早くから抜け出すために大切なこと~今の親を取り巻く環境~

大日向雅美

早くから抜け出すためのヒント

「早く」を言い過ぎて、子どもの可能性をつぶさないように、次のことを心に留めておきましょう。

【HINT1】「早く」と言ってしまう自分を自覚する

子どもについ「早く」と言いがちですが、「子どもを急かしている自分」を、お母さん自身がきちんと自覚していることが大切です。お母さんにそういう意識があれば、ふと気づいたときに「早く」という言葉を飲み込めたり、また、子どもとゆっくり過ごせる時間を大事にできたりするものです。

最近「早く」が増えてきたなと思ったら、自分は子どもに頼まれたときに、「すぐ」に対応できているかということも考えてみましょう。

お子さんに、「お母さん、○○やって」と言われたときに、あなたはすぐにやれているでしょうか。「忙しいから後でね」と、待たせることが多くはないでしょうか。大人でもするのが難しいことを、子どもに求めているのです。

あなたと同様に子どもには子どものペースがあります。そして、大人と違って、子どもは「早く」できないのが当たり前です。そう思いながら子どもに接すると、「早く」が少し減ってくるでしょう。

【HINT2】長い目で見るゆとりをもつ

お母さんは時間に限りがあることを知っているので、毎日忙しく動き回っていますが、幼児期の子どもは大人とは真逆の世界に生きていて、時間はエンドレスにあると思っています。時間の流れもゆっくりで、子どもは日々の体験を通して、少しずつ成長していきます。

前にも述べたように、今あなたが子どものためにしていることの結果が出るのは、明日かもしれませんし、もっとずっと先かもしれません。それは、誰にもわからないのです。

すぐに成果が出ないことで、「これは本当に子どものためになっているのだろうか」と、不安になることもあるでしょう。でも、どんなに不安でも苦しくても、子育てだけはゆっくりと、そんな思いでいることが大切です。子どもの力を信じ、長い目で見る余裕をもちましょう。

【HINT3】意識してゆったりとした時間を過ごす

手芸、読書、料理など、何でもいいので、自分自身が夢中になれることをしましょう。これはお母さん自身のためでもありますし、子どものためでもあります。

あまり時間がとれないようなら、15分程度でもかまいません。心と体を休めるための時間をもちましょう。今はお母さん自身が、いろいろなことに追われる時代です。だからこそ、意識してリフレッシュする時間をもつことが大事なのです。

1人の時間を確保するのが難しい場合は、子どもとの時間をリラックスタイムに変えるとよいでしょう。

寝る前に子どもと同じ布団に入って音楽を聞いたり、絵本を読んであげたり、お話をしてあげたり、スキンシップをとるのも温かい時間です。お母さんがゆったりとしていると、子どもも居心地のよさを感じ、親子で気持ちをリフレッシュすることができます。