思春期の男の子への性教育、家庭でどこまですべき?

中野日出美

思春期と切っても切り離せないのが「性」の問題。特に母親にとってはハードルが高い「男の子への性教育」は、家庭でどのように行うべきでしょうか。
親子専門の心理セラピストである中野日出美さんに解説いただきました。(イラスト:セコリ[nobico編集部])

※本稿は中野日出美著『言葉にできない気持ちをわかってほしい 思春期の男の子が親に求めていること』(大和出版 )から一部抜粋・編集したものです。

中野日出美(なかの・ひでみ)
一般社団法人 親と子の心理コミュニケーション協会代表理事。日本心理学会認定心理士。心理セラピスト。絵本作家。親子関係の改善を図るセラピーの専門家。

性について正しい知識をもっていない

「何だか最近、カノジョができたみたいなのよ。帰宅するのも遅いし、夜中に深刻そうに電話で話していると心配で……」

高1のシュウゾウ君は、初めてできたカノジョに夢中です。交際が性行為に進んだとしても、結婚して責任をとればいいと考えています。

急激に体が変化していく思春期の男の子にとって、性の問題はけっして避けては通れないもの。

ところが日本の学校での性教育は、世界レベルでは大いに後れをとっています。

となると、必然的に性の問題は家庭でしっかりとフォローせざるを得ません。

しかし、よく考えてみれば、私たち親だって、学校や、ましてや自分の親からちゃんとした性教育を受けたかと言われたら微妙ですよね。

まだ女の子の場合は、同性である母親が、体の仕組みや生理、セックスや性感染症、性被害について教えていくことができます。

それにくらべて男の子の場合は、ほぼ置き去り状態で、正しい知識をもたないまま、思春期に突入しているケースがとても多いのが現状でしょう。