれば、子どもは理解して気をつけるようになります。理由を知らないまま 「姿勢をよくしなさい」と言われても、子どもたちの中には入っていかないのです。
ある小学校の校長先生に頼まれて、小学校一年生から六年生までの子どもたちに講演をしたことがありました。
そこで姿勢の話をしました。
「美しい自分を整えないと能力は発揮できないんだよ。すごい人というのはみんな立っていても、走っていても、歩いていても姿が美しい。だから美しい自分を整えないと能力は出てこないんだよ」
と、ここまで話して、ある一年生の子に「君の足はダラ~と開いているよね?それは美しいと思う?」といきなり質問してみました。すると、そこにいた全員が弾かれたようにビシッと足を整えて座り直したのです。
続けて、「達人と言われている人たちは姿が美しいから目が水平になっているんだけれど、みんなの目は今傾いているよね?」と話すと、今度は目が水平になるように姿勢を直して座るようになったのです。
途中で多少足が開き出したりはしたものの、そこにいた子どもたちはみんな、よい姿勢を保ったまま60分間きちんと私の話を聞いてくれました。
後日子どもたちから感想が送られてきたのですが、驚いたことに、メモをとらずに話を聞いていたにもかかわらず、一年生、二年生の子も私が講演で話した五つの内容をきちんと覚えていてくれたのです。姿勢を正すことで集中力も生まれ、話を最後までしっかり聞いてくれたのですね。
もっとうれしいことがありました。小学生にはちょっとむずかしいかなと思いつつ、「目が水平になっていると、入ってきた情報を補正しないで脳が取り込めるから、右と左の脳が同時に働ける。
だから頭は疲れないし、ものはよく見えるし、判断カも上がるんだよ。野球をやっている子がいたら、目線を水平にすることを意識してください」と話をしたところ、そこに少年スポーツ団の野球部で一番、四番、七番バッターを任されている子たちがいたのです。
講演の一週間後に県の少年野球大会があり、その子たちがそこで猛打を連発し続けたそうです。そのおかげでどんどん勝ち上がっていき、最後は優勝を手にしたとのこと。子どもたちも「林先生は神様だ」 と大喜びしていたと連絡をいただきました。
子どもであっても、なんで大切なのかをきちんと説明すれば、「統一・一貫性」の本能に従って、そのようにやってくれます。
ですから、ただ 「姿勢を直しなさい」 と言うのではなく、姿勢を正すことの必要性も併せて話してあげることが大事なのです。
正しい姿勢は「空間認知能」とつながっている
美しく正しい姿勢は、集中力とも関係します。正しい姿勢でいると体が疲れませんので、集中力を維持することもできます。
正しい姿勢をつくるポイントは、
・目線を水平にする
・背筋を伸ばす
・肩(肩甲骨)の高さを左右同じにする
の3つです。ここに注意しながら、子どもが正しい姿勢をとれているかどうか見てやるとよいでしょう。
美しく正しい姿勢ができるようになることは、子どもの 「空間認知能」を鍛えることにもなります。「空間認知能」は、とにかくあらゆる能力の向上に必要不可欠な重要な脳機能です。
その脳機能のトレーニングのひとつが、美しく正しい姿勢でいることを習慣にすることなのです。
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