小学校入学前に、算数に必要な「力」を育てるには?

大迫ちあき
2024.11.01 10:34 2023.03.28 19:34

トランプで遊ぶ親子

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数字の読み書きも計算も小学校に入ってからで十分。算数ができる子を育てるにはもっと大切なことがあります。大迫ちあきさんの『算数ができる子の親がしていること』よりご紹介します。

大迫ちあき【著者紹介】大迫ちあき(日本数学検定協会認定数学コーチャー&幼児さんすうエグゼクティブインストラクター)
子育てが一段落したあと、大手個別指導塾で中学受験の算数担当講師として10年勤務。多くの学習相談を受ける中で、子どもの勉強に悩むお母さんたちのフォローもしたいという思いから、2011年に独立。東京・恵比寿で未就学児から小学生対象の「幼児さんすうスクールSPICA」、中学生対象の「Total Learning School SPICA」を開講。未就学児対象「算数ワークショップ」も開いている。

幼児期に本当に大切なこととは?

算数ができる子の場合、共通しているのは、小さい頃からさんすう環境の中にいて、五感でさんすうを体験していたことです。

では、さんすう環境をつくる、五感でさんすうを体験するとはどういうことでしょう?

「小学校に入る前に算数に必要な力をつけておいてあげましょう」とお話しすると、多くのお母さん方は、プリントをやらせたり、100までの数を読み書きさせたり、簡単な足し算を教えたりといったことをイメージされます。

でも、幼児期に知識として算数を教えることや、暗記や計算のドリルをたくさんやらせることが「さんすう環境」を整えてあげることではありません。ここから入っても、算数に必要な力はついていかないのです。

算数の問題を解く小学生

はっきり言えば、数字の読み書きも計算も、小学校に入ってからいくらでも伸びます。小学校の先生は、工夫してがんばって教えてくださるので、どの子もできるようになります。  ですから年長さんで九九の暗記は必要ありませんし、入学までにかけ算ができるようになっている必要もないのです。かえって、数の概念を五感で覚えていないうちは、それをやらないほうがいい場合もあります。

九九をただ機械的に覚えても、「7×6は、7個のかたまりになったものが6つ分あること」がわかっていないと、結局は文章問題を解くときに「何をどうすればいいの?」になってしまうでしょう。

「足すってどういうこと? かけるってどういうこと?」が理解できていなければ、やっぱり文章を読んで問題を解く段階でつまずいてしまいます。

もちろん計算力をつけておくことは必要です。けれども、計算を使って何をするのか、が算数・数学ではより重要なのです。

幼児期は、英才教育的な算数の勉強より、実際の物を使って「体験」をたくさんさせてあげるほうが基礎力がうんと蓄えられ、小学校に入って以降の算数の力につながっていきます。

これが、さんすう環境です。


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『算数ができる子の親がしていること』
人気算数教室の講師が「折り紙でパズル遊びをする」「さんすう言葉を使う」など、楽しく遊ぶだけで自動的に子どもが算数好きになる魔法のコツを紹介します。難しいことは一切なし!子育てが楽しくなる一冊です。