「逃げ道」をふさがない!子どもを追いつめない叱り方
子どもを追いつめるだけの叱り方を卒業すれば、お母さん自身もラクになれます。『子どもを傷つける言い方・追いつめる叱り方』の一部をご紹介します。
※本記事は荻野ゆう子著『子どもを傷つける言い方・追いつめる叱り方』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです。
荻野ゆう子(教育・心理カウンセラー)
立教大学文学部心理学科卒業。子ども家庭教育フォーラム・チームカウンセラー。文京学院大学・生涯学習センター講師。日本精神衛生学会理事。NPO法人「保育ネットワーク・ミルク」理事。 不登校・就職拒否など人間関係にとまどう思春期・青年期の子どもたち、家族との出会いを通して、気持ちを汲みとりあう関わりの大切さを感じ、その思いをリアルな言葉で伝えている。
追いつめない話し方
子どもの気持ちや理由に耳を傾けて、逃げ道をつくってあげる
お母さんは、言うことを聞かない子どもの姿を見ると、叱ってしまうことが多いのではないでしょうか。でも、子どもが親の言うことをすんなり聞かないのには、理由がかならずあります。それは、おとなが納得しないような理由かもしれません。
たとえば、「遊ぶ約束をしているから、宿題は家に帰ってからにする」とか、「テレビを観てからお風呂に入る」などです。それに対して、「そんなこと言って、いつもしないでしょ!」と頭ごなしに叱っても、子どもの心には届きません。
しかし、お母さんは何度も同じことを言わせる子どもに、苛立ちや怒りを感じているので、頭ごなしに言 わないと気持ちが収まらないのです。つまり、子どもだけでなく、お母さんも追いつめられているというわけです。
では、どうしたら楽になるのか――それは、おとなも子どもも、そうせざるを得ない事情や気持ちがあるのだ、と受け止めることです。
まわりがなんと言っても、相手の気持ちは変えられません。「わたしはそう思わないけど、この子はそうせざるを得ないんだ」と、受け入れるのです。
「受け止める」とは、子どもの言い分が正しいと認めることではありません。善悪で判断せず、「そう、あなたはそう思ったのね」 と、そのままの気持ちを受け止めるのです。どんなときも、まず「受け止める」ことなくして、先に進むことはできません。
受け止めることが「逃げ道」になる
「こんなことをしてたら、どうなるかわかるよね」「自分で言ったことを覚えている?」
親は、子どもの行動を変えるには納得させることが必要だと思って、論理的に、あるいは道徳的・倫理的に教えさとそうとするものです。すると、子どもは反論できず、むしろ追いつめられてしまいます。
だから、「はい」とうなずいても、心には届きにくいのです。さらに、正論を言われてしまうことで、自分自身を否定することになり、逃げ道を失います。
おたがいがラクになるために、まず受け止めてほしいのです。「○○ちゃんは、こうしたかったのね」と、子どもの気持ちや理由にひとまず耳を傾け、「そう、そうだったのね」と、そのまま受け入れて聞く努力をしましょう。このように受け止めることが、子どもの逃げ道を作るのです。