ビリギャルを奇跡と誤解する人は知らない「子どものやる気の育て方」
2000年代あたりからずっと言われている「日本の若者にやる気がない」というのは本当だろうか。「やる気」を測るのは難しいが「自己肯定感の高さ」に置き換えてみると、数字で世界との比較をすることができる。
文部科学省の資料でよく使われる「高校生の生活と意識に関する調査」(国立青少年教育振興機構、2015)では「自分はだめな人間だと思うか」という質問で「そう思う」と答えたのはアメリカの高校生で45%、中国で56%、韓国で35%、そして日本は突出して高く72%だった。
その原因は「家庭教育」「親の態度」「学校のシステム」などさまざま論じられているが、本当のところはわからない。ただはっきりしているのは、もし「才能なんかいらない、とにかく何でもやってみた人勝ち」と明言してくれる大人が彼らのまわりにたくさんいたら、この数字も少し変わっているはず、ということだ。
120万部を超える大ベストセラー、通称「ビリギャル」の著者・坪田信貴氏は最新刊『やりたいことが見つからない君へ』(小学館YouthBooks)でそのことを、10代とその親世代に向け明快な言葉で語っている。
※本稿は、坪田信貴著『やりたいことが見つからない君へ』(小学館YouthBooks)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
坪田信貴(坪田塾塾長/「ビリギャル」著者)
教育者、経営者。これまでに1300人以上を「子別指導」し、心理学を用いた学習指導により、偏差値を短期間で急激に上げることに定評がある。第49回新風賞受賞。著書に、120万部突破のミリオンセラー「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」(ビリギャル)がある。
やらない理由を見つけるのは簡単
ビリギャルのさやかちゃんも慶應大学に合格して「奇跡」と言われましたが、僕自身は奇跡だなんて思っていません。どんな子でも学べば必ず成長し、成長すれば結果を出すことができるからです。
それなのに周りも自分も高3でこんな成績だったらダメだとか、かつてグレていたら無理だとか、こんな家庭環境だから不可能だと決めつけて、簡単に諦めてしまう。
そう、やらない理由を見つけるのは簡単ですよね。「自分はバカだから」「もう30歳だから」「本当にやりたいことが見つからないから」…でも、それはいろいろな理由を自分に当てはめて、やらない・始めない言い訳をしているだけです。
逆に、うまくいった人に対しては「もともと才能があったんだろう」「地アタマがよかったんでしょう」などと言いますが、僕に言わせれば、どの子だって地アタマはいいし、方法さえ間違えなければ、必ず成長するのです。