子どもとの接し方がわからない…親を悩ませる「大人の発達障害」
赤ちゃんのあやし方がわからない
発達障害のお母さんには、赤ちゃんのあやし方がわからないなど、どのように子どもと接していいのかわからないという人もいます。
ある発達障害のお母さんが、赤ちゃんが泣いているのに対応しようとしてオムツを替えたところ、赤ちゃんが泣きやみました。
するとお母さんは、「赤ちゃんが泣いたらオムツ替えればいいんだ」と一つのパターンにこだわり、赤ちゃんが別の理由で泣いても、オムツを替えることで対応しようとしました。
この場合、お母さんは、赤ちゃんが泣く理由には、お腹がへっている、体にかゆみがある、甘えたいなど、複数のパターンがあることを一つずつ学んでいく必要があります。
また、子育てに悩んだときに、自分の状況について医療機関に相談するということ自体、多くのお母さん方は思いつかないものです。もし自分が困っていることが発達障害によるものかもしれないと思われるのでしたら、ぜひ医療機関に相談することを考えてみてください。
くり返しになりますが、私が特に強調したいのは、親や夫、親せき、専門家など、第三者にできるだけ頼ってほしいということです。自分一人で抱え込んで、なんとかしようとしないでください。
子どもが発達障害で、自分も気づいたケース
子どもが落ち着きがないなどでADHDを疑い、病院で診断を受けたときに初めてお母さん自身が「自分もそうかも」と、発達障害のことに気づくパターンもあります。次に紹介するYさんがそのパターンでした。
【Yさん、30代後半】
5歳の子どもが多動型のADHD。子どもの障害について話すときに、話がぽんぽん飛ぶ。異常に饒舌。
Yさんは、お子さんの多動行動が心配になってクリニックに来られました。しかし私は、診察中のYさんの振る舞いに違和感がありました。話があちこちへと飛んで、異常によくしゃべるのです。
多動型のADHDには、異常に饒舌になる症状もあります。私はYさんに診察を受けることを勧めました。検査をしてみるとやはりADHDでした。Yさんは「ああ、やっぱり私もそうなんですか」とおっしゃいました。
子どもがADHDやアスペルガー障害で、親御さんもそうだとわかるパターンはよくあります。こういう方たちは、お子さんを病院に連れてくる時点で、医療機関に対するネガティブな姿勢をもっていないものです。
そのため発達障害のことをご本人に告げても、大きなショックを受けられることはあまりありません。「ああ、やっぱり」という場合がほとんどです。
親御さんが自分のもつ発達障害について知ることは、子育てにとってプラスになります。自分の傾向を知って、子どもと接することができるようになるからです。
発達障害のお母さんは、「子どもはこうだ」というイメージにとらわれていることがあります。または「子育てはこうすべき」という理想的な子育てをかたくなに守っていることもあります。まずはそういう傾向があることを知るだけでも、子育てが変わってきます。
子どもはわけのわからない行動をすることが自然です。言葉できちんと自己表現ができないため、泣き叫んだり、突然何かを始めたりすることもあります。そんなとき、発達障害のお母さんはパニックに陥ります。
どう接していいのか、または、どう言葉をかければいいのかわからなくなります。まずは、子どもが自分のイメージ通りになるものではないということを意識してください。
そして、子どもの行動に対する、自分の接し方の基準を決めてみましょう。「ここまではOKで、これ以上はダメ」という具体的な線引きをしてみます。子どもの行動を変えるよりも、むしろ自分のなかの基準を変えるようにしてみてください。
(Part3「発達障害のこんな『困った』をどうすればいい?」より)
他人とうまくいかないのは、発達障害だから?
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