東大生の幼少期の習い事、1位が水泳、3位が野球。では2位は…? 指先と学力の見逃せない関係

浜田一志
2023.12.19 14:03 2023.04.04 12:00

なぜ、背骨と指先が大切なのか?

鍵盤を弾く子ども

人類の進化について諸説ありますが、人間は、約300万年前に完全に二足歩行になったと言われています。背骨で脳を支えられるようになり、劇的に脳が発達した進化の過程を見ると、いかに人間にとって背骨が重要であるのかが容易に想像できるのではないでしょうか。恐竜はあれだけ体が大きいですが、脳のサイズは人間よりも小さいです。

学術的な話は専門書に譲るとして、ここでは、「背骨は脳の大きさを決める」と理解してください。また、脳の大きさはおおよそ10歳くらいでかたまります。

もうひとつの、指先の働きについては、脳のシワの数を決めます。つまり、脳の機能を高めるということです。脳のシワは小学生頃に格段に増えます。

子どもたちの脳細胞は、赤ちゃんのときからすでに大人とほぼ同じですが、小さな頃は、脳で情報処理する神経細胞同士はまだつながっていません。そして、神経細胞同士をつなげるためには、五感からの刺激が必須と言われています。

五感とは、味覚、聴覚、嗅覚、視覚、触覚の5つの感覚のこと。以前の記事で子どもたちにいろいろな体験をさせてあげてくださいとお伝えしたのは、まさに五感を刺激してもらいたいからです。

群馬大学教育学部の小山啓太氏の研究では、単純な握り運動ではなく、ボールを握るような指の運動のほうが、脳の活動が活発になるというデータも出ています。

ですので、習い事選びの際は、「触覚」「指先の運動」の体験や刺激をいかに与えられるかという視点に立つといいのではないでしょうか。

勉強は脳の整理整頓法のワザを覚えるためのもの

考える男の子

脳の大きさの話が出ましたが、容量があれば一概に良いというものではありません。

脳の容量というのは、いわば、家の大きさや部屋、タンスの大きさのようなもの。たしかに広い部屋にはたくさんのものを置けますが、小さな部屋でも整理整頓をすればたくさんのものを置くことができます。

勉強はまさにその整理整頓の技を覚えることです。関連する情報を近くに置く、よく使う知識をすぐに出せるところに置く、方程式で応用できるなら、要らない知識は捨てる、といったイメージです。勉強ができる子はこの整理整頓に長けていて、苦手な子はなんでもかんでも、あちこちに置いてしまう……。

なお、整理整頓の方法は後天的に学べて、熟練させていくことが可能です。脳という家や部屋、タンスの「容量」は親から受け継ぐので遺伝ですが、タンスの引き出しの中を整理整頓して、必要な知識や情報を自在に引き出せるかどうかは、本人の工夫次第となります。

この工夫の仕方を先生や親、大人たちが伝えてあげなければなりません。ですから、どんな環境で、どんなトレーニングをするかによって学力が左右されるのです。

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