子どもを伸ばす「しつけ方」
子どもの一生にとって、なぜ幼児期が大切なのでしょう。3つのポイントに分けてご紹介します。
※本記事は、『PHPのびのび子育て』2011年4月号より、一部を抜粋編集したものです。
河井英子(武蔵丘短期大学教授)
東京都内の教育委員会教育相談室で長年相談員を務め、現職。子どもの心をテーマにした健康の心理学、発達と学習の心理学が専門。
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「鉄は熱いうちに打て」「三つ子の魂百まで」などと古くから幼児期のしつけの重要性について言われています。またフロイトをはじめとして多くの心理学者もそれぞれの立場から幼児期の重要性を述べています。
大げさに言えば、幼児期の子どものしつけのあり方は、その子どもの一生を左右するかもしれません。もちろん、しつけの重要性は幼児期だけに限ったことではなく、それ以後もさまざまな課題として親に課せられてきますが。
最近の子どもや若者について、基本的生活能力、人間関係調整能力やコミュニケーション能力、命の尊さに関わるような善悪の判断力などが欠けているのではないかと心配されています。
その根源はやはり小さいときの家庭でのしつけのあり方にあるのではないかと思われます。「もう取り返しがつかない」のではなく、思い立った今からでも子どものしつけについて、しっかり見直してみましょう。
1 基本的な生活習慣が身につく
衣食住に関わる基本的生活習慣は、本来幼児期に家庭でしつけられるべきと考えられてきました。学校生活はそれらの上に成り立っていると思われます。
しかし最近の子どもはなかなかそういうしつけがなされていないと言われています。「人の話が聴けない」「自分の持ち物の始末ができない」など、学校生活にも支障が生じているようです。
しつけとは時間をかけて忍耐をもって行なわなければならないものです。一朝一夕に形成されるものではありません。毎日の生活のあり方が問われます。
大人の生活習慣をモデルとしながら、根気強い訓練と、繰り返しによって、子どもの生活に定着させていかなければなりません。親の気分やそのときの都合で例外があってはならないのです。
しかし現代人の生活様式は多様であって、なかなか子どもの生活様式と触れ合わないことが多いかもしれません。時には大人の生活を優先してしまうこともあるかもしれません。
しかし、多大な親の忍耐を必要としても、「規則正しい生活習慣」を子どものしつけの第一の目標にしたいものです。