ゲームをやめない子どもの習慣を変える「親の質問」

坂本七郎

質問、ルール設定、見える化のプロセスを踏む

◎ゲームの「誘惑」に負けない、ある儀式

ルールを決めるときに、必ずしてほしい儀式があります。

それは、「本人の意思を確認すること」です。親ではなく、自分で決めさせることで、自分を律する気持ちを引き出していくのです。これをするかしないかで、ルールが機能するかどうかが決まります。

では、具体的にはどうすればいいのでしょうか?

たとえば、多くのご家庭では、親が「ゲームは1日1時間まで。ゲームは勉強が終わってから」といったルールをつくっていると思います。

でも、これでうまくいっている家庭は少ないのではないでしょうか。おそらく、1時間を過ぎてもなかなかやめられず、「もう少しで終わるから」とか言って、どんどん時間を延長しているのが実情でしょう。

だからこそ、ルールをつくるときは、本人が納得したうえで、自分で決めさせることが大切なのです。自分の意思でルールをつくらせるには、1つコツがあります。

親から質問を投げかけることで、ルールを決めていくのです。

まず、子どもに「話し合いをするから来て」と呼びます。そして、「今からゲームについてのあなたの考えが聞きたい」と言ってから、「ゲームをする時間は1日どのくらいがいいと思う?」または、「1日どのくらいの時間だったらゲームをしてもいいと思う?」と聞きます。

子どもが直感で「2時間!」とか言うようなら、「家に帰ってきて、宿題、自由時間、夕食、おふろ、明日の準備、ふとんに入る時間も考えてね」と、どのように時間を決めるかを教えます。そして、ゲームの時間に加えて、勉強時間についても考えさせます。

ここも大切なポイントです。

ゲームと勉強をセットにして考えることで、学習計画を決めることにもなるからです。よく考えさせた結果、子どもが言ってきたゲーム時間が長い場合は、「ママはそんなにゲームをしてほしくないな」と素直に言ってもいいでしょう。

親子で意見を出し合って、ゲームは長くても1日1時間以内に収めたいところです(ゲームは毎日ではなく、お楽しみとして1日おきにするとか、時間に余裕のある日曜だけは2時間までOKとするなどとしてもいいでしょう)。

繰り返しますが、ルールを決めるときのポイントは、「親が時間を決めた」という印象を持たせず、「自分で考えて時間を決めた」と印象づけることにあります。

親は意見を言ってもかまいませんが、なるべく「こうしなさい」「ああしなさい」と言わずに、本人の口から○分、○時間と決めさせるようにしましょう。そして、ゲームのプレー時間が決まったら、「ゲームの開始時間」を決めてください。

さらに「ゲームは勉強の前か後か」と「勉強の開始時間」も同時に決めます。

このように、ゲーム開始時間と終了時間、勉強については開始時間だけを決めて、その時間(計画)を紙に書いて壁に貼っておきます(「見える化」することは、とても大切です)。

なお、勉強の場合は、学習量で決めたほうがうまくいくので、終了時間は決めません。また、「勉強を始める準備の時間」を設定しておくこともオススメです。

上の図のように設定しておくと、6時ちょうどから勉強をスタートできます。壁に貼ったら、さっそく次の日からやってみましょう。

きっと、いろいろなことが見えてくるはずです。計画どおりにゲームが始められるか? 時間どおりに勉強が始められるか? ぜひ、お子さんの様子を観察してみてください。