子どもは親の顔を見て育つ

河井英子
2023.03.23 15:56 2023.03.23 15:54

ママの話を聞く子

「いつだって笑顔のママになる」と意気込む必要はありません。まずは、「あなたの顔の力」があなたの思う以上に大きいことを知ってほしいのです。

※本記事は、『PHPのびのび子育て』2014年1月号より、一部を抜粋編集したものです。

河井英子(武蔵丘短期大学教授)
東京都内の教育委員会教育相談室で長年相談員を務め、現職。子どもの心をテーマにした健康の心理学、発達と学習の心理学が専門。

子どもはお母さんの顔色を見逃しません

真剣な顔の子ども

人は相手の顔色を見てその人を理解しようとします。相手が不快な思いをしているのか、喜んでいるのかを判断しながら自分のとるべき態度を決めています。子どもだって同じです。

子どもにとってはお母さんほど大事な人はいませんから、お母さんの顔色には特に敏感です。

ところで私たちは自分の普段の本当の顔を知りませんし、鏡で見るとき以外はほとんど自分の顔(表情)に無意識でいることが多いでしょう。

そんな無意識で無防備な顔を、一番身近で自分の分身であると思っている子どもにしっかりとみられていることを心に留めておいてください。

いい表情が可能性を広げる

男の子と女性

お母さん自身が意識しない表情までも子どもは常に見ています。お母さんがいつも眉間に縦皺を寄せてしかめ面をしていては、子どもはどんなに緊張し、不安な気持ちにさせられることでしょう。

常にお母さんの顔色をうかがい、お母さんから注意をそらすことができません。神経質で不安傾向の強い子どもになってしまうことでしょう。

逆にいつも明るく笑顔の絶えないお母さんであれば、子どもは安心して、自分のことに集中できます。お母さんの笑顔を背後に感じながらのびのびと自分の能力を伸ばし、自信をもって新しい課題に挑戦することができるようになるでしょう。

【column】目(表情)は口ほどに物を言う

人の表情、特に目は心(感情)を表わす窓と言ってもよいでしょう。特に、人間の目には白目があることが豊かな表情を可能にしているとも言われています。そしてお互いにその顔色を読み合いながら、相手との交流を図り、人間関係を重視してきたのです。その上、時には「顔で笑って心で泣く」などという高度な技を使うことも可能にしています。