「早く!」をやめると自分でできる子が育つ
つい言ってしまう「早く!」という言葉は、思わぬ影響を及ぼしています。武蔵丘短期大学教授の河井英子さんが、子どもを急かすことのデメリットについて解説します。
※本記事は、『PHPのびのび子育て』2013年8月号より、一部を抜粋編集したものです。
河井英子(武蔵丘短期大学教授)
東京都内の教育委員会教育相談室で長年相談員を務め、現職。子どもの心をテーマにした健康の心理学、発達と学習の心理学が専門。
「早く!」が子どもに与える影響 口ぐせのデメリットに気づこう
■「早く!」と言われた子どもの気持ちは!?
・これで精一杯なのに、そんなに早くはできないよ
子どもなりに頑張っていても、何をどうしていいのか分からなかったり、1つ1つの動作がうまくできなかったりすることがあります。それなのに「早く!」とせかされ、パニック状態になることも。
・わかってるよ! お母さんはいつもうるさいんだから
3~6歳の子どもは、言われれば言われるほど素直に従えない“自我”が育っています。あなたの「早く!」という言葉は自我を強める役割を果たし、より反抗的になる場合があります。
・またお母さんが何か言ってる。いつものことだから、まあいいや
子どもはあなたの言葉に耳を貸そうともしません。どうせいつものことと聞き流し、あなたのヒステリックな声に、ようやく慌てたりします。
■気づいていましたか? 子どもと大人では「時間感覚」が違います!
私たち大人は、歳を取るにしたがって、月日が経つのは何と早いものか、との感慨を持っています。それに比べて、子ども時代の時間の長さを思い出してください。1日はとても長く、明日のことなどほとんど考えられない先のことだったのではないでしょうか。
子どもにとって関心は「今」しかなく、「今」がすべてです。先々を考えて行動することはできません。大人と子どもでは時間の感覚が違うということも覚えておきましょう。
現代人の生活は時間に追われ、忙しい毎日です。特に小さなお子さんを持つお母さんにとっては、1日1日が時間との戦いでしょう。
お母さんから見ると子どものやることは、のろくてじれったくて、イライラさせられることが多いと思います。
つい「早く!」と急き立て、自分の思いのままのペースで動かそうとしてしまうのは、ある意味仕方のないことなのかもしれません。お母さんが子どもに掛ける言葉で最も多いのは、「早く!」であるとも言われています。
あなたも、朝起きてから寝るまで、「早くしなさい」を繰り返しているのではないでしょうか。それなのに子どもは一向にさっさと動いてくれないのも、毎日の習いといったところかもしれません。
■「早く」の伝え方を変えてみましょう
でも、つい言ってしまう「早く!」という言葉によって、子どもはさまざまな感情を持ち、また子どもの成長にとって良くない影響を与えてしまうこともあります。そのことを頭に入れながら、もっと効果的な言葉かけをしていきましょう。