「2歳の子が急に食べなくなった」のはなぜ? 専門家が教える少食・偏食のこと

山口健太
2023.12.19 18:20 2023.04.25 11:50

「2歳の子が急に食べなくなった」のはなぜ? 専門家が教える少食・偏食のことの画像1

これまで何でも食べてくれていたのに、急に食べなくなった…。子どもの食事が不安定になると親は心配になってしまいます。しかし子どもの「食べない」に対して不安ばかりが先に立って、子どもを苦しめてしまうケースもあります。

会食恐怖症を克服した経験を持つ食育カウンセラーの山口健太さんは「好き嫌いは子どもの『わがまま』ではない」と断言します。ここでは子どもの「食べない」に対して親が知っておくべきことを解説します。

※本稿は、山口健太・著『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

「食べない子」に関するよくある勘違い

ここで「食べない子」に関するクイズを5問出題します。

全て「○」か「×」かの2択のクイズです。

Q1食欲は「空腹だから」湧き上がるもの?

Q2好き嫌い(偏食)は子どものわがまま?

Q3好き嫌いをしていると栄養失調になる?

Q4苦手な食材は年齢とともになくなっていく?

Q5食べないものは食卓に並べない方が良い?

 

Q1 食欲は「空腹だから」湧き上がるもの?

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答えは×です。

「食事も喉を通らない」という言い回しがあるように、人はストレスを感じたり、不安や緊張状態にあったりすると、空腹でも食欲が出ないことがあります。

なぜなら、人はストレスを感じることで血糖値が上昇し、満腹中枢が刺激されて食欲が抑制されるからです。また、緊張によって喉の筋肉が動かしにくくなるので、食べ物が飲み込みにくくなり、消化器官の働きも悪くなります。

つまり、食べられない子に対して強いプレッシャーを与えることは、逆効果です。それどころか、一度それを経験してしまうと「また言われたらどうしよう」「頑張って食べなければ怒られる」という”予期不安”が起きてしまい、「食事をする前から気持ちが悪い」という心理状況になることもありえるのです。

それでは「食べない子」が「楽しく食べられる子」に変わるわけがありませんよね。

Q2 好き嫌い(偏食)は子どものわがまま?

こちらの問題も「×」です。

「好き嫌い」は、単純に「わがまま」の一言で片付けてはいけない問題です。むしろ「わがまま」で片付けてしまうと、小食や偏食はなかなかなおりません。

たしかに、偏食のことを一般的に「好き嫌い」という言葉で表現することが多々ありますし、私も講演会などでは、分かりやすいようにあえて「好き嫌い」という言葉を使うことがあります。しかし、実は「好き嫌い」という表現はあまり正しくないということが、研究などを通して分かってきています。

特に小さいお子さんの場合は、好き嫌いや偏食は「感覚の問題」に起因することが少なくありません。

山口健太

一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事/株式会社日本教育資料 代表取締役/『きゅうけん|月刊給食指導研修資料』編集長/カウンセラー、講師

会食恐怖症の当事者支援活動や、既存の「食べない子どもへの対処法」に疑問を感じ、食育カウンセラー活動を始め、カウンセリングはこれまで延べ3000人以上、セミナー・講演の実施回数100回以上。カウンセリング、講座や講演、執筆活動を通して、食べない子に悩む保護者、学校や保育園の先生などにメッセージを伝えている。

Instagram:@shokuiku123